Q. 村上さんからの疑問
原子の構造についての疑問です。
このように書くと専門的な内容かと思われるかもしれませんが、疑問はいたって単純です。
電子は原子核のまわりを回っているのですが、その軌道には名前が付いています。内側から、K殻、L殻、M殻、……。
なぜ、電子の軌道の名前はK殻から始まるのでしょうか? A殻から始まるとまずいわけでもあるのでしょうか?
★ほぉ。確かに専門的であって、そうでないような疑問ですね。(星田)
A. らぐさんから
ボーアが電子殻を発見し、名前を付けるときのことですが、A殻から始めた場合、将来もっと内側に殻が発見されたときに困ると考えたようです。
学校で先生に教わった当時、慎重な人なんだなと思いました。(笑)
A. kousukeさんから
私は高専一年生で、先日、学校の化学の授業でやりました。。
なぜK殻からかというと、電子殻が発見された当時、まだその内側にも電子殻があるのではないかと考えられたため、アルファベットの真ん中あたりにあるKが使われたそうです――と、私は習いました。
A. よしなさんから
質問の内容はいたって単純ですが、回答もいたって単純です。
最初の発見された軌道ですが、最も内側であるかどうかがわからなかったからです。
A殻と名付けてもっと内側に発見されてしまったら命名に困ってしまうので、とりあえず10個の予約分を確保してK殻と名付けたのです。結局、最初に発見されたK殻の内側には軌道は見つからなかったというわけです。
ちなみに大学は化学専攻でしたが、このことは高校の化学で習いました。
A. へたれ兄貴さんから
「もしかしてもっと内側にも電子殻があるかもしれない」という考えからです。
村上さんのおっしゃるように、電子殻は内側からK,L,M,……と順番に名付けられています。
このうち、いちばん最初に発見されたのは、今で言うK殻でした。
発見されたときに、「さらに他の電子殻があるかもしれない』というのは考えられていましたが、それが(まだ名前のついていない)K殻の内側にあるのか、それとも外側にあるのか、または両側にあるのかは分かりませんでした。
そのため、もしAから名付け始めて内側に新しい電子殻が発見されたらどうしようというふうになりました。
そこで将来内側と外側のどちらに新しい電子殻が発見されても名前が付けられるように、アルファベットの真ん中辺りにある「K」が付けられました。
しかし研究が進んでいっても、結局K殻の内側に新しい電子殻は発見されませんでした。そのために今でも電子殻はいきなりKから始まり、L,M,N,……と続いているのです。
A. h!dey.さんから
高校時代の物理の先生に聞いた記憶です。
研究された当初は、電子核の軌道は詳しくは分かっていなかったため、K殻よりも小さな軌道があると考えられていたようです。だから、とりあえず10個分の余裕を見て11番目のKから始めたようです。
実際には、これ(K殻)よりも小さなものが無いため、不自然なものになってしまったようです。
別の例ですが、COBOLやBASIC(昔の)でプログラムを作成するときに、行番号を付けていました。その際、プログラムを途中に追加することを見越して、10,20,30,……というように10刻みで番号を付けたことがあります。そうすれば、途中で15,25などと追加することが容易だったからです。
今でも、連番を振る時に途中に何か入るかもしれないと想定するときは、飛ばしたりするわけですがその名残だと思います。
A. 松本さんから
いずれKより前が発見されるだろうからAではマズイと思った、ということのようです。
ことの始まりは、後にノーベル賞を受け取ったイギリスのバークラ(C.G.Barkla)博士。
彼は、いくつかの元素に電子の流れをぶつけ、特殊なX線が出てくることを発見。特性X線と呼んだそのX線は、博士の実験では、物質を突き抜ける力の差が2種類ありました。
そこで、この透過力の差でそれぞれに名前をつけて区別したかったのだけど……
「この先、自分の見つけたものより、もっと強い特性X線が発見されるかもな」
と考え、AやZといった端っこの文字を使うことを避け、さらに透過力が強弱あっても名前が前後できるよう、強いX線をK、弱いX線をLと名付けました。これで最低10個ずつは前後に続きますね。
一般的に、数学では未知数にxやkやaを使いますし、物理の未知定数にはaやkを使う傾向がありますから、中間的な文字にKを選んだことは、それも関係したかもしれません。
結局、KとLの特性X線の違いは、電子殻のエネルギー差だということが、後になってわかり、今では、Kより小さい殻は存在しないとされています。
ついでに、ひとつの電子殻(K殻やL殻)のなかには、2個ずつ電子が入る副殻軌道があります。その軌道名は、
s、p、d、f、g、h、i、j、……
と続きます
が、こちらは、最初の4種類のみ、それぞれ
sharp、principal、diffuse、fundamental
の頭文字で、それ以降は面倒になったのか、f
の続き文字だそうです。
★いしださん、satuoさん、松原 虹さん、まいたけさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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