--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1267(2018.06.01)

Q. とんこさんからの疑問

 イヌやネコ(その他の動物も)は、オシッコを電柱や壁にかけて、自分の縄張りを主張する――あれを「マーキング」というらしいですが、彼らはそのマークをどれくらい判別できるのでしょうか? また、どのような効果があるのでしょうか?
 人間はまったくそういうことをやりませんから、マーキングがテリトリーの主張だと言われてもピンときません。人間社会でいうと、何に当たるのでしょうか?

政党のポスターがそれに近いかなと思い浮かびました。


A. ごんたさんから

 イヌやネコのマーキングは自分のテリトリーの主張です。
 臭いは時間が経てば消えてしまうので、定期的なパトロールを行って臭いを補充(?)しています。 テリトリーが広いというのは、同じ地区に住む同族との縄張り争いに勝っているということになり、メスに対して強い個体であることのアピールになります。
 つまり、「モテる」のです。
 人間社会で言えば、「土地」という資産を持っているかということになるんじゃないかと思います。

  資産家 = 金持ち = モテる

 イヌ・ネコと同じです(笑)。

A. Hoshiyanさんから

 一般的にオス犬は電柱などにマーキングして自分の縄張りを主張するといわれます。
 この場合、なるべく高く脚を上げ、高い位置にマーキングすることで体を大きく見せようとし、「自分は大きくて強い」と誇示して、「自分の縄張りに近寄るな」と他のオス犬を牽制し、縄張りを確立させようとすると説明されます。
 しかしながら、犬(メス)を飼っていて家族から“散歩係”に任じられている私から見ると、「それは本当かな?」と思っています。
 なぜなら、大きな犬がマーキングした後に小型犬が来て臭いを嗅いで、躊躇う様子もなくマーキングするのです。
 マーキングが縄張りの主張だとして、大きい犬が絶対優位であるなら後から来た小型犬が遠慮しなければ、縄張りはいつまで経っても成立しないはずです。
 私はマーキングが多少なりとも縄張りと関係していることは認めるとしても、マーキングの主な目的が縄張りの主張という説明には懐疑的です。
 私が犬の散歩で観察した事象を肯定的に説明している解説書を読んだかぎりでは、犬のマーキングポイントは掲示板、今風にいえばSNSのようなものだというのです。
 つまり、マーキングは犬同士のコミュニケーションの形なのではないかということです。
 であれば、高い位置にマーキングすることも、他の犬を威嚇して縄張りを主張するというよりは、臭いを嗅ぎやすい高さに尿をかけ、多くの注目を集めるためという説明が説得力を持ちます。
 マーキングはコミュニケーションですから当然、その頻度に差こそあれ、メス犬もマーキングをします(これは私が確認しています)。つまり、犬たちは掲示板であるマーキングポイントに自分の尿で書き込みをしていることになります。そのなかに、犬によっては「縄張りの主張」もあるというのが私の想像するところです。
 また普段、連れて行かないような場所で、犬がマーキングポイントを見つけると、挨拶代わりにマーキングすることもあります。
 さて、犬がこの掲示板からどれほどの情報を得て認識しているか、興味が湧きます。
 人間が精緻な分析すれば、犬の尿から性別、おおよその年齢、発情期か否か、栄養状態や病気の有無などの健康状態、果ては感情の状況まで様々な個体情報を得ることができるそうです。
 しかし、犬がどこまでセンシングできていて、その情報を認識しているのかは不明です。これは犬が話をしないので、仕方がありません。
 確かだと思うのは、メス犬のマーキングには発情を知らせる目的もあるということで、これは容易に想像できます。
 発情期のメス犬の尿にはエストロゲンの代謝産物が含まれており、これがオス犬を惹きつけます。
 オス犬は発情期のメス犬が近くにいることを認知すると、自らをアピールするためにテストステロンを含んだ尿を使ってマーキングをより頻繁に行うようになります。
 こうした性にまつわる情報交換以外に犬同士が掲示板であるマーキングポイントで、豊かなコミュニケーションを交わしているのだとしたら楽しく夢のある話です。
 もうひとつ、マーキングに似た犬の行動で「カーミング」があります。
 人間や他の犬からの脅威を受けたとき、緊張を緩和するため放尿する行為です(カーミングは尿をする以外にも様々な種類があります)。
 またマーキングとカーミングの中間のような行動で、初めて会った犬同士の片方が相手の犬に自分が友好的であることを伝える目的で、少量の放尿をすることがあります。
 これはいろいろな自分の情報が含まれる尿を相手に開示することで、敵意がないと示すのだそうです。いわば、このときの犬の尿は人間社会における“名刺”のようなものでしょうか(笑)。
 猫については、あるトラウマがあり、飼ったことも愛情を持って観察したこともありませんので、よく分かりません。