「かくし(隠し)」という言葉があるようです。
たとえば、エクトル・マロ作
津田譲訳『家なき娘』(岩波文庫1941年初版,2000年復刊)から例文を2つ。
・ペリーヌは循環鉄道に乗ると、かくしからフランスの古ぼけた道路地図を取り出した、……
・実際、ギヨ園を出るとき五フラン三十五サンチーム持つてゐた、そして今しがた汽車賃に六スウ払つたから、五フラン銀貨一枚と一スウ銅貨一枚とが残つてをり、スカートのかくしをうんと強く揺すぶると音を立てた。
「スカート」という言葉は使っても(原文はフランス語だから違う単語ですが)、「ポケット」は「かくし」に訳しちゃっていますね。
ちなみにこれは昔アニメになった「ペリーヌ物語」の原作で、お母さんが亡くなって孤児になったペリーヌが目的地のマロクール村へ向けてパリを出発した場面。アニメと同じく、お金がないのでパリを出る最初だけ汽車に乗っています。
★「かくし」なんて言葉、一度も使ったことがありません!