--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1043 (2013.05.31)

Q. Hyaruさんからの疑問

 現在の日本では、貨幣に「玉」をつけて呼びます。円盤型なのになぜ球形を表す「玉」なのでしょう?
 宝石などを「玉」としていたことから、同じく貴重品である貨幣もそう呼んだのでしょうか? でも、それなら読みは「たま」ではなく、「ぎょく」なはず……。
 また、時代劇などを観るかぎり、江戸時代の貨幣である大判・小判・丁銀・銅銭に「玉」をつけて呼ぶことはなかった気がします。とすると、明治以降の呼び方なのでしょうか?

考えたこともない疑問でした。


A. ごんたさんから

 紙幣が高額であるのに対し、貨幣は少額のお金です。紙幣を両替すると貨幣は複数個になります。
 ところで、鉄砲(昔のやつです)やパチンコで使用する球体も「玉(たま)」と呼び、「球(きゅう)」や「玉(ぎょく)」とは言いません。
 そこから推察するに、複数個をひとまとめにして呼ぶ場合に、丸い物は「玉」を用いるようになったのではないかと思うのです。
 貨幣も同じように丸っこいものなんだから「たま」で良いじゃないかというような感じで定着したのだと思います。言わば「俗称」のようなものかと。
 だからこういう呼び方を始めた時期というのは、貨幣の上位に紙幣が登場して以降ということになると思うのです。
 正式には「〜貨幣」という呼び名があるわけですから、問題はありませんし、「円盤」だから「球体」だからと言って呼び分けるのは利便性に欠ける考え方かと思います。

A. Hoshiyanさんから

 貨幣が円盤型であっても、球体、楕円体、または、それに類した形のものを「玉」というのだから問題はない。
 しかし……、「50円玉」、違和感がない。「500円玉」、ちょっと引っかかるが、違和感まではない。「1000円玉」、違和感がある。
 現在、10万円という貨幣もあるが「玉」は付けないだろう。つまり貨幣の後ろに付いている「玉」には、親しみのほかに若干の蔑みの意識が感じられる。
 優れたもの、大切なものなどを「玉」という美称で表すのは、古代中国から伝来した表現だろう。大事なお金である貨幣に玉を付けるというとならば、質問された方が言われるように古くからの高額貨幣もそう呼ばれたに違いがない。
 しかし、江戸時代の大判・小判、明治時代に日本で初めて円という単位で発行された1円などの硬貨の後に玉を付けて呼んだという記録を私も読んだことがない。
 質問された方の指摘通り、貴重なものにも使われる「玉」は、「玉摧、玉眼、玉座、玉稿、玉顔」など「たま」ではなく「ぎょく」だ。「たま」は、「玉の肌」や「掌中の玉」などいい意味でも使われるが、「奴もいい玉だよ」など他者を蔑む場合にも使われる。
 こうして考えると、「10円玉」の「玉」にはやはり若干の蔑む感覚がある。
 紙幣も発行されて、主に高額な金額を紙幣が担当して、小さい金額を貨幣が担当するようになり、昭和以降で同等の価値を持つ紙幣と貨幣が混在したときがあった。そんなとき、国民はその紙幣と貨幣を区別するために、紙幣には畏敬の念を抱きつつ、低額貨幣に親しみを込めて「玉」を付けて呼んだのだと、私は推測する。