--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1051 (2013.07.14)

Q. らくださんからの疑問

特に満月に近い月のときによく思うのですが、低い位置にある月が、高い位置にある月よりも大きく思えます。
 高い位置にある月の大きさを測って言っているわけではないので、信憑性に欠けますが、低い位置の月はかなり大きく見えます。
 そのように感じるという人は、ほかにもいます。しかし、何かの本で読んだのですが、そう感じるのは目の錯覚だというのです。私たちの目はそんなにごまかされやすいのでしょうか? 
だとすれば、どうして大きく感じてしまうのでしょうか

私は、低い位置の太陽も大きく見えてしまいます。


A. おやじんさんから

 月が高い位置にあるときより低い位置にあるときに大きく見えるのは、らくださんが自らおっしゃっているように目の錯覚なのです。
 月が低い位置にあるときは、景色や建物などが大きさをを比較する対象として同時に視野に入るので大きく見えます。
 逆に、高い位置で広い天空にぽっかりと見える月は比較するものがなく(その広い空が比較の対象となって)小さく見えるのです。
 どうしても納得がいかなかったら、つぎのことをやってみてください。
 五円玉を出てきたばかりの月にかざして、ちょうどすっぽり隠れるときの目からの距離を覚えておいて、今度は天頂近くに上がったときに同じようにやってみると……。

A. たっちゃんから

 目の錯覚らしいので試してみました。道具は自分の体なので、いつでもできます。
 片目をつぶって、月に対して肩越しにまっすぐ手を伸ばし、自分の指を使って月の大きさを図ります。
 たとえば、腕をピンと伸ばして立てた親指に隠れる位と……。
 これを月の低いとき、高いときに試しました。
 ぜひ、みなさんも試してください。

A. bluestarさんから

 低い位置にある天体は、光の大気圏に対する入射角が浅いため、大気がレンズの役目を果たし大きく見えます。高度が高い場合は、その逆になり、見かけの大きさが違って見えるのだと思います。
 決して目の錯覚ではなく、自然現象ではないでしょうか? 詳しくはわかりませんが確かそのようなことを聞いた記憶があります。

A. 宇美浜りんさんから

 低い位置にある月が大きく見えるのは、空気のせいです。
 上空の月や太陽を見上げるときよりも、水平線や地平線の近くのほうが、空気中だけを見れば長い距離を通り、たくさんの空気を光が突き抜けてきます。
上空に太陽があるときは青空なのに地平線にあるとき夕焼けや朝焼けになるのは、そのために空気中の塵をたくさん通過して波長の長い赤い光以外が淘汰されるからです。
 周囲より多くの空気を通過するため、空気が凸レンズの効果を起こし月や太陽が大きく見えるのでしょう。空気中に水蒸気が多い地方では、さらに拡大され横長に見えることもあると聞きました。
 なお、地平線の月や太陽はまっすぐ正面が見えているのではなく、空気の密度の変化によって多少曲がります。そのために蜃気楼や逃げ水のような現象が起こるのです。

A. Far_West13さんから

 ほとんどの日本人にとって地動説はもはや定説ですが、今でも「東から『上った』お日様が西へ『沈む』」という天動説に沿った表現をします。やはり感覚的には天動説ですね。プラネタリウムのドームのように、空を「天球ドーム」と感じます。
 この天球の色ですが、昼間の晴れた空は真上の「青色」が最も濃く、地平線や水平線に近づくにつれだんだんと白っぽくなります。私達は経験的に白くかすんだ風景を見ると遠くだと判断しますから、真上よりも白っぽくなった地表近くの天球面は何となく遠くだと感じます。それで天球のドームが、丸々の球ではなく、私達は何となく天井あたりがやや低くつぶれて近い、というように「知識」による錯覚があります。。
 そのつぶれた天球面を太陽や月が動くとき、見えている大きさが同じなら、天体までの距離が変化してるだろう、つまり地表近くでは、より遠くにある、遠いなら本当は大きいのではないかという「論理」による錯覚をおこしてると考えられます。
 また、真上あたりに月や太陽があると、比較するものがなくて距離感がかなりあやふやですが、地表近くには山や遠くの建物など、眼球のピントとしては天体と同じ無限遠でも天体より近くの景色があります。これら近景より遠い太陽や月という「知識」による錯覚もあるはずです。
 私達の脳は、なまじっか知識や論理力があるために考え過ぎているのでしょう。月面で生まれ育った人ならずっと空は黒一色ですから、天球ドームを「真球」に感じるでしょう。我々地球人のように「『地球の出』で地球が大きく見える!」なんて言わないのではないでしょうか。

A. Hoshiyanさんから

 低い位置にある月が大きく見える問題は2千年ものあいだ論争が続いていて、様々な説がある。
 空気層の屈折説、水晶体扁平説、瞳孔拡大説、比較説、対比説、遠景説、介在説、天空形状説などなど。しかし、現代の光学機器で計測すれば否定できる説も多く、残るは心理に起因するものであろう。
 最も有力な説は人間の脳が天空をドーム型と認識していて、空に浮かぶ物体の大きさを地上の物体と比較して認識しており、比較対象のない真上の月よりも、比較対象のある地平線に近い月の方が自分から遠くにあると認識する。
 一方で目に映る月の大きさはどちらも同じなので、遠くにある月の方が大きいと無意識のうちに判断してしまう。「ポンゾ錯視」という視覚的認識効果によって低い位置の月は大きく見えると説明される。しかし、ポンゾ錯視では説明のできない地平の見えない暗黒中でも月の錯視が起こるなど多くの反論もある。
 私も質問者の方同様にこのポンゾの錯視では納得がいかないほど、低い位置にある月が大きく見える。月は満ち欠け、潮の干満、人の生理、出産にまで関係すると言われる。月は地上や人にこれほどの影響をもたらす不思議な存在として、不気味な感情とともに畏敬の念さえ抱かせる。
 低い位置の月は赤く恐ろしい。正体の分からないものや畏れ多いものは大きく見える。そうでなければ、あの大きさは納得できない。
 しかし、2千年の昔から今日にいたるまで論争の続く問題だ。そうやすやすとは、月はその正体を暴かれまい。

回答の内容が、大きく分かれてしまいました。それくらい古来から盛り上がっている疑問だったようです。

fukuonaraさん、だみあんさん、kisakiさん、YOSHYさん、やじゅっちさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。