Q. まことさんからの疑問
私が歳を取っているからかもしれませんが、若い方が「アイスクリーム」のことを「アイス」ということに、抵抗感があります。「アイス」だけだと、どうしても「氷」を思い浮かべてしまいます。
こんなことを言っている私ですが、「ガム」のことを「ガム」と呼んでいます。ところが、「チューイングガム」という呼び方もあります。
そこで考えたのです。どうして、わざわざ「チューイングガム」と呼ぶのだろう? 私の知っているガムはすべて、chewing(噛むこと)するのです。それならわざわざ「チューイング」と付ける必要もないと思うのです。
★この種の疑問のよくある答えは、実は、「チューイング」しない「ガム」があるというもの。でも、全く、思いつきません!
A. kztさんから
噛まないガムですが、3つ思いつきます。
ひとつは、エンジンが好きな人ならたいてい知っていますけど、内燃機関内部の燃焼室、シリンダヘッド、シリンダー、ピストン、気化器などの金属表面にこびりつき、蓄積した汚れの種類のうち、粘着性のものをガムと称します。
これを除去するための薬剤が種々市販されています。たいてい「しつこいガムとスラッジを溶解して除去」のようなコピーで売られています。
もうひとつは、手塚治虫『マグマ大使』の息子の名前がガムでした。
あと、青雲にもガムという名のものがあります。
A. YOSHYさんから
味も素っ気もない回答をします。
「ゴム」の英語は「rubber」もありますが、「gum」もあります。ゴムの木から出た樹液をさすようですが、米語では「gum」です。日本語のゴムは、「gum」がゴムになったものです。
したがって、「ゴム」と「ガム」を区別するために、頭に「chewing」を付けたのだと思います。
食欲をなくす回答ですみません。
A. 賢さんから
輪ゴムやゴム紐やゴムタイヤに使われている材質が、「チューイングしないガム」です。
「ガム」とは本来「ゴム弾性を持つ物体」を意味する単語で、英語では「ガム」、オランダ語では「ゴム」、ドイツ語では「グミ」です。
ただ、現在の日本語では、ゴムは「ゴム弾性を持つ材質」、ガムは「チューインガム」、グミは「ゼラチンを固めた柔らかいお菓子」という、狭義の意味で使い分けられているのが実状だと思います。
チューインガムの一種ですが、噛んで「膨らませる」ことに注目した「バブルガム」という単語で区別することもあります。
A. ヤコピさんから
日本でガムと言えばたいていの場合は噛むものなので、わざわざ「チューイング」と付ける必要もないというのはその通りです。
しかし、英語の gum は粘性のある樹液の総称で、ガムもゴムも樹液そのものも含んでいるので、以下のように、それぞれを区別する必要があります。
chewing gum チューインガム
pine tree gum 松脂(まつやに)
gum boots ゴム長靴
gum cylop ガムシロップ(アラビアゴムノキの樹液入り砂糖水)
ちなみに、同じものを日本ではガムとゴムと区別しているのは、ゴムはオランダ人が伝えたため、オランダ語の
gom が定着し、ガムは英語の発音が定着したのが理由です。
他にも、外来語の中には、以下のように、同源でありながら、流入の経路や時代が異なるために、区別されて定着したものがあります。
カップ=コップ(オランダ)
ジャケット=ヤッケ(独)
ケープ=カッパ(ポルトガル)
グラス=ガラス(オランダ)、
カード=カルテ(独)、カルタ(ポルトガル)
ラムネ=レモネード
ステッキ=スティック
★「ケープ」と「カッパ」が源を同じにしていると知りませんでした!
A. ごんたさんから
「チューイング(噛む)ガム」というからには、「噛まない」ガムもあるというヒントがあるのですから、それを探すのは簡単です、
真っ先に浮かんだのは「ガムテープ」「ガムシロップ」の二品。これらは、どちらも噛む物ではありません。ということは「ガム」という物質は、まことさんの思われる「口にする物」だけだと思い込むのは早計だということが分かりますね。
「ガム(gum)」という言葉を辞書で調べれば直ぐにわかるのですが、日本語でいうところの「ゴム」というのがガムの正体です。
ゴムというのは、タイヤや消しゴムのような固形を想像されるかも知れませんが、元は樹液のような粘着性のどろどろとした液体です。ガムとゴム、これらは物質そのものの名称ではなく、状態を示す言葉だと考えた方が良いと思います。というのもゴムという言葉には「目ヤニ」なんて意味も含まれているからです。
ガムテープはその粘着性の物質を塗ったテープであり、チューイング・ガムとは粘着性の物体を食品として加工したものだということなのです。(ちなみに、「ガム・シロップ」というのは砂糖水に添加されたアラビアゴム[樹液]という物質にちなんだ名称だそうです。冷たい飲み物などで砂糖が再結晶化しないように添加されているそうな)
A. 子沢山さんから
チューインガム(chewing
gum、噛むゴム)と、わざわざ chewing
をつけるのは、当然 chewing 用ではない
gum があったからです。
チューインガムの歴史は、西暦300年頃、中央アメリカの原住民が、サポディラという木の樹液のかたまりを噛んでいたことが始まりで、このかたまりはチクルと呼ばれたそうです。
このチクルを噛む習慣は、後にメキシコのインディオに引きつがれ、さらにスペインが新大陸を侵略した後には、スペイン系移民の間にも広がりました。
1860年頃、メキシコの軍人で大統領にもなったサンタ・アナが、チクルから産業用のゴムを作ろうとしますが失敗します。ところが、このチクルが口の中をきれいにする作用を持っていたことに気づいたサンタ・アナは、チクルを飴玉のように切って売り出します。
やがて、サンタ・アナの協力者であったトーマス・アダムスが、アメリカでチクルに甘味料を加えて売り出したところ大人気となり、さらにシナモンやハッカなどの味が加わっていきました。この時に、それまでの産業用の
gum(ゴム)ではなく、噛むゴムという意味で、chewing
gum という名前をつけられたそうです。
日本でのチューインガムの普及は、終戦後進駐軍が持っていた携帯食料を通じてのもので、結構歴史は浅いものになります。
ちなみに現在の英語圏では、産業用のゴムのことは
rubber と言わないと全く通じません。
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