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Q. やまおさんからの疑問
ときどき、テレビなどで魚の大群を見かけますが、一糸乱れず、誰一匹ぶつかることがありません。 魚の群れでは、魚同士どうしてぶつからないのでしょうか? 撮影するために訓練しているとは思えません。 ★鳥の群れもそうですね。なぜ、ぶつからないのでしょうか? それとも、けっこうぶつかってたりして……。
ときどき、テレビなどで魚の大群を見かけますが、一糸乱れず、誰一匹ぶつかることがありません。 魚の群れでは、魚同士どうしてぶつからないのでしょうか? 撮影するために訓練しているとは思えません。
★鳥の群れもそうですね。なぜ、ぶつからないのでしょうか? それとも、けっこうぶつかってたりして……。
A. ミオパパさんから
群れている魚同士がぶつからない理由は魚が頭部から尾部にかけて体側の両側に側線器官という圧受容器を持っており、水の流れの速度と方向を感知するとともに、近くを泳ぐ他の魚の動きを捉えることができるからです。 他の魚の動きを捉えたら反射的に衝突を回避していると考えられます。 と、ここまでは疑問に対する回答ということになりますが、非常に面白いテーマですので、もう少し話を掘り下げてみます。 群れている魚は、いついかなる状況でも、絶対にぶつかっていないのでしょうか? 小魚のように小さく無防備なものは捕食者から逃げたり、惑わすため群になります。そして、昔から生物学者は群れる魚を含めた生物がシンクロするメカニズムについて悩み、考え続けていました。なぜなら、普通であればシンクロするためには統率者が必要だからです。 しかし、魚の群れには統率者は存在しません。つまり魚たちは平等な群れの構成者だけでシンクロしていることになります。 最近になって、やっとそのメカニズムが科学的に分かってきました。 群れがシンクロするために、魚たちは3つのルールに縛られています。ひとつ目はすべての個体は互いに近づこうとするというルール。次は(それぞれの個体は近づくが)決められた最低限の距離を保とうとするというルール。最後はそれぞれの個体はいちばん近い仲間だけに注意するというルールです。この3つのルールに従うと、自動的に魚の群れはシンクロして泳げるようになります。 ちなみに決められた距離とは、魚で体長と同じくらいで、鳥の場合は体長の4倍くらいの距離を保とうとします。距離の違いを除けば、魚も鳥もルールはまったく同じです。 さて、魚の群れがシンクロして泳いでいるとき、捕食者が現われると、前述した3つのルールが機能を停止、あるいは低下させて、最優先される4番目のルールが機能します。「捕食者が来たらとにかく逃げる」です。捕食者が攻撃してきたら群れている魚はランダムな方向に逃げるのです。 このとき、「魚同士がぶつかっているのではないのか」と、私は想像しています。なぜなら、魚には個体によって「右利き」と「左利き」があるからです。 「手のない魚に右利きも左利きもないだろう」と思われるかも知れません。しかし、餌を捕食するとき、魚は右側から襲う個体と左側から襲う個体が存在します。そして、驚いて逃げる時も捕食する時と同じ方向に体を反転させます。これが魚の右利き、左利きです。 群れのなかに右利きと左利きの個体が混在していて、シンクロするルールが停止し、ランダムに逃げる。そして、通常の個体間の距離が体長程度だとすると、ぶつかっていると考える方が自然です。 したがって、「群れている魚同士は普段、ぶつからないが、外敵に襲われて逃げる場合、ぶつかることもある」というのが私の想像するところです。