私は「ボタンダウンシャツ」、より正確に言うなら「ボタンダウンカラーシャツ」が大好きです。というよりワイシャツ系のカラー(襟)は普通がボタンダウンです。
オックスフォード生地のボタンダウンシャツは、ネイビーカラーのブレザー、レジメンタルストライプのネクタイ、カーキ色のチノーズパンツ(チノパン)、コインローファーシューズらとともに、中年層のVANに洗脳されたアイビー大好き世代に欠かせないものです。ですから、私たち世代は皆、ボタンダウンの由来は知っていて当たり前でした。
20世紀の初頭、アメリカ、ニューヨークの紳士服の老舗 “ブルックス・ブラザース”の創業者で当時は既に引退していたジョン・ブルックスがイギリスのポロ競技を観にいった際に、選手達がユニフォームの襟が風でバタつくのを押さえるために襟の先にボタンをつけていたのを見てヒントを得、事業を引き継いでいる息子達にそのアイデアを伝えたことが始まりだそうです。
その後、このボタンダウンシャツはアメリカ内で流行し、上記のブレザーやパンツを取り入れたスタイルが、アイビーリーグと呼ばれる名門私立大学の学生のファッションの定番となり、いわゆる良家のお坊ちゃまスタイルとして不動のものとなっていきました。
ですから、これらの大学を出身とするアメリカの歴代大統領、政治家、財界人などは、皆このスタイルを愛用しており、ケネディ大統領もその一人だそうです。
実際にこの襟のボタンが役に立っているかと問われると難しいのですが、少なくとも襟がみっともなくめくれあがったりしないという点では、役に立っていると思います。
ファッションには、このボタンダウンカラーのボタンのように、今はさして役に立ってはいないが、歴史的な遺物として残っているものはたくさんあり、
1)ナポレオンがロシアに遠征した際に、兵士たちが垂れる鼻水を服の袖口でぬぐうのをやめさせるために考案された、袖口の飾りボタン
2)乗馬の際に裾の形がきれいに決まるように作られた、ジャケット裾の背中央の切れ込み(センターベント)や、サーベルを腰に下げた際に裾が乱れないように作られた、ジャケット裾の横の切れ込み(サイドベンツ)
3)水筒や双眼鏡などを紐でぶら下げるために作られた、トレンチコートの肩のボタン留めのショルダーストラップ(エポレット)
など、枚挙にいとまがありません。
なお、ボタンダウンのダウンは、襟がめくれる状態がupで、めくれないように固定されていることからdownなのだと思います。この動かないdownは、sit
down や knock down のdownと同義だと思います。
ちなみに、アメリカではこのシャツのことを、上記の由来からポロカラーシャツと呼んでいるそうです。
★meineさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。