--- 素朴な疑問集 ---
トップページへ    [素朴な疑問集 TOP]


疑問No.074 (2000.11.30)

Q. きんたろ〜さんからの疑問

 童話で、『赤ずきん』というのがありますよねぇ。
 
あの物語の少女の名前は何というのですか? おばあちゃんも、少女のことを『赤ずきんやぁ〜』なんて呼んでいました。


A. 夢幻さんから

 アメリカの心理学者エーリッヒ・フロムの解釈では、「赤頭巾」と言うのは血の色で、女性のメンスの象徴なのだそうです。
 つまり「赤頭巾ちゃん」の物語は、思春期の少女の性の危険に対する警告の書であって、「赤頭巾ちゃん」に名前はないのです。
 グリム童話には、それぞれ性的暗示があるのだそうです。

A. うにうにさんから

 手元に原作と日本語の対訳になっているテキストがあったので、見てみたのですが、「赤ずきん」は原作でも「赤ずきん」(ドイツ語で、Rotka"ppchen( a"は、本当は a の上にウムラウトがついた1文字)です。
 書き出しの部分では、単に赤いずきんの少女となっていて特に名前はなく、続く母親の呼びかけも「赤ずきんちゃん」と呼んでいて、やはり名前らしきものはありません。

A. かまさんから

 原典は見つけられませんでしたが、原典に忠実に訳したという訳文をのせたサイトを見つけました。
http://www1-1.kcn.ne.jp/%7Eshrink/cause/rb1.html

 それによりますと、名前(本名)の記述は無く、「小さな可愛い女の子」としか書かれていませんでした。代わりに、通り名である「赤ずきん」の由来は記述されております。
 グリム童話は民間伝承などを元にしていますが、すこし前に流行った『本当は怖いグリム童話』に類する本のとおり、わりと残酷な話が元ネタになってます。
『赤ずきん』の場合、児童に対する性犯罪や誘拐等が元の話だそうです。だから、『赤ずきん』は今で言うところの「知らないオジサンには付いていってはダメですよ」等ということを諭す話であって、だからこそ特定の「○○ちゃん」の話ではないのだと思います。

A. magi.さんから

 赤頭巾の初出はペロー(Charles Perrault)の1697年の版ですが、その中で赤頭巾ちゃんは“Le Petit Chaperon rouge(小さな赤頭巾ちゃん)”と呼ばれています。
 すなわち赤頭巾ちゃんは生まれ出たときから「赤頭巾」ちゃんであり、それ以外の名前は知られていません。
※某格闘ゲームに登場する赤頭巾は「バレッタ」、某アニメの赤頭巾は「チャチャ」という名前ですが、これは参考にはならんわなぁ……。

A. NYさんから

 まず、『赤ずきん』の原題ですが、『Little Red Riding Hood 』です。直訳すると、「ちっちゃな赤い乗馬頭巾」でしょうか。
 実は、『赤ずきん』には微妙に異なる様々なバージョンがありますが、ほとんどのバージョンでは、名前は書かれていません。
 たとえば、1729 年に英国で出版されたバージョンを要約すると、
「小さな女の子がいました。いつも小さな赤い乗馬頭巾をかぶっているので、
みんな『小さな赤い乗馬頭巾』と呼んでいました」
と、書かれています。
 1890年代に出版されたバージョンに、おばあさんも本当の名前は忘れたと書かれているものもあります。
 ところが、1900 年代に入ると、
「彼女の本当の名前は『Maisie』でしたが、みんなは『小さな赤い乗馬頭巾』と呼んでいました」
と書かれている本が幾つか出版されています。たぶんこれは 1909 年に出版されたバージョンの作者が勝手に付け加えたもので、それ以降に出版されたものはこれを下敷きにしたのではないかと推測されます。
 したがって、結論としては、「赤ずきんちゃんの本当の名前は書かれていない」というのが正しいと思います。

A. masakimさんから

『赤ずきん』はシャルル・ペローの『童話集』(1967)に、"Le petit chaperon rouge"の題で収められています。その後、"Ludvig Tieck,Leben und Tod des kleinen Rotka:ppchens" (1800) が出、1812年に『グリム童話集』初版第一巻に"Rotka:ppchen"として載りました。(注:「a:」はAウムラウトの代用です)
 英語では普通"Little Red Riding Hood"と訳されていますが、私の持っている"The Complete Fairy Tales of the Brothers Grimm"(1987)では、"Little Red Cap"と簡単になっています。
 英訳や和訳を読んだかぎりでは、赤ずきんちゃんの名前は出てきません。
 童話・おとぎばなしでは主人公に名前が付いていないのは普通なのではないでしょうか。『眠り姫』『白雪姫』なども固有名詞というよりあだ名に近いようですし、『シンデレラ』も「灰かぶり姫」と訳されることがあるように、舞踏会に行く前の悲惨な状態を表わす名前です。日本でも、『花咲爺さん』など、名無しの権兵衛が多いようです。
 童話では時間・場所などを特定しないことが当然ですし、主人公も固有名詞を付けないほうが空想がひろがるのではないでしょうか。
 たとえば、嫌いな子の名前が出てくる童話は「坊主憎けりゃ」でどうしても好きになれないと思うのですが……。