--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1070 (2013.11.10)

Q. 祐之さんからの疑問

 日産の車に最近ついている「アラウンドビューモニター」についての質問です。上空から撮っているような映像は、どのようにして撮っているのでしょうか?
 車体のいろんな所にこっそり付いている複数のカメラの映像をコンピュータで合成して、瞬時に映像化するのでしょうか?
 とにかく、すごく未来を感じます。

こういうことは、パンフレット等にも書かれてあるとは思うのですが、ぜひ、開発秘話等のプラスαの雑学を付け足してください。


A. よしなしごとさんから

 アラウンドビューの車を試乗してきました。便利ですね!
 結局、奥さんの意向で別会社(もちろんアラウンドビューはない)の車にしたのですが、買って1ヶ月で奥さんが駐車場でドアをぶつけ修理に18万円……。
アラウンドビューのある車にしておけば良かったと後悔しています。
 アラウンドビューの開発者ではありませんが、なかなか回答がつかないようなので素人ですが回答させていただきます。
 仕組みはメーカーのホームページにあるように、4つのカメラで車の周りを撮影し、合成してモニタに映し出します。
 1つは前の「NISSAN」と書かれたエンブレムの下に、左右はサイドミラーの下に、後方は後部の上の方についています(車種が違えば別の場所かも知れません)。
 ここでポイントとなるのは、

   1) 歪曲補正
   2) 高解像度
   3) 合成

の3つの技術です。
 アラウンドビューのカメラのレンズは広い範囲を撮影できる超広角というレンズを使っています。デジタルカメラでも24mm〜135mmというような表記がると思いますが、小さい数字であるほど広角になります。小さいカメラであるほど広角にするのが難しいのですが、それは光学的にはじっこの方が歪んでしまうからです。つまり直線が曲線になってしまうのです。バックモニタを見ると結構歪んでいるのがわかると思います。
 コンパクトデジタルカメラにもほとんどが入っていますが、それを補正するために歪曲補正という画像処理をします。つまり、曲線になった線を直線に戻すのです。直線になるのは良いのですが、欠点として周辺が解像度がなくなったりぼやけたりしてしまいます。そこでカメラの解像度をあげる必要があるのです。
 このように処理した画像を合成するのですが、カメラの設置位置がかわると合成する位置が変わってしまいます。つまり、車種が変わると位置調整をする必要があるわけです。カメラの取り付け高さが同じであれば楽なのですが、取り付けている高さが違うと、見えている大きさも変わってしまうので、拡大&縮小して4つの画像が同じ大きさになるように画処理する必要があります。
 3つほど説明したのですが、近年になってようやく実現したのは、1つめの「歪曲補正」だと思います。処理の重い補正なので、デジタルカメラでの撮影のときはできても、リアルタイムで表示させるいわゆるライブビューできるよう高機能な画像処理エンジンができるようになったのはここ数年なんですね(もちろん業務用途とかは別ですが)。
 この技術で、うちのように駐車場でぶつけてしまう事故が減れば幸いです。
 
http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/avm.html