--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1199 (2016.08.12)

Q. アンギラスさんからの疑問

 人類が誕生し、まだ石器などの文明がなかった時代、髪の毛はどうやって切っていたのでしょうか?
 サルや類人猿などは体毛は適当な長さにしか伸びませんが、人類は放っておくと、体毛はともかく頭髪は伸び放題に伸びてしまいます。
 爪は手を使うことによって自然に磨耗したり、ネコのように何かで削ることも可能でしょうが髪の毛はそういうわけには行きません。
 黒耀石などの石器を利用した時代以降なら、それで適当な長さに切ることもできたでしょうが、それ以前なら切ることもままならず、伸び放題に伸びてしまったかと思います。
 それとも、ゴリラやオランウータンなどのように適当な長さまでしか伸びず抜け落ちてしまったんでしょうか?

実は、No.903で「昔の人は、ヒゲをどうやって剃っていたか?」という疑問を扱っています。
 内容が重なるような気もしましたが、今回は石器以前にどうしていたのかということで、私も気になりました。


A. ごんたさんから

 人類は石器時代より前から火を使っていたらしいと聞いたことがあります。それならばおそらく火を使ったのではないかと私は想像します。
 もちろん、直接火に当てれば全て燃えてしまうので、木の枝などを燃やした後、炎を一度吹き消して、ちょうど線香に火が付いたような状態になったところに伸びた髪やヒゲを当てて焼き切ったのではないでしょうか?
 カミソリで剃ったようなツルツル状態にはできませんが、そもそもそんな状態にする必要はなかったでしょうからこれで十分だと思うのです。

A. Hoshiyanさんから

 今から500万年前、チンパンジーの先祖と分岐して、直立二足歩行の人類の始祖が出現。そして、240万年前に石器を使うホモ・ハビルスがアフリカに現れた。このホモ・ハビルスの想像図を見ると、髪の毛が長く描かれておらず、分かりやすく言えばチンパンジーのような頭である(違う想像図もあるが) 。したがって、石器を持つ以前の人類は頭髪を切る必要がなかったことになる。
 その60万年後、地球は高温化し、なおかつ乾燥化し、アフリカの森林地帯は乾燥した灼熱の草原へと変化していった。そのため人類は体温の上がり過ぎを防ぐため体毛を捨てた。
 この頃から脳進化にシフトした人類は最も重要な頭頂を保護するセンサーとして、頭髪にもエネルギーを注いだため髪が長くなったのではないかと考えられている。
 長い肩にかかる髪の毛は体が強い直射日光に晒されるのを防げることや、雨が降ったときに頭や顔が濡れて急激に体温が下がるのを避ける体温調節の役に立ったと考えられている。
 さらに頭部を衝撃や外傷から守る役目もあるので、頭髪が長くなり始めた人類が髪を切ることは意識しなかったと想像できる。
 また、質問者の方が指摘されておられるように、頭髪は延々と伸びるわけではない。現代人でいえば1か月に1cm ほど伸び、1年間では12〜13cm ほど伸びる。そして、女性で10年ということもあるが、通常3〜6年ほどで抜け落ち生え換わるので、頭髪は130cm くらいが最長になる。
 この回答が質問者の方の好奇心を満たしていないことは何となく想像ができるので、江戸時代の湯屋の話を用意してみました。
 江戸の川柳に「石榴口(※1)蛙啼くなり毛切石」や「女湯へ蛙きこゆる毛切石」というのもがある。実際に蛙が啼いている訳ではなく、湯屋には拳大の平たい「毛切り石」なるものが置いてあった。
 その二つの毛切り石でムダ毛を擦り切ることによって手入れをしたので、それがキリキリと蛙の鳴き声に聞こえたということだそうだ。
 このことから剃刀のような切れ味の鋭い加工した黒曜石などなくても髪の毛を切ろうと思えば切れたといことになると思う。
 ※1:江戸時代の銭湯で浴槽の前方上部を覆うように仕切り、客がその下を腰をかがめてくぐり抜けて浴槽に入るようにした入口のこと