Q. やまおさんからの疑問
残暑の厳しい日が続いています。
暑い中歩いているときはあまり汗もかかないのに、目的地に到着して建物の
中へ入った途端に汗がどっと吹き出します。
どうして、建物の中は外より涼しいのに、汗が吹き出すのでしょうか。
★そういうのを「冷や汗」っていうのかな?
A. のり子さんから
私も同じことを疑問に思ったことがあります。
本当かどうかわかりませんが、次のようなことを聞きました。
「暑い外から涼しい屋内に入ったとたんに」汗が出るとのことですが、暑い外にいるときは何かしら活動をしていたのだと思います。歩いていたのか、走っていたのか、作業していたのか……。
このような状態から活動を止めたり、涼しい場所に入ったりすると、使っている部分(筋肉)に多く流れていた血液が、皮膚のほうにも多く流れるようになります。皮膚の温度が情報して汗が出るというわけです。
これとは別に暑くもないのに汗が出るような場合は、自律神経の調子が悪いのかもしれません。
私ももっと詳しい方からの説明を聞きたいと思います。
A. 宇美浜りんさんから
質問者のやまおさんは、「暑い中歩いているときはあまり汗もかかない」とのことですが、私はそのような体験をしたことがなく、暑い中でもたくさん汗をかく体質です。そのため疑問に答える自信がはじめはなかったのですが、ヒントになる現象を思い出しました。
夏は息を吐いても透明なのに、冬には白い息になります。これは気温が高いと飽和状態まで余裕があるので息のなかの水分が蒸発しますが、冬は飽和状態になっているため水蒸気を受け入れられず細かい水滴になってしまうのです。
同じように考えると、暑い中を歩くときは「汗をかかない」のではなく「汗をかいた直後に蒸発しているので、汗をかいたことに気がついていない」のではないでしょうか。屋内に入る瞬間はさっきまで動いていたので外と同じ、汗をかいているが蒸発してるので気がついてない状態。
涼しい屋内は冬と同じ状態と考えると、すでに飽和状態なので汗が蒸発せずそのまま体の表面に残り、汗をかいたと自覚した、ということではないでしょうか。
つまり「今まで隠れていた汗が屋内に入ったら姿を現した」ということです。あくまで推測ですので、他の説があれば私も聞いてみたいです。
A. ミオパパさんから
先に回答を寄せられているのり子さんの解説で十分だと思いますが、少し付け加えさせて頂きます。
体温を調整する中枢機能は脳の「視床下部」というところにあります。そして、視床下部が体温の情報を得ている器官を「受容器」と呼びます。いわば、温度を測るセンサーのようなものです。
これはに2種類あって、体の中心部の温度を測っている「深部体温受容器」と、体の表面や皮膚近くの温度を知る「皮膚温受容器」です。
これらふたつの受容器から得た情報をもとに視床下部が体の各器官に熱を放散させたり抑制させたりといった体温調節を行うよう指令を出しています。
さて、「暑い外から涼しい屋内に入ったとたんに汗が吹き出すか」という疑問は先の回答の通り、歩いている間は筋肉を使っており、こちらに血液が集まりやすくなっているからです。
相対的に皮膚には血液が少なく、(極端な言い方をすれば冷え症と同じ原理で)皮膚温受容器は「それほど暑くない」という信号を視床下部に送り続けます。しかし、視床下部は体が筋肉を動かして運動をしているため、深部体温受容器から「暑い」という信号も受取っています。つまり、視床下部は相反する信号を受取り、矛盾した状態になっていると考えられます。
そして、汗は皮膚の真皮内にあるエクリン腺という汗腺で血液から造られる水分です。したがって、筋肉を動かして運動している間は皮膚には、あまり汗の材料である血液が流れてこず、汗腺は材料不足になっています。
ここで室内に入り運動を止めると、温まった血液が皮膚の方に流れ込み、皮膚温受容器が「暑い」という信号を発信、視床下部で起こっていた矛盾は一気に解決されます。
そして、視床下部は慌てて「熱を放散させよ」と各器官に指令し、エクリン腺は十分な血液を得て汗の製造を開始するというわけです。
また「暑い外」にいるときを歩く、あるいは走っていると仮定すると、幾分でも風があたるため、汗をまったくかかないのではなく、汗をかいていることを感じにくいということもあると思います。
こうした汗は「温熱性発汗」と呼ばれます。星田さんの述べられている「冷や汗」は精神的発汗、辛い食べ物を口にしたときに噴き出す汗は「味覚性発汗」といいます。
さらに、汗腺にはエクリン腺の外にアポクリン腺がありますが、こちらは性と関係しており、ここでは述べません。
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