--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.898 (2011.04.12)

Q. ようたさんからの疑問

 ゾウの鼻が長いなんてことは、小さな子どもでも知っていますが、どうして、鼻が長くなったのでしょう?
 動物にとって、「食べる」ということは大変重要なことです。ですから、食べるために体の形も変化してきていると思うのです。
 キリンは首が長くなるし、アリクイは口が細長くなるし……。これらについては、自分の口を食べ物に近づけるために体の構造が変化したととらえることができます。
 でも、申し訳ないですが、私は、ゾウについては納得できないのです。鼻を伸ばさずに、口を伸ばしていたら、もっと便利なのではないでしょうか?
 ゾウの(口ではなく)鼻が長くなったことのメリットを教えてください。 また、口が長くなって、自由自在に曲がって、まるで手のように物をつかむことができて……、そんな動物っているのでしょうか?

このような視点は素晴らしいと思います。でも、、むずかしそう!(星田)


A. けろさんから

 動物は物を食べるとき、匂いを嗅いで食べられるかどうかを確認しますよね。像の鼻が長くなったのも、確認してから口に運ぶためじゃないでしょうか。

A. 如熊夢さんから

 ゾウの持つ口の構造がもたらす利点は咀嚼力です。
 彼らは巨大な臼歯を摺り合わせ、他の動物が食べられない硬い植物も食べることができます。
 口を構成する器官のうち顎関節・頬の筋肉・歯の位置関係は、梃子の原理における支点・力点・作用点の関係にあたり、細長い口の持ち主はあまり大きな咀嚼力を持つことができません。
 アリクイなどはそれを必要としない食性なので長い口吻が有利に働きますが、ゾウがその巨体を維持するには不利な形質となるでしょう。
 そのことにより彼らは口全体ではなく、鼻と上唇を伸ばして自在に食物を運ぶ器官とする道を進んだと思われます。

A. 子沢山さんから

 この質問の答えは容易ではないです。ようたさんにもスカッと納得してもらえないと思います。なぜなら、進化に対する考え自体を再考しなければならないからです。
 進化論の紋切り型の疑問に、「キリンの首はなぜ長くなったか?」というものがあります。それに対して、「より高いところの葉を食べられることが、生存に有利に働いた。」というような自然選択による適者生存、優勝劣敗的な答えが一般的でした。
 実はこのような疑問の持ち方、考えた方自体が誤りでは、とされています。
 この考え方には、首の長いキリンという我々が知っている動物を目標にして、より高いところの葉を食べられることが有利であるから、そこに向かってキリンがひたすら進化してきたというような、結論先取り的な我々人間の価値判断が入っているからです。
 では、キリンと同じ環境にいた動物は、みな首が長くないと生き残れないのでしょうか?
 首が長ければよいのであれば、短足で首だけが長いキリンなど、他の形態があってもよいのではないでしょうか?
 結局、生物の進化というものは非常に多様であり、必ずしも生存に有利なものばかりではありませんし、中には生存競争に敗れたなどのケースもあるでしょうが、偶然、必然も含めて、さまざまな理由で最終的に今生き残っている生物を我々が見ているにすぎないのです。
 ですから、生物の形態は、生物が進化の過程で出した多くの答えの一つに過ぎず、それ以外が許されない唯一の答えでもありませんし、それ以上がない最高の答えというわけでもないのです。
 変なたとえですが、高校野球の優勝チームは、「いちばん強いから優勝した」と考えるべきではなく、「(たとえたまたまでも)優勝したからいちばん強い」と考えられているに過ぎず、本当はもっと強いチームがちょっとしたことで負けていたりする場合も十分あるのです。あくまで、一つの結果というわけです。
 ようたさんが質問のゾウ類(長鼻目)も、進化の過程でいくつかの答え(形態)を出そうとしていました。
 化石長鼻目であるゴンフォテリウムは、鼻(正確には鼻と上唇のセットですが)は今のゾウほど長くないものの、下あごもかなり長くなっており、このまま進化し続ければ、ようたさんのご希望の動物が誕生したかもしれません。だが、絶滅してしまいました。
 また、場合によっては、下唇だけが長いゾウ(ゾウとはいえないかもしれませんが)がいたっていいとも思えます。ですがそういう答えは出してきませんでした。
 こうした中で、現在我々が見る形の動物だけが生き残り、それを我々がゾウと認識しているわけなのです。

A. アンギラスさんから

 鼻の代わりに口を伸ばすと、いろいろなデメリットがあるからだと思います。
 まず、口を伸ばすということは唇を伸ばすわけですが、唇で枯れ草や木の枝や葉をつまんだ後、どんな方法で口の中に入れるのでしょうか?
 試しに、お箸や紙切れを唇で挟んで口の中へ入れてみてください。舌の協力が無ければ簡単に出来るものではありません。
 わずか2〜3cmの人間の唇でさえ困難なのに、象くらい長ければ口の中へ入れることは不可能です。それを補うように舌を伸ばすとなると、植物を臼歯で磨りつぶすとき、邪魔になるでしょう。それでは、麺類をすするように口の中へ入れるとなると、少しずつしか食べられません。
 象の巨体を維持できるほどの量を摂取しようとすれば、一日中食べ続けなければいけないと思います。
 また象の鼻は手の役割もしますが、唇を鼻(手)代わりに使っていれば、何かが刺さったりして怪我をすることも多いかと思います。そうなると、最も重要な食べると言う行為に支障が出ることになるかと思います。
 以上、口(唇)を伸ばすことはデメリットだらけです。
 鼻を伸ばせば、口の中へ入れやすい。ガバっと口をあけられるので、一度に大量に食べられる。怪我をしても直接、摂食の障害にはならない。口(唇)を伸ばすことでの問題は、全て解決します。