--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.983 (2012.07.01)

Q. 大五郎さんからの疑問

 質問が2つあります。
『ウルトラマン』に登場する
科学特捜隊のオフィス(?)で、機械から穴のあいた細長い紙が出てくるシーンの覚えがあるのですが、あれはどうやって読むのですか?
 多分、あれは、ファックスのようなものだと思うのです。
電話とファックスでは、ファックスの方が原理が簡単のように思えるのですが、実用化はどちらが先ですか?

はいはい。その細長い穴のあいた紙、何となく覚えがあります。(星田)


A. ムーさんから

 これは、「鑽孔テープ(さんこうテープ)」や「穿孔テープ(せんこうテープ)」と呼ばれる「記憶媒体」です。
 もともとは、テレックスのシステムで使用されていたものですが、初期のコンピュータの入出力装置としても使われましたので、コンピュータのシンボルとして、番組中で使っていたのでしょう。

A. まんじまるさんから

(1) 科学特捜隊のオフィスで出てくるテープは、紙テープに孔が開けられた穿孔テープだと思います。
 テレグラフだと思いますので、発信元が孔をパンチして、科学特捜隊オフィスに向けて送信し、それがプリントアウトのように、テープに孔が開けられて出力されます。
 このテープをテープリーダーにかけると、記録された情報を読み出すことができて、怪獣がどこに出てきたのか知ることができます。
 穿孔テープはコンピュータの入力、記憶媒体としても使われました。プログラムやデータを孔をあけて記録し、それをリーダーで読み込むのです。その後は磁気テープに記録されたりフロッピーなどと進化していきました。

(2) ファックスのほうが電話より発明は先で、実用品としてもなんとか使っていたと思います。家庭にまで普及したのは電話のほうが早いかも知れません。

A. kamaさんから

 穴のあいた細長い紙の読み方ですが、あれは磁気記録などが出る以前の初期の記録媒体で、普通に紙テープと呼ばれるものです。
 ボクの記憶ではアレで通信をしていたかどうかは、あいまいなのですが、もしあれで通信をしていたとしたら、電話とかファックスとか以前に電信(電気通信)になるのではないでしょうか。
 通信としては極初期のものです。モールス信号器も電信の一種ですね。つまり、「ツー・ト」の2つしか情報がない2進法で信号を伝えるものです。
 SFドラマでもよくコンピューターから紙テープがニョロニョロ出るシーンがありますが、あれも全部2進法で1か0を表記しています。1つの列に8個の穴をあけて1バイトを表現すると言えば、パソコンに少し強い人ならすぐピンとくると思います。
 また、電話とファックスはどちらが先かという問題ですが、電信が発明された5年後の1843年にはファックスが発明され、その33年後にベルが電話を発明していますので、ファックスが先ということになります。
 もっとも、写真電送に成功したのは1906年、実用化されるのは1922年ごろということなので、実用化という面では電話の方が早く広まったことになります。

A. edsdさんから

 質問1。推測ではありますが、穴の開いた細長いテープとは、おそらくテレックスの穿孔テープではないでしょうか。
 テレックスは昭和30年代の始めに開発された、電話機とタイプライターを組み合わせた送信手段です。その後約60年の間、いろいろな分野で主要な通信手段としての地位を占めていましたが、小型コンピュータ(パソコンを含む)の普及やそれを利用したインターネット網が構築されるなどの環境変化もあり、その役割を終えることになりました。
 システムは、送信側で穿孔装置が付属したタイプライターで電文を作成し、検証の後OKとなれば穿孔されたテープをリーダーにセットしてから相手先を呼び出し送信します。
 ただ、ワープロのような追加・削除、あるいは、編集機能がなく、キーパンチャーの負担は相当なものだったでしょう。受信側もリーダーを経由して穿孔テープの電文をプリントアウトします。
 電文には暗号、今でいうパスワード的なものを付加することもでき、受信側では送信者が正当であるかどうかの判断ができましたが、送・受信には大量の紙テープが必要だったり、送受信のスピードが遅かったりなど、今にして思えばとの問題があったようです。

 質問2。電話とFAXの実用化はどっちが早いのか?
 これは電話回線があってこそのファクシミリ通信だろうと思います。

A. YOSHYさんから

 まず、その「もの」ですが、当時の代表的な入出力媒体たる「紙テープ」で、平たく言うと1行ずつ「ビット」がパンチされています。当時のコンピュータが、バイトマシーンかワードマシーンかはわかりませんが、何行かで一文字を表したはずです。
 今でも、「オタク」なら機械語をビットのまま理解できると思います。
 紙テープについては、当時も基本的に外部出力というか記憶媒体で人間が読むことを前提にしていなかったと思います。
 当時の汎用言語に、事務処理用の「COBOL」と科学技術計算用の「FORTRAN」がありましたが、いずれもマシン固有のFORTRAN、COBOLだったような気がします(今と違って、A社のFORTRANをB社のコンピュータにインストールできなかったはずです)。
 シチュエーションから言って、恐らくFORTORANか固有言語だと思います。
 回答になりましたでしょうか。

