--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.923 (2011.09.04)

Q. 祐之さんからの疑問

 テレビで高校野球を観ていたら、応援のブラスバンドの人たちが、X JAPANの『紅』を演奏していました。
 あれは、勝手に無断で演奏しているのでしょうか?
 それとも、
JASRACかどこかに著作権料みたいのを払っているのでしょうか?

どうなんでしょう? 払っているとは思えないですよね。
 何かシステムがあるのでしょうか?(星田)


A. TOMさんから

 私が高校時代の記憶ですが、ブラスバンド用に編曲された譜面が販売されてまして、それを購入することによりその編曲者には著作権が払われていたんだと思います。
 が、そうなると編曲者が原曲の作曲家にどうやって著作権を払っているのかってことになりますよね?
 他の人の回答が楽しみです。

A. やまおさんから

 これは、悩む必要は全くありません。
 著作権料を払うのは、お金を取って聞かせている場合です。入場料は高校野球を見るためで、応援の演奏を聞くために払っている訳ではありません。
 また、演奏者にギャラは払われていません。営利目的で演奏していないので、著作権料を払う必要はありません。

A. ごんたさんから

 ブラスバンドで演奏する際に用いる譜面が市販の物であれば譜面の値段に著作権料が含まれている可能性がありますが、自分で楽譜を起こしたり、譜面を使わず演奏している場合、そのような権利料金を支払うことはないでしょう。
 そもそも著作権料が発生するのはオリジナルの著作物を利用して利益を得るような場合(譜面の販売、カラオケなどの機器とそれを利用する店舗、変わった所では歌詞を引用した小説、漫画などの著作物など)のはずです。
 野球の応援などはそれ自体で何がしかの利益を得ているわけではないので、権利料は発生しないでしょう。もしこれで発生すれば鼻歌も対象になってしまいます。

A. よしなしごとさんから

 営利目的ではないので払う必要はないという書き込みがありますが、これは「演奏」に関してのみです。インターネットなどネットワークで配信する場合などは、非営利でなくても許可を得る必要がありますのでご注意ください。
 なお、JASRACの場合、演奏で許可が不要なのは

  (1)営利を目的としていない
  (2)入場料(それに類する対価を含む)等を徴収しない
  (3)出演者等に報酬が支払われない

のすべてが満たされる場合のみです。
 赤字であっても、ほとんどが招待客であっても、一部の方から入場料をいただいたら許可を得る必要があります。またJASRAC管理でない場合は、別途確認する必要があります。
 ちなみに学生のころ、音楽関係のサークルをやっていたのですが、貧乏学生の僕らは譜面はコピーでした。が、やっぱりダメだよね。ということで途中からきちんと買うようにしました。
 もちろん演奏会のときはJASRACに手続きもやってました。意外と出費がかさむんですよね〜。

A. うにうにさんから

 著作権に関するルールは、著作権法で定められていますので、六法全書で条文を見てみましょう。

(営利を目的としない上演等)
第38条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
(第2項以下省略)

と書かれています。
 つまり、「営利目的でない」「客から料金を取らない」「ノーギャラ」の3条件を全て満たしていれば、著作権者(その楽曲に関する著作権を持っている人。つまり、作詞者、作曲者、出版者など)の許可を特に得ることなく、人前で演奏することができます。もちろん、著作権料を払うこともありません。
 この3条件を満たさない場合は、演奏していいかという許諾を著作権者に求めることになりますが、たいていのプロの音楽家は著作権に関するビジネスをJASRACに委託していますので、個別に音楽家に許可を求める代わりにJASRACに書類を送り、使用料を支払って演奏することになります。
 ときどき、「営利目的でなければ自由に使える」と思っている人がいますが、3条件を全部満たさないといけません。
 私はある合唱団に入っているのですが、小さな会場で入場無料のライブを開いたときは、申請は不要でした。しかし、多少大きいホールで、入場料金を取ったときは、申請が必要でした。入場料金といっても、会場の使用料にあてる程度で、諸経費を差し引いたら営利どころか赤字になるぐらいの額ですが、それでも届け出は必要でした。

 さて、高校野球の応援に3条件を当てはめてみます。
 まず、吹奏楽部員は営利目的で演奏しているわけではありません(高校野球自体は入場料を取りますが、それは高野連など主催者の利益であって、演奏すること自体が吹奏楽部の金銭的利益につながるわけではありません)。
 第2に、客からの料金についても同様です。
 観客は「野球の試合を見る」ことの対価として入場料を払うのであり、演奏を聞くために払っているわけではありません。
 第3に、吹奏楽部員に高野連かどこかからギャラが支払われるということも、まずあり得ないでしょう。
 したがって、3条件は満たしており、演奏するにあたって特に許可を得る必要はないと考えられます。