--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.932 (2011.10.15)

Q. よっちゃんからの疑問

 民謡・花笠音頭の歌詞に、「めでためでたの若松様よ」がありますが、「めでたいこと」と「若松様」との関係がよくわかりません。
 若松様とは、若い松の木のことを指しているのでしょうか?
 私は、由緒有る若松寺が近くにありましたので、寺のことを歌われたものと、最近まで思っておりましたが……。
 どなたか、「めでたいこと」と「若松様」との関係を教えてください。

可能でしたら、花笠音頭の他の蘊蓄もヨロシク!(星田)


A. ごんたさんから

「お正月」とかけまして、「若松」と説きます、そのこころはどちらも「めでたい」でしょう。
 つまり、若松の新芽が出ることはめでたい、と繁栄の象徴として縁起をかついでいるのだと思います。

A. おせっかいさんから

 妻から、珍回答(?)がありましたので、驚くと共に投稿させて頂きます。
 日本には、古来より松を長寿の象徴とする考え方があります。それで、人間を松にたとえて、民謡等で歌われている。だから、花笠音頭以外、他の各民謡にも同様の歌詞が有るものと思う。「めでたい」と「松の木や若松寺」を、無理に関連付け様とするから混乱するのであって、人間と思えば何の不思議も出ないはず――との回答でした

A. 江戸川三連豚さんから

 私も若松寺を訪れ、1日かけて「イヤ」ってほど若松寺を案内されたことがあります。 あんな苦しい目に逢うとは思いませんでした。
 で、若松寺境内に「若松寺の松」があり、この松の表皮の筋目にお賽銭を差し込むとのこと。こんなことすると木がおかしくなるそうですが、「枝も栄えて葉も茂る」、転じて檀家が栄える……と聞きました。ネットでは皆「縁結び」になってるなぁ?
 あと、「むかされ絵馬」というものがあります。
 子どもを亡くした親御さんが、子どもは当然未婚なので、子どもと大人の結婚写真のようなものを作り、「向こう(あの世)に去った」我が子が向こうでは結婚して幸せに暮らせますようにと祈るものです。
 昔は芸妓さん等に頼んで写真を撮らせてもらったようですが、今では子どもの周囲をアニメキャラが囲うものが多いようです。
 やはり縁結びがめでたいのかなぁ? そんな話はなかった気がするけど?
 トリビアを続けますと若松寺と芭蕉の句で有名な山寺は兄弟寺で、全国区レベルでのライバルと言えます。位置関係もひとつの山の西斜面と南斜面にあり、この間を結ぶハイキングコースもあります。
 若松寺は花笠音頭で知名度が高いわけですが、天童市街からかなり外れたところにあり、観光とは無縁です。山寺は仙山線山寺駅前にあり、JRの宣伝により、やたら観光向けにスポットがあたります。
 山寺駅周辺は観光駐車場は多いのですが、拝観料もしっかり取られます。そのため地元の人は、広い無料駐車場がある若松寺へ参拝に行く人が圧倒的。山寺は1回行けば十分ですから。もっと若松寺にスポットが当たってもいいような気がするんですけどねぇ。

A. Issieさんから

 この歌詞は「花笠音頭」だけでなく、多くの民謡で好まれて歌われる歌詞です。博多祇園山笠でも歌われる「博多祝い唄」は「祝いめでたの若松様」という形になっていますが、ほぼ同じ歌詞ですね。
「若松様」は具体的な人や寺・神社というよりも、文字通り「若い松」を指すのだろうと思います。松は冬でも青葉をつける常緑樹で、大きく成長して姿も美しいことから日本では古来、「おめでたいもの」の代表とされています。「松竹梅」の筆頭で、お正月には門松を立てますね。
「めでためでたの若松様よ/枝も栄えて葉も繁る」というのは常緑樹の松の姿そのままです。
 歌詞に具体的な内容があるのではなくて、おめでたいことを祈ったり寿いだりするために松のおめでたい姿を歌ったのだろうと思います。
「民謡」と呼ばれるものの中には大正から昭和の初めにかけて中山晋平たちによって創作された「新民謡」と呼ばれるものもあるのですが、それ以前から歌われてきた伝統的な民謡の多くは歌詞や旋律がほぼ共通しています。
 ある地方で生まれた歌が海上や陸上の交易路を通じて広まり、各地方で少しずつのアレンジを加えながら定着したものが多いようです。
 たとえば、天草・牛深をルーツとすると言われる「ハンヤ/ハイヤ/アイヤ節」がその代表で、「オハラ/オワラ節」や「オケサ節」も同じ系列に属するそうです。
 さらにお互いにルーツの違う歌でも、歌詞の形がたとえば7・7・7・5で共通するなら、お互いに歌詞の交換も行われて、したがって全国いろいろな地方のいろいろな民謡で同じ歌詞が歌われています。
「めでためでたの若松様よ…」のほかにも、

「ここの座敷は祝いの座敷/鶴と亀とが舞い遊ぶ」
「お前百までわしゃ九十九まで/ともに白髪の生えるまで」
「踊り踊るなら品良く踊れ/品が良ければ嫁にとる」
「唄は良いもの仕事ができる/話ゃ悪いもの手が止まる」
「おらが在所で自慢のものは/(6文字)と(5文字)」

などなど……。
「めでためでたの若松様」は、本来は言葉が全く違う奄美・沖縄・八重山地方で歌われる「六調」という民謡でも歌われています。
 沖縄の民謡は8・8・8・6の拍数の歌詞のものが多いのですが、「六調」は八重山でも本土と同じ7・7・7・5で、歌詞もヤマトグチ(日本語)です。発音は現地式ですが。たぶん本土から伝わってきたものなのでしょうね。
 最後に「花笠音頭」は元は山形地方で歌われていた伝統的な民謡に昭和の初め頃手が加えられて今の姿になったのだとか。
 他の地方の伝統的な民謡の多くもこの頃に手が加えられて今の形になりレコードに録音されて全国的に知られるようになったものです。