 ところで、ファクシミリと紙テープでは前者の方が100年ほど早いようです。
 ただ、普及度合い、一般社会への浸透度を考えると微妙です。
 ファクシミリと言っても、昔(私の幼いとき〜わたしにもあったんですよ)のときの記憶では、今の物とは全く違い、円筒型のドラムに送信側は原稿を貼り、受信側は感熱紙を貼り送信側原稿の黒白を電気信号に替え、受信側の感熱紙を焼いて転写していたような気がします。

A. くろちゃんから

 ウルトラマンの時代、最新型のコンピュータは、プログラミングの記憶媒体として鑽孔テープを使用していました。おそらくお問い合わせの「穴のあいた細長い紙」は、このパンチテープのことでしょう。
 コンピュータ用の外部記憶媒体は、紙テープ→磁気記録テープ→フロッピーディスク→CD→USBストレージほか多種類と変わってきました。
 ウルトラマンの時代は、もちろん現在のような高機能のコンピュータも、モニタもありませんでした。入出力は紙テープにパンチ穴を開けたものを利用していました。
 たとえば、NC工作機械などの数値制御は、膨大な加工データをいちいち紙テープに記録するため、専用の自動プログラミング装置がありました。わずか半世紀も経っていないのに、時代は大きく変わったものですね。
 また、電話とファックスですが、ベルによって電話が発明されたのは1876年。音声を電気信号に変換して送り、受信側でスピーカーを通して音声に復元しました。
 それに対してファックスは、1843年にベインが原理を発明していますから、ファクシミリの方が先ですね。
 ただ、電話に比べてファクシミリは送信側の画像スキャナと受信側のプリンタが必要で、精度を向上させる技術も必要だったため、一般に普及するのが遅れたのだと思います。製品開発コストや通信網の構築は電話の方が安いですからね。

A. maroさんから

 あの「紙テープ」は「鑽孔テープ」と呼ばれるもので、コンピューターのデータ記録媒体です。今で言えばUSBメモリのようなものです。
 真ん中より少し端に寄ったところに小穴があいていて、そこにスプロケット(ギア)が噛んでテープを送ります。穴の数は1行に8個(5個のものもある)で、裏向きにセットできないように、小穴の左と右に「5個タイプ」なら2個と3個、「8個タイプ」なら「3個」と「5個」に別れてあいています。

  8個タイプ  ○○○・○○○○○

 こんな感じです。
 で、「穴があいている=1」「穴があいていない=0」をあらわし、8個タイプなら、1行で 8bit=1Byte ですが、バイナリデータをそのまま使うことはなく、ほとんどは「ASCIIコード」などの文字コードで、1行=1文字です。
 当時のコンピュータの入出力装置は、紙テープリーダー、紙テープパンチャの付いた電動タイプライターでした。タイプを打つと、打った文字のASCIIコードで紙テープに穴があいていきます。その紙テープを保管したり、コンピュータールームに持ち込んで紙テープリーダーにセットして読み込ませたりしたのです。出力も紙テープパンチャから出力されたテープを保管したり、持ち帰って電動タイプライターで打ち出したり……でした。
 ちなみに、ASCIIコードは「数字」「文字(英大文字・英小文字)」「記号」のほか、「BELLを鳴らす」「改行」「一文字戻す」等の制御文字があります。
 そして、

 NULL=穴があいていない=文字がない=読み飛ばす
 抹消=全て穴があいている=打ち間違えたので全部に穴をあけた=読み飛ばす

というのもあります。
 それはともかく、ASCIIコードを覚えれば紙テープは読めますし、当時のコンピューター技術者にとって、テープをそのまま読み取ることは「あたりまえ」でした。

「紙テープリーダー・紙テープパンチャーの付いた電動タイプライター」ですが、実は「コンピューターの入出力端末」として生まれたわけではなく、もともとは「テレタイプ」の端末として使われていた機器でした。「テレタイプ」とは、「キーボードで打った文字を文字コードで電気信号に変換して送信し、受信側ではその信号を文字コードに戻して電動タイプライターで印字する」というもので、基本的な仕組みが発明されたのは20世紀初頭、1930年代に商業通信手段として広まり、2000年頃まで使われていました。
 ファックスは、ご存知のように「写真・絵などの濃淡情報を電気信号に変換して送信し、受信側ではその信号を濃淡に戻して印刷する」もので、基本的な仕組みが発明されたのは19世紀半ばですが、実用化は1930年ごろ、新聞社の写真電送などから広まり、もちろん現在も現役です。
 電話は、いうまでもなく「音声を電気信号に変換して送信し、受信側ではその信号を音に戻す」もので、1876年に発明、19世紀末には広まっています。
 電話とファックスでは、電話のほうがはるかに原理が簡単で、実用化も電話のほうがはるかに早いのです。

 
そうなのか、あの紙テープは記録媒体だったのか!

