Q. しんさんからの疑問
はじめてのお便りします。
パソコンでワードやエクセルの仕事をして、保存をしたら、ファイルができます。いくつかのファイルをまとめて保存したいときは、フォルダを作りますよね。それに関しての疑問です。
あれは、「フォルダ」ですか? それとも、「ホルダ」ですか?
ひとまとめにする――という機能から考えて、私は「ホルダ」だと思っていました。でも、他の人に通じなさそうなので、「フォルダ」と言っています。
どっちが正しいのでしょうか? それとも両方とも正しいのでしょうか?
★私は、「ディレクトリ」って言っちゃうことがまだあります。(星田)
A. kztさんから
folder の場合はフォルダ、holder
の場合はホルダです。
たとえば、溶接棒を挟む大きな洗濯ばさみみたいな道具は、溶接棒ホルダです。パソコンのディレクトリの場合は、フォルダです。
そういえば、最近、ディレクトリなんていう人まったくいませんね。フォルダ・ファイルというよりディレクトリ・データと言っていたほうがわかりやすかったと思います。ファイルというと、紙をまとめて入れておくフォルダの意味も一般的にはありますからね。
A. よしなしごとさんから
ホルダー(holder)は「入れ物、容器」という意味がありますが、コンピュータで使うファイルを1つにまとめるのは、folder(フォルダ)といいます。foldには「折りたたむ、組み合わせるという意味があります。
また、フォルダと似たような言葉に、ディレクトリ(directory)という言葉もあります。telephone
directoryというと「電話帳」という意味になりますが、directory
は「名簿、名録」というニュアンスでしょうか。これもコンピュータで使われるときは、ファイルをまとめて格納する場所という意味になります。
フォルダとディレクトリの違いですが、Windows
が一般的になる前のOS、MS-DOS時代からWindows初期は「ディレクトリ」というのが一般的でした。しかしWindowsの途中から「フォルダ」になりました。ディレクトリはハードディスクなどのメディアに物理的な入れ物というニュアンスです。
たとえば複数の引き出し(ディレクトリ)に複数のクリアファイル(これもディレクトリ)を入れ、そのクリアファイルの中に1枚1枚の書類(ファイル)が格納されているイメージです。
フォルダは実世界ではなかなか表現できないのですが、物理的な保存場所は関係なく似たようなファイルを1ヵ所にまとめたものを言います。
たとえば「マイコンピュータ」を開くと、コンピュータに接続されているハードディスクやUSBドライブなどの一覧の他に、ネットワークドライブや○○のドキュメント、共有ドキュメント、コントロールパネルなどが表示されます。物理的な保管場所を考えれば、ネットワークドライブは自分のコンピュータにはないですし、○○のドキュメントは通常Cドライブの中にあります。保管してある場所は別々なのに「マイコンピュータ」として1まとめにしてあります。このように物理的な保管場所は別々なのに1つにまとめているのをフォルダといいます。ディレクトリが物理的な保管場所で仕切られたものをいうのに対してフォルダは概念的なものなんですね。
A. ごんたさんから
ホルダ
= holder
入れ物、容器と辞書にはあります。「キーホルダ」や「ペンホルダ」などの用例から主に所持(持ち歩き)を目的とする容器を表すものだと思われます。「所有する者」という意味でボクシングの階級優勝者を「タイトルホルダ」と呼びますね。
フォルダ = folder
書類ばさみ、折り畳み、書類などを折り畳んで入れる場所という意味が辞書にあります。折り畳み式のナイフを「フォールディングナイフ」と呼びますが同じ語源なのでしょう。
上の例になぞらえれば「折り畳む者」となりますが「片づける者」と解釈すれば良いのではないかと思います。
パソコン内の書類をまとめる「アレ」は書類(ファイル)を格納する場所ということで「フォルダ」と呼ぶのが妥当ではないかと私は思います。しかし、読みは「ホルダ」でも構わない、というか誰も気にしないと思います。その辺は日本語って便利だなーと思ったりもします(笑)。
ちなみに、「ディレクトリ(住所録の意)」は、コンピュータの中にある書類の格納された「位置」という意味になります。
ある人の住んでいる場所を説明するのに
「○○マンションに住んでいる」というのがフォルダ、
「△△市××町の○○マンション□号室」というのがディレクトリ
