Q. 祐之さんからの疑問
「麒麟(きりん)」という空想上の生き物がいます。キリンビールのマークにもなっているあれです。あれは、動物園で見かける「キリン」とは、どういう関係があるのでしょうか
僕が動物園でキリンを初めて見たとき、その想像以上の大きさにショックを受けたのを覚えています。威圧感が凄かったです。
昔の中国人は「キリン」を神格化したのでしょうか?
★同じ名前である以上、何らかの関係があるのでしょうね〜。(星田)
A. YOSHYさんから
「麒麟」と「キリン」ですが、どこが違うかと言われますと、もともと前者は架空の生き物で、後者が所謂「キリン」です。
前者の発音が、当時の「キリン」の発音に近かったため、いつの間にか「麒麟」が「キリン」に置き換わってしまったと言うところではないでしょうか。
ちなみに、後者は動物園に行けば姿を見ることができますが、前者はキリンビールのラベルに描かれています。
ところで、北の夜空に「麒麟座」というのがありますが、これはもともと「ラクダ」であったのが綴りの似ている「キリン」になったようです。中世にはアフリカに行くことがあまりなかったのでしょうが、なんでもかんでも背負わされて、「キリン」も大変です。
A. 賢さんから
麒麟とキリンの関係です。
まず、中国の伝説として「麒麟」がありました。
曰く、「角があり、体長5mの、蹄のある獣。毛は黄色い。尾は牛に似ていて、顔は龍に似ている。」といった伝説だったようです。
15世紀になって、中国に「キリン」が輸入されました。見てみれば「角があり」「5mくらいの」「蹄のある」「全体的に黄色い」「牛のような尾を持つ」「龍に似てなくもない顔の」、「珍しい」獣です。中国語訳として「麒麟」の名を当てはめたのは納得できると思います。
日本には、「麒麟」は中国の伝説として輸入されたようです。「キリン」の方は、20世紀になってドイツから輸入されたときに、動物学者の石川千代松が、中国にキリンが渡った時の逸話を参考にキリンと名付けたと記録が残っています。
ちなみに現代中国語では、実在の動物の方のキリンは「長頸鹿」と呼び区別しているようです。
A. 98式さんから
和名「キリン」は、鄭和が連れ帰ったキリンを「麒麟」として永楽帝に献上した故事にちなみ、近代になって命名されたものである……とのこと。
ちなみに、鄭和とは、永楽帝に仕えていた人で、永楽帝とは、中国明朝の第三皇帝だそうです。
まあ、つまり昔の中国人がキリンを神獣の「麒麟」と間違えたことが由来らしいですね。
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