A. 子沢山さんから

 科学特捜隊(科特隊)基地の司令室。壁には磁気テープ用のオープンリールが回り、いくつものライトが点滅していたのを覚えています。そして、紅一点のフジアキコ隊員が、打ち出された紙テープを読みあげていましたね。
 内容は、警視庁からの通報や科特隊パリ本部からの指令だったようですから、科特隊では外部との通信手段として、テレタイプを用いていたことがわかります。
 この際、使われていた紙テープは、「鑽孔(さんこう)テープ」とか、「穿孔(せんこう)テープ」といわれるもので、1列あたり8個くらいの穴を空けられるようになっており、その穴の配列パターンで情報を記録し、通信機器やコンピューターなどに入出力をする際に使われたものです。
 あたかも点字のように、穴の空いたパターンが数字やアルファベットを表しており、読み取り用にASCII、JISなどの対応コード表がありますが、当時の技師などであればコードを記憶し、簡単なメッセージ程度は普通に読み取れたそうです。
 映画のお好きな方であれば、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演の『スティング』という映画で、主人公たちがマフィアのボスをはめる芝居で使われたテレタイプを、アナウンサーがスラスラ読みあげていたシーンがあったのをご存じの方もいらっしゃると思います。
 鑽孔テープは、タイプライターのような機械で手入力すると、穴のあいた状態でテープが打ち出されます。これをする人を「キーパンチャー」といい、当時は女性の花形職業でした。また出力されたテープは、読み取り機で読み取り、紙に印字することもできました。
 電気通信の歴史においては、その発展過程で、

  (1) 基本原理を考えた
  (2) 実験的に成功した
  (3) 特許を取得した
  (4) 限定的に使用された
  (5) 商業的に普及した

の各段階に開きがあるものもあり、どこを以って始まりとするか難しいのですが、電話は1876年のアレクサンダー・グラハム・ベルの、ファクシミリは1843年のアレクサンダー・ベインの特許取得をもって始まりとしており、ファクシミリの方が30年ほど早いことになります。
 しかし、通信機の性能を決定する因子である、送信機(情報を電気信号化)、受信機(電気信号を情報化)の性能や伝達情報量において、電話の方が圧倒的に優っており、普及に大きく差が開きました。
 それでも、情報が印字されるファクシミリは、記録を形に残したい場合や聴覚障害者などで使われておりましたが、電子メールの普及とともに急速にその需要が減少しています。
 また、鑽孔テープも、1980年代のコンピューターの発達に伴い、入力はキーボードに、出力はCRTや液晶の画面に切り替わり、ほぼ消滅しました。

A. ゆめきちさんから

 あの穴の開いた紙テープは、通信に関係のない、穿孔(パンチ)機能からの出力物です。紙テープを別のコンピュータに持って行き、読み込ますことが出来ますから、記憶媒体(メディア)としての役割の方が大きいですね。
 紙テープは、1行で最大8個穴が開き、1行で1文字を表しています。
 買い物のレシート見ると商品名と金額が1行で表されていると思いますが、その部分が穴になったと思って頂ければよいかな。
 1行の表記は2進数で、穴ありが ON(1)、穴なしが OFF(0) を示していて、"00000000" から "11111111" までの256パターン表すことが出来ます。
 各パターンに 1,2,3、a,b,c,A,B,C、ア,イ,ウ(半角)などの意味を割り当てておけば、穴の位置を見るだけで読めるわけですね。
 ただ、各コンピュータが勝手に意味を割り当ててしまうと、汎用性が無くなってしまいますので、統一のコード表が用意されています。
 パソコンだと、ASCII、Shift_JIS、UTFなど(ASCII以外は、もっと多くのパターンを持っています)ですが、科学特捜隊は、当時の汎用コンピュータを使っていると思いますので、たぶんEBCDICコードですね。
 EBCDICコード(カナ拡張)で、「ゴジラ」を表すと

   01110000→コ
   10110110→゛
   01110010→シ
   10110110→゛
   10101111→ラ

 となります。濁点・半濁点も1文字という扱いは、昔の電報みたいです。穴の開いた紙テープをスラスラ読める方は、このコード表を暗記しているのでしょうね。
 余談ですけど、子どもの頃、コンピュータといえば、円盤がクルクル回るものと理解していたのですが、あれって、外部記憶装置だったのですね。
 クルクル回っているのは、磁気テープ(オープンリール)です(ビデオテープがむき出しになったようなもの)。コンピュータは、ただの箱。テレビ的には動きが欲しかったのでしょうね。
 あと、電話とFAXの歴史は分かりません。

satsuさん、昌紀さん、如熊夢さん、たっちゃんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。