--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1038 (2013.05.03)

Q. Hoshiyanさんからの疑問

「小股の切れ上がった女」のように表現する小股は、体のどこの部分なのでしょう?
「小股の……」を辞書で引くと、「股が長くてすらっとした、粋な女の姿をいう言い方」とありますが、どこが切れ上がったとは指摘していません。
「小股」がどこなのか、知っている方に教えていただけませんか?
追記:私は小股とは足の親指と第二指との間ではないかと思っています。

「小股」がどこかわからなくて、こまったなぁ。……なんてね。
  「小股」があるなら、「大股」もある? あるよね、きっと。


A. 蟻爺さんから

 回答ではありません。
 岩波新書の『読書こぼればなし― 一月一話』の中に、小股の切れ上がった女という項があります。
 岩波書店が発行している「図書」に連載されていた同名のコラムを一冊にしたものです。ご参考までに。
 この本は面白い本です。

A. 半可通さんから

 まず、「小股が切れ上がった」という表現を辞書から拾うと、概ね「スタイルがよく粋な女性」をイメージできるはずである。
「小股」なる名詞を探すと、足袋の親指の股だが、これは明らかに和装業界用語だと思われる。
 もしこの部位をもって「小股の切れ上がった」という形容をするとなると意味不明になってしまうし、爪先でそそとして歩く様子に繋がるといわれてもこじつけっぽくて納得いかない。
 そもそも江戸期の和装の女性は皆さんそういう歩き方だったと思われるから、国語辞典にあるような粋な女性という特別な意味を持つ理由として根拠が希薄過ぎるだろう。
 他に動態を表す「大股」に対する「小股」もあるが、これは歩幅を表してるだけで、切れ上がるとは結びつかない。
 そもそも和服で大股で歩く女性などいなかったはず(現代の成人式ではときたま見受けられるが……)。そうなると全ての女性が小股歩きだった時代に、小股の切れ上がったという形容が生まれるとも思えない。
 相撲の決まり手で「小股掬い」は、しっかりと対戦相手の片足を内側から掬い上げる「大股掬い」に対して、ほとんど手をちょっと沿えて脚の動きを抑えてる位の意味しか持たない。
 小股が切れあがったという場合も「ちょっと股が切れ上がった感じ」と捉えれば、国語辞典などに記載されてる説明とピッタリ一致しないだろうか?
 現代のようにパンツルックならば脚線もハッキリ判り、スタイルのよい女性はすぐに判るってもんだが、着物着用の江戸時代の人達が「小股の切れ上がったよい女」と評する場合、やはり後姿で判断したと思われる。
 腰の位置やヒップの動きで、目には見えない着物の裾の内を想像して「好い女だねぇ」ってな具合で出来た形容詞だと思う。
 まぁ、今回は質問の内容が「姿のよい小粋な女」の定義に関してであるから、どうしても艶っぽい話になってしまうが、男共が女性に向ける眼差しはいつの世でも同じだということ。
 つまりは「小股の切れ上がった」という表現自体が、当時としてはかなりセクシーな意味合いを含んでたと見てよいだろう。
 そう考えると足の親指と第二指の間にある「小股」ではセクシーさとは疎遠になってしまうから、やはり親指と親指の間にある「股」と考えた方が、私には得心が行く。

A. moon-jellyさんから

「小股」が体のどこかといったら、おっしゃる通り、足袋を履いたときの親指の股のことですが、「小股の切れ上がった……」の小股は「小耳に挟む」や「小首をかしげる」「小腹が空いた」 のように「少し」を含んだ言い方です。
 つまり「股がちょっと切れ上がったような感じの痩身で足が長いスタイルのよい女性」という言い回しのことだと思います。
 相撲の決まり手の「小股すくい」も「股をちょっとすくって投げた」という言い方から付いた名前じゃないでしょうか?

A. ざ〜さんから

 この件に関しては、諸説を調べるのが楽しいようですね。
 体の部位の名称を決定している日本解剖学会では、40年程前に『小股』がどの部位を指すか、真面目に検討されたそうです。
 すなわち、拇趾とU趾の間、足首、下腿、膝裏、陰部、ソケイ部(太腿の付け根のハイレグの部分)等々。結局、結論は出ず、名詞としては未確定のまま、現在まで棚上げされているようです。
 私の個人的意見としては、「小耳に挟む」という言葉があるように、「小股」は小さな歩幅で粋に歩く姿全体を指す、副詞がよろしいのではと思っています。

A. りょうけんさんから

 江戸時代、粋なお姐さんは三味線を弾いたり唄ったりして、一般生活をしている女の人よりも正座していることが多かったのです。
 そのため、O脚になって膝の間に隙間が空き、立ったときの後ろ姿を見ると、膝部分は横に張っていて臀部ににはゆるみができるようになり、縦方向に皺が走る形になりました。
 その様子を小股が切れ上がると表現し、芸妓など粋な仕事の女性を指す言葉になったと、江戸時代の考証本に書かれていたと記憶しています。