となります。つまり、フォルダ名だけを指してディレクトリと呼ぶのは厳密に言えば間違いだと思います。
まあ、業界の人にはそれでも通用しますけどね(笑)。
A. 半可通さんから
先ず回答からさせて頂くと「フォルダ」が正しいです。以下に、その理由を幾つか述べさせて頂きます。
第一の理由として、日本語の表記の基準は文化庁の文化審議会「国語分科会」(旧、国語審議会)で策定されるものとされてます。
この分科会で扱われる国語表記には外来語の表記や携帯メールで使われる顔文字などの表記まで含まれており、ここで策定された国語表記が現代日本語表記の標準と考えて良いでしょう。
少し話が脱線しますが、私の友人に公文書の記録作成業務を行ってる者がおりますが、彼等の業務上では前出の国語分科会が策定した「標準的日本語表記に従うこと」という規定があるそうで、その友人からも「フォルダ」が正しい表記だとの回答が有りました。
次に、英語表記としてどうなるかを考えてみましょう。
ご質問の意図は、フォルダ(folder)なのか或いはホルダ(holder)なのかということではないでしょうか。
holder を英和辞典で調べると「入れ物」となって居り、一方
folder は「書類挟み」と訳されます。
holder のイメージは物理的な物体を保存するために形状や構造を工夫された専用の入れ物の印象が強くなります。たとえば、銃を携帯する為の革製専用ホルダーなどがよい例でしょう。hold
という動詞の名詞形ですので「しっかりと掴む」構造を象徴してると考えてよいでしょう。
方やfolder の方は文書という情報を分類する目的で使われるバインダーのイメージと考えてください。バインダーなので差し替えも自由だし、内部にインデックス設けて細分化(フォルダ内フォルダ)もできる。
実際に英和辞典で folder を引くと、コンピュータ用語としての「ファイルをまとめて入れておく場所」という概念も記載されてますので、やはり
folderが正しいということになるでしょう。
さて、日本だけではなく海外でのコンピュータ用語として
holder なのかfolder なのかも見てみましょう。
Windows XP 以降のWindowsマシンでは、マルチ言語対応なのでOSを英語版に切り替えることも可能です。そうやって確認すると
holder ではなくてfolder表記となってることがわかります。
これは先に述べた通り、バインダ型書類挟みの自由度(差し替えたり、細分化したり)をイメージしてのことだと思うのですが、アップル社のマッキントッシュで最初に定義された用語です。
当時のコンピュータといえばMS−DOS派とマック派に大きく分かれてましたが、MS−DOSでは同じ概念を「ディレクトリ」と呼んでました。こちらは
directory(住所録)と言う意味で、単なる見出し帳のイメージでしょう。
やがてマイクロソフト社も文字に拠る分類とコマンド打ち込みに拠る操作を諦めて、視覚的操作性を重視したWindows方式のOSに切り替えた際に
Directoryを廃し folder と言う用語を採用する様になりました。
ちなみに Linux では未だに directory
という用語を使ってます。
また多国籍企業の場合、海外支店からでも会社のサーバーに自由にアクセスできる様なシステムが多くて、会社(或いはグループ毎)の共有フォルダという物が存在します。
そういう共有フォルダ内の文献へのアドレスを他メンバーに紹介する際に
「Please access follows Directory "O:¥sharefolder/***"」
などという感じで未だにディレクトリの表現が使われる場合もあります。
この場合のディレクトリは文書のアドレスを紹介したアドレス帳のイメージで使われてるように思います。
ついでながら中国のPCでフォルダは「文件挟」と表記されますが、これもfolder
のイメージをよく表した漢字表記だなぁと思います。
最後に、holder に関しても少し加筆させて頂くならば、権利の所有者という意味で
holder が使えます。
たとえば、特許権や商標の所有権者は
right holderですし、スポーツ選手で記録保持者は
title holderと呼ばれます。
holder は単なる入れ物と言うよりも、シッカリと中身を保持してる感じがします。
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