--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1104 (2014.07.04)

Q. マルさんからの疑問

 レストランで食事が終わったあとに財布を持っていないことに気づいたら、どういう対応をされるのでしょうか?
 先日のことです。ふらりと一人で立ち寄った定食屋で昼ごはんを済ませ、会計をしようとしたとき、財布を忘れてしまっていることに気づきました。
 もう愕然とし、食べたものをもどしてしまいそうなくらいでしたが、たまたま連絡の取れた友達にお店に来てもらってお金を貸してもらい、事なきを得ました。
 しかし、そういった友達が来てくれなかったとき、私はどういった対応をされたのか、非常に気になって、最近はそのことばかり考えてしまいます。
 お店の人は、そういうお客さんが来たときはどうするのでしょうか?  まさか、即警察なんてことはないでしょうが……。 どなたか詳しい方、教えてください!

「そのとき、私は?」というのも気になります。
  お店には非はないのですから……。


A. まいねさんから

 あー、恥を晒すようですが経験談を。
 若い頃、手持ちのお金が足りなくて、レジの方に申し出たことがありますが、「この辺にATMありましたらちょっと行っておろしてきます」と言うと、「荷物おいてってください」と一時退出を認めてくれました。
 残念ながら当時はATMの稼働時間が短くて、もうお金はおろせなかったのですが、途方に暮れて交番に出頭すると、
「今はカードが使えると思って、うっかりしちゃうかもねー」と笑いながら千円ほど貸してくれました。
 住所氏名ぐらいは書かされたかも知れません(覚えてなくてスイマセン)。それで戻ってお会計を済ませて出ることができました。もちろん、翌日すぐお金をおろしてその交番に返しに行きました。
 十年ほど前に書店で見かけた本(たしか『この方法で生き延びろ!』というタイトル)では、名刺など提出して明日必ず持ってくるから、今日の所は付けといてと交渉してみる、手持ちの腕時計など貴金属を預けてみる、最後の手段、皿洗いでの奉仕を申し出るなんてのもありましたよ。

A. ルーモさんから

 うちの店では所持金を確認させていただいています。
 たとえば会計が2000円強だとして、2000円弱の所持金があれば、身分証明書とともに誓約書を書いていただき、後日支払ってもらうようにします。
 大抵は(といっても極稀ですが)後日支払いに来ますが、来ない場合は被害届を出します。
 ところが2000円の食事代に、1円あるいは数百円した所持金がない場合は、鼻から支払う気がないと見なし警察に通報します。要するに食事代と所持金に開きがある場合ですね。
 本当にうっかり財布を忘れてきたんだ――という客もいますが、ほんとかどうか……。過去にありましたが、警察を介さず帰したら後日支払いに来ず、何度か電話しましたが通じず、それ以上請求する労力も見合わないので、以後即座に通報しています。
 こういうふうに書くと、頻繁に無銭飲食があるのではという印象を抱かれるかもしれませんが、創業ウン十年の飲食店においてあった過去のエピソードだとお考えくださいまし。

A. Hoshiyanさんから

 今回の質問者であるマルさんは定食屋から走って逃げても無罪でした。当然、道義的にはいけないことですが、雑学的には非常に面白いケースでした。以下がその説明です。

「食い逃げ」が有罪となる場合は詐欺罪(刑法246条)が成立した場合だ。その詐欺罪が成立するためには、「詐欺行為」(騙すこと)、錯誤(騙されること)、処分行為(財産権の法律上の変動があること)という3つの条件を立証しなければならない。
 最初からお金を持たず払うように振舞って、料理を注文した場合は100%詐欺罪が成立する。お金を支払う意思がないのに支払う意思があるように振舞って注文することは、店を騙す行為になるので詐欺にあたる。そして店は騙されているので錯誤も存在し、店は注文に応じて料理を出してしまっているので処分行為も存在する。
 だが、今回の質問者であるマルさんは最初からお金を払う意思があって料理を注文したが、昼食を食べ終えてからで財布を忘れたことに気づきたわけだから、お金を払わないで逃げても無罪だ。なぜなら、マルさんは注文した時点で店を騙す意思はないのだから詐欺罪は成立しない。
 しかし、お金を払わずに逃げてやろうと決心した時点で、「忘れ物を取ってくる」などと嘘を言って逃げた場合は店を騙しているので、詐欺罪が成立する。だが、たとえば店員が気付かない隙に逃亡たり、トイレの窓から脱出して、店員を騙すことなく逃げた場合は詐欺罪が成立せず無罪となる。物を盗んだわけでもないので窃盗罪にも該当しない。
 したがって、マルさんがその店で警察に突き出されるようなことがあっても有罪になることはなかったわけだ。さらにいうとその定食屋の裏口から走って逃げても罪に問われることはなかったということになる。