--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.918 (2011.07.26)

Q. よっちゃんからの疑問

 先日、海岸線をドライブをしていて疑問を持ちました。
 防砂林は、必ずというくらいに松の木となっておりますが、どんな理由があるのでしょうか?
 最近は、松林も松くい虫の被害が多発しているようですが……。
 海岸線でなければ、強風から家を守る樹木は、いろいろな樹木が防風林として植えられてあるのに不思議でなりません。

マツが防砂林に適している特性があるのでしょうね。どんな特性?(星田)


A. まいねさんから

 ご質問ごもっともですね。「白砂青松」というのは日本の海岸の美しさをいう言葉だそうです。砂浜にはよい枝振りの松がよく似合います。
 防砂林というのは砂浜から砂が飛んでくるのを防ぐための林ということだと思います。そうすると、海に近い、あまり肥沃な土地でなくても良く育つ種、砂を防ぐために季節を問わず良く葉を茂らせている種がふさわしいのではないでしょうか。
 松、とくによく防砂林に見られるクロマツは、日本原産の樹木だそうですので、とりあえずは入手しやすかったのではと思います。それに、このクロマツは塩害に強いと聞きますので、海に近いところにも持ってこいだったのではないでしょうか。松は常緑樹ですから冬の風を防ぎたいときに肝腎の葉っぱが落ちていて役に立たないということもないでしょうし。
 と、以上3つほどの理由からクロマツは日本において防砂林に適した種類だったのだと思います。
 そういえば、わたしの生まれ育った金沢では、あまりお正月に門松というものをたてません。最近は、他県に本部のある会社などが普通に飾っているのを見るようになったかも知れませんが。不思議だなと思っていたら、なんでも防砂林にせっかく植えてある松を正月飾りのために切ってしまうことのないように、松を立てることをお殿様が禁止したという話をどこかで目にしました。
 そういえば、金沢は海岸線がずっと砂浜で、松も植わっていたような気がします。それくらい昔(江戸時代?)は砂と闘っていたのでしょうか。

A. アンギラスさんから

 松が防砂林に使われる理由です。

1.常緑樹で枝が低く横に広がるので、一本で一年中広い範囲で防砂効果が期待できる。
 常緑樹でもスギやヒノキは、葉の位置が高くなりすぎるので、地上付近の防砂効果は得られない

2.日向を好む陽樹であり、痩せた土地でも育つ。

 余談。コレは防砂効果とは全然関係ないですが、松の実は食料になりますし、松の皮の裏側も飢饉の時の非常食になったそうです。
 また、松ヤニも採れるし、枯れてしまった後でも伐って松明(たいまつ)として利用できます。
 戦国時代の城の中に松が植えられたのは、美観や縁起などの理由ではなく、余談の理由によるものです。
 海岸近くに住む人も、こういう事も頭の片隅に入れて、松を植えたのかもしれませんね。

A. 水野恵さんから

 本州以南の防砂林・防潮林で主に見られるマツはクロマツだと思いますが、これはクロマツが塩や乾燥した土壌に強いためです。
 一般的にマツの仲間は厳しい環境に強く、他の種が育たないような場所にいち早く入り込んで生長・繁殖するという特徴をもっています。クロマツの場合も潮風や海水の影響を受け、しかも砂という水持ちの悪い土壌条件という環境で早く育つために広く使われているのだと思います。
 実際に防砂林に入ってみるとマツ以外の木も見られることがありますが、これはマツの生長とともに土壌条件などが他の樹種の生長にも適したものに変わっていくためです。
 このことから、以下は私の考えですが、人の手が入らなければ今ある防潮林の多くはマツ以外の樹種に取って代わられるはずです。現在まで松林として残っている理由は、昔は家庭や塩づくりのための薪を取るために定期的に防砂林の手入れがされ、他の樹種が育たない環境が維持されたためではないかと思います。