--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.919 (2011.07.30)

Q. kztさんからの疑問

 顔の皮脂が、鼻に特に多く分泌されるのはなぜでしょう?
 もちろん脂はおでこにも分泌されますが、鼻の頭には特に多量に分泌されます。これはどういう理由によるものでしょうか? この脂は、いったいどういう役に立つのでしょうか?
 せっけんで顔を洗うと、その直後は脂がとれてさらさらになりますが、何時間か経つと、やはり脂がじわりと分泌されてきます。うっとおしいこの脂、生物学的に必要だから出てくるんでしょうけど、理由がわかりません。
 鼻の脂といえば、故手塚治虫の自画像で鼻のブツブツが脂の分泌孔として表現されているのがよく知られています。またむかし子どもに手品を見せるときに、
「鼻の脂をちょいと付けて……、すると、あーら不思議」
などというフレーズもよくありました。
 イヌやネコは鼻が濡れていますので、脂の分泌はあまりなさそうですし、ゾウも見ているかぎりでは乾いていますし、もしかして鼻の脂って、類人猿だけの特徴なのでしょうか?

私も、鼻の脂がよく出る方だと思います。(星田)


A. 子沢山さんから

 皮脂は、皮脂腺から分泌される脂肪酸グリセリンエステルを主成分とする液体です。この皮脂が、皮膚や体毛に薄く膜状に広がることで、皮膚や体毛を保湿したり、物理化学的な刺激から守っています。また、脂肪酸グリセリンエステルが皮膚の常在菌に分解されて脂肪酸が生じ、皮膚が弱酸性になることで、他の細菌の増殖を防ぐ効果もあります。もっともそのせいでにおいの原因になったりもします。
 実際に皮脂の分泌が少ない乾燥肌の方は、バリア機能の低下から種々の感染症にかかり易いです。また、皮膚が大きく欠損した跡を培養皮膚細胞で埋め合わせた場合、皮脂腺や体毛が再生できていないため、ちょっとした刺激でもすぐに怪我になってしまいます。
 皮脂腺は全身にありますが、頭部では、頭、額、鼻に多いです。これらの部分は突出していることから、様々な外的刺激を受けやすいため、皮脂の分泌が多いのであろうと考えられます。特に鼻は、体毛に覆われることもなく、顔面の中央で最も突出していることから、ひときわ皮脂が多いのでしょう。