--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1286(2018.12.14)

Q. よしきさんからの疑問

 来年のことを言うと鬼に笑われそうですが、その鬼対策の一環としてぜひ知りたいことがあります。
 いつの頃からか、節分の日に巻き寿司をたべるような雰囲気になってきています。「恵方巻き」と呼ばれています。「恵方」という方角を向いて、無言で食べ切るとよいそうです。
 そんな食べ方にはあまり興味はないのですが、お店の看板に「今年の恵方は○○です」と書いてあるのには興味があります。つまり、恵方は固定されていないということですよね?
 では、どうやって恵方を決めているのでしょう? 私もきちんと勉強したら、来年の恵方を割り出せるようになるのでしょうか?

素晴らしい! 私も知りたいです。
 恵方の反対を向いて、ぺちゃくちゃしゃべりながらカレーライスを食べるかもしれません。


A. katap(カタピー)さんから

 恵方は、以下のように決まっているようです。
 まず、恵方には、4つの方角があり、5年ごとに同じ方角になります。
 恵方の4つの方角とは、24方位のうちの甲、丙、庚、壬の方角に当たります。24方位とは方角を24等分したもので、北から時計回りに、

   子、癸、丑、艮、寅、甲、卯、乙、辰、巽、巳、丙、
   午、丁、未、坤、申、庚、酉、辛、戌、乾、亥、壬

という24個の方角があります。子の方角が北であり、その後は順に15度ずつずれて行きます。
 この中で恵方になるのが甲、丙、庚、壬の4つで、それは以下のような方角です。

  甲(きのえ/コウ):北から時計回りに75°(東北東から7.5°東より)
  丙(ひのえ/ヘイ):北から時計回りに165°(南南東から7.5°南より)
  庚(かのえ/コウ):北から時計回りに255°(西南西から7.5°西より)
  壬(みずのえ/ジン):北から時計回りに345°(北北西から7.5°北より)

 恵方が5年ごとに同じ方角になるのは、その年の「十干十二支」の「十干」により、以下のように決められているからです。

  甲(きのえ/コウ)(西暦の下1桁が4の年):甲の方角
  乙(きのと/オツ)(西暦の下1桁が5の年):庚の方角
  丙(ひのえ/ヘイ)(西暦の下1桁が6の年):丙の方角
  丁(ひのと/テイ)(西暦の下1桁が7の年):壬の方角
  戊(つちのえ/ボ)(西暦の下1桁が8の年):丙の方角
  己(つちのと/キ)(西暦の下1桁が9の年):甲の方角
  庚(かのえ/コウ)(西暦の下1桁が0の年):庚の方角
  辛(かのと/シン)(西暦の下1桁が1の年):丙の方角
  壬(みずのえ/ジン)(西暦の下1桁が2の年):壬の方角
  癸(みずのと/キ)(西暦の下1桁が3の年):丙の方角

 恵方が5年ごとに同じ方角になっていることが分かると思います。
 どうして、この様になっているのかは分かりません。恵方とは、陰陽道で歳徳神(としとくじん)がいる方位だということなので、陰陽道で決まっているのだろうと思います。

A. うにうにさんから

 恵方の割り出し方は、簡単です。
 手元にある「神宮館高島暦」の解説によると、

----------------------------------------
 歳徳神の回座する方位は左のとおりです。
   甲年=甲方
   乙年=庚方
   丙年=丙方
   丁年=壬方
   戊年=丙方
   己年=甲方
   庚年=丙方
   辛年=丙方
   壬年=壬方
   癸年=丙方」
----------------------------------------

 今年は己亥(つちのと・い)の年なので、甲(きのえ)の方となります。
 分かりやすく数字に直してみます。なお、方位角は北を0°として、東回りに測ります。真東は90°、真南は180°、真西は270°となります。

 西暦年の1の位が……
   4、9の年=甲(75°)
   5、0の年=庚(255°)
   6、1の年=丙(165°)
   7、2の年=壬(345°)
   8、3の年=丙(165°)

 これを5年周期で繰り返しているだけです。特に難しい計算はありません。
 なお、お店に貼ってある案内などには「今年の恵方は東北東」などと書いてあることが多いですが、厳密にいうと東北東は67.5°なので、もう少し右を向いた方がいいのかも知れません。
「東北東」などの言いかたは360°を16に分けた16方位ですが、ここで使っている暦の方位は古代中国に由来する、15度ずつに分けた24方位なので、ずれが生じるところがあります。

 ためしに、16方位を基準にした書き方に直すと、
   4、9の年=東北東を向いて7.5°右(真東を向いて15°左)
   5、0の年=西南西を向いて7.5°右(真西を向いて15°左)
   6、1の年=東南東を向いて7.5°右(真南を向いて15°左)
   7、2の年=北北西を向いて7.5°右(真北を向いて15°左)
   8、3の年=東南東を向いて7.5°右(真南を向いて15°左)
となります。
 また、ネット上では今年の恵方を「東微北」とか「東北東微東」などと書いてあるところもありますが、「8方位+微+4方位」という表し方はもともと32方位を示すものなので、やはり少しずれがあります。
 今年の例でいうと、東微北=78.75°で、「甲方」とは2.5°ずれています。もっとも、太巻きを食べる際に、そこまで正確に方向を維持するのは難しいでしょうが……。
 ちなみに、「東北東微東」という言い方はないのですが、ネット上ではかなり広まっています。 

少伯さんからは、以下のサイトをご紹介いただきました。

  「暦のページ」 http://koyomi8.com/
 左側のメニュー「暦と天文の雑学」→右側「年中行事関連記事」→「恵方詣に、恵方巻・・・恵方ってどっち?」