--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1060 (2013.09.15)

Q. み〜なさんからの疑問

 具体的にどこの建物という例をあげることができないので、すみません。
 観光地に行くと、よく古い建物があって、
「この門は、○○城にあったものを移築したものです」
「この寺の建物は、△△寺にあったものを移築したものです」
などと説明に書いてあることがよくあります。
 移築ってそんなに簡単にできるものなのでしょうか?
 後世に残すために移築したのでしょうか? それとも、資源を有効活用するために残したのでしょうか?
 移築した時期が江戸時代だとしたら、大変な作業だと思うので、「移築によるメリット」がないと、移築なんてやらないのではと思うのです。
 いろんな例を教えていただけると助かります。

どこかの寺で使っていた瓦を再利用しているみたいな例もありますね。


A. みつおさんから

 移築された建物をいくつか見たことがありますが、移築の理由の一つは「後世に残すため」だと思います。
 本当はもともとあった場所で残すのがよいのでしょうが、次のような理由で移築されています。

・その土地に別の建物を建てたい。
・もともとの逢った場所にはアクセスが困難で、保存や観光のために移した。
・関連する建築物を1カ所に集めて、集客をはかりたい。

 また、利用されなくなった建築物をそのままにしておくのは惜しいということで資源の再利用として移築される場合もあります。なにしろ、木造の建築物の場合、材料は全部そろっているのですから、ゼロから作るより簡単なのではないでしょうか?

A. ごんたさんから

 移築を行う際には、移動する家屋を分解するのと分解しない方法の二通りがあります。
 日本の家屋は木造であることと、基礎となる石組みなどの土台に乗せる形で建築されているのが大きな特徴です。したがって、土台から切り離せば家を土地から離すことができるので、そのまま移動したり、分解して移動後に再度組み立てたりということが比較的簡単に行えるのです。
 家をそのまま移動させるのは「曳家(ひきや)」と呼ばれる工法で、別の土台となる部分まで家をそのまま移動させるもので、今でも行われている方法です。私の近所にも曳家によって移築した家はいくつかあります。
 移築を行う理由としては、現代なら文化財の保護が主な目的ですが、道路拡張などで移築をした家は多いと思います。財産分与などの理由で移築することも珍しくありません。他にも土地に絡む問題での移築や単なるレイアウトの変更、方角の変更などいろいろあります。
 現代でも古民家を解体し、その木材をそのまま別の家に転用することもあります。主に美観的な見地からの流用ですが、移築の理由に「資源の有効活用」というのは間違いなくあると思います。