--- 素朴な疑問集 ---
トップページへ    [素朴な疑問集 TOP]


疑問No.1035 (2013.04.21)

Q. かーこさんからの疑問

 今さらの質問なのですが、でも、長年の疑問なんです。
 ドライバーには、プラスとマイナスがあります。種類があるということは、きっと何かの理由があるのだと思うのですが、いくら考えても思いつきません。
 
どうして、ドライバーには、プラスとマイナスの種類があるのですか?

「*」のようなドライバーもありますよね。


A. 杏子飴さんから

 ドライバーがネジを回すためのものということで考えると、ネジが先に完成したものと思いますので、そこから逆説的に考えてみました。
 ネジ穴を作るにあたって、いちばん簡単な形状って一直線だと思うんですが、穴を作るほうは簡単でも、いざネジを回してみるとかっちりはまらないので、滑ることが多くあります。また、ねじ穴への圧力が2点になるので、力のかかり具合からして、回りづらかったりと。
 そこで次に十字にしてみようかと。
 そしたらきっちりはまるし、力も分散するし回しやすいではありませんか!
――ってことで、マイナスとプラスになってんではないかと思います。
 ☆とか六角などもありますけど、悪戯防止のほか、ネジ穴への圧力とかが分散して締まりやすいとかあるのではないですかね。

A. アンギラスさんから

 それぞれ用途というか適材適所というものがあるんです。

【プラスのメリット】
 ドライバーとネジがガッチリ噛み合うので力が大きく伝わり、しっかり締めやすい。

【プラスのデメリット】
 その部分に水が溜まり錆びやすく、その部分が潰れたら、再度締めこんだり外すことが難しくなるため、屋外など水がかかる場所で使用に向かない。
 締める・外すに専用のドライバーが必要なため、アウトドアや戦場など用具が限られてる、あるいはドライバーが無い状況では締め直したり、外したりできない。

 マイナスのネジは力強く締められない。というデメリットはありますが、頭が溝なので、水が溜まりにくく錆びにくい。また錆びてしまっても何らかの方法で溝を切りなおせば何とか外せる。
 専用のドライバーがなくとも、適当な厚みの金属片・ナイフなどがあれば、とりあえず締め直したり外したりできる。これは戦地など非常時では、かなりの優位ですね。
 マイナスのネジにも、それなりのメリットはあるんですね!

A. kztさんから

 もともとはマイナスだけでしたが、プラスは人力ではなく機械の力(電気、圧搾空気など)で高速にかつ強力に締められるので、飛躍的に効率がよく、大量生産に圧倒的に有利であることから、工業化・大量生産を背景に、急激に普及してきました。
 マイナスだと軸心がずれることがありますが、手で回す分には支障ありません。プラスなら中心が一意にきまるので、ドライバーとねじの軸心が必ず一致し、高速回転させても心がぶれないのです。
 当初はプラスが珍しかったのですが、昨今ではマイナスの方が珍しいほどになっています。
 本田宗一郎が欧米の工場を視察に行ったときに、落ちていたプラスのネジをこっそりポケットに拾ってきて、これからはプラスネジの時代だと思い知ったという逸話が知られています。それまではマイナスが当り前だったのです。

A. ごんたさんから

 単純に考えると、マイナスのねじが最初に作られ、その後に何らかの理由をもってプラスねじが作られたという想像がつきます。
 マイナスの方が先という理由は形状が単純なこと、道具もねじ自体も製造が楽ですから、先に登場するのは必然と言えるのではないでしょうか。
 次にプラスねじが現れた理由についてですが、マイナスねじでは不都合な点が何かあったからと想像します。
 たとえば、マイナスねじはドライバーがない場合でも板状の金属などで代用が出来ますが、それは逆に考えれば工具を使わずともねじが外せるということになります。
 精密機械や危険な機械など、素人が気軽に外したり、単純にそのねじを回すだけでも調整が狂ったりして大変な事になるかも知れない場所にマイナスねじを用いるのを問題視し、その打開策としてプラスねじを作ったのではないかと考えます。言わば一種の「鍵」ですね。
 あと、マイナスからプラスになることによって、ねじに加わる力を均等にする効果もあり、少ない力でねじ込むことが出来るのも利点の一つにあげられます。
 プラスドライバーが普及してしまったので、別の形(☆や*など)のねじが登場しています。ねじが鍵的に使われている証拠だと考えるのです。

