--- 素朴な疑問集 ---
トップページへ    [素朴な疑問集 TOP]


疑問No.1026 (2013.02.17)

Q. kztさんからの疑問

「打ち上げ」は、文字通りの意味では、花火やロケットのように、爆発や噴射による鉛直方向上向きの物体の発射をいいます。発射する物体が自身で推進力を有するかどうかは関係ありません(花火はなし、ロケットはありだから)。
 ミサイル・大砲・迫撃砲などは、発射の向きに水平成分を有しているからでしょうか、ふつう「打ち上げ」とは言いません。また、銃を鉛直上向きに撃つケースは、上記定義を満たしていても「打ち上げ」と言いませんから、なぜか弾丸は該当しないということも不思議ですね。
 ところで、イベントの終了とかプロジェクトの完了とか公演終了とか、何でもいいんですが、あることを達成・成就した後には関係者一同で「打ち上げ」と称する大宴会をしますよね。
この宴会をなぜ「打ち上げ」というのか、いつごろからそういうふうに言いはじめたのか、教えてください。明治大正はもちろん、昭和初期にもまだなかった日本語だと思います。

本来の「打ち上げ」と何か共通点があるのでしょうね。


A. ごんたさんから

 弾丸の発射に打ち上げという言葉を使わないのは、弾丸には到達目標があり、それを狙って「撃つ」からです。
「打ち上げ」とは何かを上にあげる(もしくは、何かが上がった)ことが目的となる行為ですから、花火やロケット(たとえ月に向けて打ち上げたのであっても、ぶつけるのではない)、フライ(打球)などがこれに相当するのだと思います。
 イベントやプロジェクトなどの終了に「打ち上げ」という言葉を用いることに関しての疑問について、「打ち上げ」という言葉を辞書で引くと、邦楽(能や歌舞伎)の演奏法として演奏の区切りをつけるときに、調子を一段高めて奏するという項目があります。物事に区切りをつける際に、バーンと派手なこと(祝いや花火など)で区切りをつけることを演奏になぞらえてそう表現したのではないかと思います。
 たとえばトンネル工事などは開通の際にお祝いしますが、まだ道路や線路などの工事が次に控えていたりしますから、区切りを祝っていると言えますね。
 宴会は……、まあ、祝いということで当然のように付随したのでしょう(笑)。
 能や歌舞伎の用語が語源とするのなら、使い始めたのは当然ながらそれらの文化が盛んだった年代といえるのではないでしょうか?

A. 子沢山さんから

「打ち上げ」という言葉の由来は古いようです。
 邦楽のお囃子、長唄、歌舞伎の鳴り物(BGM)などの演奏手法の一つで、太鼓や鼓などの打楽器を曲の途中から加えたり、その鳴り方を強めるなどの方法で、曲を盛り上げてから終えることを「打ち上げ」と言いました。
 この「上げ」は、「上がる」、「上げる」に終わる、終えるという意味がある(例:雨が上がる、すごろくの上がり)ことから、「仕上げ」、「売り上げ」などと同様に「終わり」という意味で、上方への移動を意味するものではありません。
 このようなことから、歌舞伎や舞台などの興行の終わりを「打ち上げ」というようになり、ひいてはその後の締めくくりの宴会も同じ言葉を使うようになりました。
 同じように邦楽の演奏から出た言葉に、「打ち合わせ」があります。
 これは、指揮者がいない邦楽では、練習の時に拍子木のようなものを打ちながら、そのリズムに合わせて演奏したり、打楽器に合わせながら演奏したことから、会合前の準備というような意味になりました。