--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.883 (2011.02.08)

Q. yuzuさんからの疑問

 パソコンのカナの文字の並び方は、どうやって決まったのですか?
「あいうえお……」でもなければ、「いろはにほへと……」でもないようです。
 いちばん上の段は左から、「ぬふあうえおやゆよわほへ」。

アルファベットの配列については、使用頻度を考えてこの並び方にしたとか……。でも、あまりに速く打てるようにな配列にすると、当時のタイプライターだと印字ミスが起こったり、壊れたりするので、わざとある程度打ちにくくしているとか……。
 さて、日本語のカナ配列はどうなのか?(星田)


A. 安岡孝一さんから

 カナのキー配列は、1923年に山下芳太郎とBurnham Coos Stickney が作ったカナタイプライターが元になっています。
 山下は、日本語から漢字を追放しカナ書きだけにしよう、という活動をおこなっていて、その目的のため単身ニューヨークに渡り、カナタイプライターを作ってくれるよう Underwood という会社に頼みに行きました。そこで、Underwoodの技術者だったStickneyと、カナタイプライターのキー配列を考えたのです。


 Stickneyは、五十音の各行をそれぞれ近くに集めておいた方がキー配列が覚えやすい、と考えました。そこで、アイウエオを上の方に、カキクケコをまん中に、サシスセソをその左下に、タチツテトをそのまた左に、という形で作っていったのが、このキー配列です。それぞれのキーに2つずつ文字が入っていて、数字やセソヘケなどはシフトキーを押しながら打つしかけでした。
 1952年に日本タイプライターという会社が、アルファベットとカナの両方を打てるタイプライターを発売しましたが、この時にカナのキー配列は大きく変更されました。QWERTYUIOPを入れるため、小書きのィや記号などは削られました。ASDFGHJKLのために数字がいちばん上の段に移されて、小書きのァゥェォャュョなどは削られました。ZXCVBNMを入れるため小書きのッは削られ、セソヘケムメが右の方に追い出されました。
 1965年にはIBMが、アルファベットとカナの両方を使えるコンピュータ用のキーボードを製作しました。この時、ヲが削られてソが元の位置に戻りました。また、シフトキーなしで全てのカナが打てるよう、ヌやロや半濁点は新しいキーに移されました。
 さらに1970年に電電公社(現在のNTT)が、小書きのァィゥェォャュョッを復活させて、ヲを追加したコンピュータ用のキーボードを作りました。この電電公社のキー配列が、現在のパソコンのキー配列に受け継がれているのです。
 つまり、初期のカナタイプライターでは五十音順を元にしたキー配列だったものが、たくさんの人がその時その時の変更を加えていくうちに、現在のパソコンのキー配列になったのです。したがって、それぞれのキーを移動させた理由はあっても、キー配列全体が1つの理由で説明できるわけではないのです。