A. Hyaruさんから

 ドライバー(正しくはスクリュー・ドライバー)はネジを回すものですが、そのネジの進歩の歴史に依ります。
 最初ネジは、回しやすくするために、頭の部分に「すり割り」という1本の溝が彫られました。これがマイナス(−)ネジです。
 マイナスネジは製造しやすい利点がありましたが、ネジの中心とドライバーの中心を一致させるのが難しく、回しづらい、すり割りを傷めやすいという欠点がありました。これらを解消するために後に考案されたのがプラス(+)ネジです。
 今では身の回りのネジはほとんどプラスですが、ドライバーに関して言えば、マイナスドライバーは、何かすき間に差し込んでこじったり、あるいはタガネ代わりにしたりと、別の用途で使われることがあります。
 なお、プラスネジが日本で使われるのは第二次大戦後です。そして、日本に初めてプラスネジを持ちこんだのは、ホンダ創業者の本田宗一郎さんではという話が伝わっています。

A. 子沢山さんから

「ドライバー」という語にはさまざま意味がありますの、ここではJIS規格用語である「ねじ回し」という語を使います。
 総じて似たようなものが2種類ある場合は、それぞれに一長一短があるからで、一方が他方をあらゆる面でしのいでいたら劣った方は当然淘汰されます。
 ねじ回しに関しては、その使用対象であるねじの「ねじ頭」との関係で考えます。
 ちなみに、ねじ回しが接触する部分を、ねじ頭ではなく「ねじ山」という人がいますが、ねじ山はらせんのねじが切ってある「軸」と呼ばれる部分の溝、「ねじ溝」に対して山になっている部分のことです。
 ねじにはさまざまな種類があり、スパナで締め上げるボルトなどもねじの仲間ですが、ここでは一般的なねじのねじ頭のプラスとマイナスについてのみ述べます。
 構造的にはマイナスねじの方が単純であることから、16世紀にはすでに存在したようです。一方、プラスねじは、1933年、アメリカのフィリップス・スクリュー社が J.P.トンプソン が発明した特許を買い取り発売したことが始まりです。
 マイナスねじのメリットは構造が単純なことです。そのため、高度な制作技術が不要で安価に作れます。この構造が単純なことは後述するあるメリットに結びつきます。
 一方、プラスねじのメリットは、操作性に優れることです。

(1) ねじ回しの先端が突で、ねじ頭にはまりこみ、ねじとねじ回しの回転軸が一致する、
(2) ねじ回しの力をねじに4点で伝える、

という2つの理由でねじ回しの力がねじに有効に伝わります。
 マイナスねじですと、ねじとねじ回しの回転軸が一致し難い上、ねじ回しの力をねじに2点でしか伝えられないことから、ねじ回しの力がねじに有効に伝わり難く、結果ねじからねじ回しが外れ、ねじをなめるという現象が起きやすくなります。
 このようなことから、マイナスねじというのは以前ほど使われなくなってきています。
 ところが、ある領域ではマイナスねじの方に大きなメリットがあります。それは屋外で使用する場合です。屋外ですと、ねじ頭の溝に泥が溜まったり、錆びが発生したりして、ねじ回しがさしこめなくなることがあります。この場合、構造の単純なマイナスねじですとねじ回しで溝をこするだけで溝が復活し、使用が可能になります。そのため、屋外での作業環境では、今でもマイナスねじは広く使用されています。

たくさんのご回答、ありがとうございました。勉強になりました!