私はゴルフをやったことがないので、さっぱりわからないのですが、だいたいのルールはわかっているつもりです。
ゴルフでは基準打数よりも1打少ない打数でホールアウトすることを「バーディ」といいますよね。これって、「鳥」ってことですよね?
2打少ない場合は「イーグル」、3打少ない場合は「アルバトロス」ということはも知っています。
でも、どうして、基準打数より少ない場合に、鳥の名前を使うのでしょうか? これらの鳥の名前は、何かゴルフに縁があるのですか?
また、「アルバトロス」の方が、「イーグル」よりも成績が上ですが、これは何か理由があるのでしょうか?
★私もゴルフはやりませんが、この疑問には大変興味があります。
バーディやイーグル、アルバトロスのなかで、一番重要なのは、最初に作られた「バーディ(鳥)」いう用語だろう。後の言葉は「バーディ」のつながりで生まれて来たものと、容易に想像がつく。
バーディはバードの幼児語であるが、ゴルファーが良いスコアだったとき、「さっきのホールは鳥ちゃんだったぜ」みたいな使い方で広がったのだろう。 さて、「バーディ」の由来はというと、米国の「アメリカンゴルファー」というゴルフ雑誌の1924年5月号のコラムに、
「1アンダーパー、すなわちバーディの語源は、ゴルファーの願望が飛距離にあることに由来する。『ボールよ、大空を高々と飛翔する鳥のように飛べ』との願いを込めてバーディと命名された」
という記事が掲載されている。これが、真実を言い得ていると思う。
突然で恐縮だが、アルマジロとセンザンコウはそっくりだが、近種の動物ではない。アルマジロは異節上目被甲目、センザンコウが鱗甲目に属する全く違う動物だ。同じような環境に生息したことで、同じ方向に進化したものだ。
東アフリカのスワヒリ語では、釘を打ちつける時の擬音語は「ンガッンガッ」で辛い物は「ピリピリホッホ」と呼ぶ。まるで日本語の方言のようだ。これらの例は、行動生物学的にいえば、その条件が揃えば、生き物は同じような行動を起こすということだ。
美しく飛び出し重力に逆らうように浮力を得て高々と舞い上がったボールがピン側へと舞い降りる鳥のようなショットはゴルファーの憧れだ。きっと感動的なショットを放ったとき、「鳥のような」と表現したくなったゴルファーは、
有名な誰か1人ではなく、多くの人が「鳥のようだった」とつぶやいたはずだ。ましてや、米国のスラングで「バード」に「凄い」の意味があるからなおさらだ。
以下にバーディの由来となったとされる逸話を3つほど記述したが、どの話も具体的で真実味があるので、本当なのだろう。ゆえに、雑誌アメリカンゴルファーの「バーディの語源は、ゴルファーの願望が飛距離にあることに由来する」が真実なのだと、私は確信する。
H.B.マーティンの著書「50年のアメリカのゴルフ」によれば、1899年4月、アトランテック・シティ・カントリー倶楽部で、ウィリアム・ポルトニー、AB・スミス、ジョージ・クランプの3人のゴルファーが一緒にプレイしていた。
350ヤードの長い第12番のフェアウエーで、AB・スミスは第2打を当時最新だったハスケスボールで思い切り打つとボールは高々と舞上がり、ピンの至近距離に着地した。ホールアウト後、スミスは「あれは鳥のようなショットだったろう」と同伴者のジョージ・クランプに話しかけた。クランプは「ザッツ・ア・バード・オブ・ショット」と答えた。これが「バーディ」の語源なったと
いう説がある。
米国のゴルフマガジン社の「エンサイクロペディア・オブ・ゴルフ」は、1903年、アトランティックシティに住むA・H・スミスというプレーヤーが1打少なくホールアウトしたときに「flew
like a bird(鳥のように飛んだ)」と名言を残したことが始まりで、これが次第に広まっていったという説を掲載している。
1903年、ウィング・フットゴルフ倶楽部で、ゴルフ場の設計者A.ウィング.ハーストがPar5で2オンしパーを破る。このとき、「ザッツ・ア・バード」と叫んだ。A.ウィング.ハーストは、1933年、彼の回顧録の中で、「私があのボールをバードと呼ばずにアルバトロスと言っていたら、規定数より2打少ないことをなんと呼んだでしょう」と楽しそうに述べている。
イーグルはというと、バーディより1打上回る良いスコアを「ビッグバード」と呼んでいた。しばらくして、アメリカ象徴であるイーグルという言葉が使われると、たちまちこれがアメリカンゴルファーの心を捉えて、一気に流行した。