--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.997 (2012.09.16)

Q. kztさんからの疑問

 夏目漱石の『三四郎』、富田常雄の『姿三四郎』、小林まことの『1・2の三四郎』など、日本には「三四郎」というよく知られた名がありますが、彼はいったい何番目の息子なのでしょうか?
 一郎、二郎、三郎、四郎、五郎などは順序が明解で、疑問の余地がありませんが、三四郎は三男でしょうか? 四男でしょうか?
 三男となるべき息子が運悪く夭逝したので、三男の分まで生きてくれ、という意図を込めて三四郎にしたのかとも思いました。しかし、もしそうであれば、同じ状況の下に、「一二カ」や「二三郎」もあってしかるべきではないかと思います。でも、「一二カ」や「二三郎」ってとんと聞きませんよね。
 なぜ三四郎だけがポピュラーなんでしょうか?

大リーグで活躍するイチローは、次男ですね。


A. やまおさんから

 掛け算だと聞いたことがあります。
「三四郎」は、12番目の息子なのです。十二男です。
「十二郎」より「三四郎」のほうがカッコいいじゃないですか。

A. 子沢山さんから

 かなり羅列的な回答になることをご容赦ください。

(1) 三四郎ほどには多くはないと思いますが、一次郎(いちじろう)、次三郎(じさぶろう)という名前はあります。

(2) 三四郎という名前が何番目かというと、一概に言えず、三男でも四男でもないこともあるように思います。
 しいて多そうなケースは、第4子で1人姉がおり、男子としては3番目で三男というものです。
 もちろん、kztさんがご指摘の、1人兄が亡くなっているケースもあるかもしれません。七男を3+4=7で、三四郎としているケースもありそうです。
 そもそも姿三四郎のモデルとなった、西郷四郎は初めから三男として生まれています。このように名前の数字と生まれた順には関係ない場合もあるので、三四郎が何男なのか一概に言えないと思います。

(3) 少々異なるケースですが、徳川家康の正式なフルネームは「徳川次郎三郎源朝臣家康」です。
「徳川」は苗字(名字)、「次郎三郎(じろさぶろう)」は字(あざな)・通称、「源(みなもと)」は氏(うじ)、「朝臣(あそん)」は姓(かばね)、「家康」は諱(いみな)・実名です。
 現代では、苗字、姓、氏は、同じ意味になってしまっていますが、本来は異なるものです。
 字の「次郎三郎」ですが、総領・嫡男たる長男は、前当主である父親と同じ字をつける場合が多く、家康の父、松平広忠の字も「次郎三郎」だったようです。こうして父と同じ字をもらうことは、嫡男であることを約束された証しでもあったのです。
 この二つつながったような名前は他に、「三郎四郎」、「四郎五郎」、「四郎次郎」などもあります。「太郎次郎」というのは、ありそうに思いますが、寡聞にして存じません。
 これらの字はだいたい、父の字が例えば「三郎」とすると……、長男は、嫡男なので、父と同じ「三郎」(この場合、長男なのに三郎になります)、
 次男は、三郎の次男なので、「三郎次郎」、
 三男は、三郎の三男ですが、「三郎三郎」はおかしいので、例えば「新三郎」、
 四男は、三郎の四男なので、「三郎四郎」でもいいし、たとえば「助四郎」
――などとなったりします。
 もちろん一度リセットして、長男を太郎、次男を次郎にしてもいいようで、字なので多少おおざっぱなルールだったようです。

三四郎さんから「実際のところ」をご回答をいただきたかったのですが……。(星田)