--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1265 (2018.05.18)

Q. のりこさんからの疑問

 時代劇を見ると、いつも気になることがあります。それは刀です。
 武士はたいてい大小2つの刀を持っています。そういう職業なのですから、いつも武装している必要があるのだと思うのですが、それなら鎧を着用すべきだと思うのです。
 鎧を着けていないところを見ると、平常時の刀は戦うためというよりも、武士のステータスを示すもののような気がします。
 いずれにしても、
大小の2本は必要ないと思います。1本で十分でしょう。どうして、武士は2本も携帯しているのですか?

二刀流……、かもしれませんね。


A. やまおさんから

 おっしゃる通り、刀は大の1本で十分でしょう。
 しかし、小さい刀を持たなければならない理由があります。それは切腹するときのためです。長い刀では切腹しにくいのです。

A. ミオパパさんから

 武士が刀を2本差しているのは、寛永12年(1635)に3代将軍・家光が武家諸法度の改正を行い、正式に武士は大小二つの刀を差すように定めたからです。大刀を本差、小刀を脇差として装備することになりました(今でいえば、中学生は詰襟の学生服を着るように決めた校則みたいなものですかね)。
 ではなぜ、大小の刀が存在するのかという理由について、私の理解している範囲のことを少々説明いたします。
 主武器である大刀が破損して使えなくなったときの予備の武器として携えたのが小刀だとする解説が多いようです。
 しかし、ここでいう刀は「打刀」と呼ばれるもので、打刀は「刺刀(さすが)」という短刀から発展したものです。刺刀には「鎧通し」という別名もあり、刺刀は予備の武器というより、戦で組討になり相手を倒したときに鎧の隙間から差し込んで殺傷する武器でした。
 文献によれば実際の戦では、大刀で相手を殺傷することはほとんどなく、槍で突くか、相手を組み伏せて小刀で刺し殺す方が多かったそうです。そういう意味においては、本差の大刀より脇差の方がより実戦的な形を残しているといえます。また、戦で相手に刀剣などで腹部を薙(な)がれないように、中央左寄りの腰に脇差を差す習慣が定着したようです。
 つまり、本差は武士のシンボル、脇差は攻守の実戦的なもので、これが大小二つの刀が存在した理由だと、私は考えています。
 ちなみに戦場での組討の技は後に柔術や柔道に発展しました。
 ご質問にある「そういう職業だから、鎧を着用すべき」とのご指摘はごもっともですが、普段着用するには数十キロもあり、少々重いかもですね(笑)。