来年のことを言うと鬼に笑われそうですが、その鬼対策の一環としてぜひ知りたいことがあります。
いつの頃からか、節分の日に巻き寿司をたべるような雰囲気になってきています。「恵方巻き」と呼ばれています。「恵方」という方角を向いて、無言で食べ切るとよいそうです。
そんな食べ方にはあまり興味はないのですが、お店の看板に「今年の恵方は○○です」と書いてあるのには興味があります。つまり、恵方は固定されていないということですよね? では、どうやって恵方を決めているのでしょう? 私もきちんと勉強したら、来年の恵方を割り出せるようになるのでしょうか?
★素晴らしい! 私も知りたいです。
恵方の反対を向いて、ぺちゃくちゃしゃべりながらカレーライスを食べるかもしれません。
恵方の割り出し方は、簡単です。
手元にある「神宮館高島暦」の解説によると、
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歳徳神の回座する方位は左のとおりです。
甲年=甲方
乙年=庚方
丙年=丙方
丁年=壬方
戊年=丙方
己年=甲方
庚年=丙方
辛年=丙方
壬年=壬方
癸年=丙方」
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今年は己亥(つちのと・い)の年なので、甲(きのえ)の方となります。
分かりやすく数字に直してみます。なお、方位角は北を0°として、東回りに測ります。真東は90°、真南は180°、真西は270°となります。
西暦年の1の位が……
4、9の年=甲(75°)
5、0の年=庚(255°)
6、1の年=丙(165°)
7、2の年=壬(345°)
8、3の年=丙(165°)
これを5年周期で繰り返しているだけです。特に難しい計算はありません。
なお、お店に貼ってある案内などには「今年の恵方は東北東」などと書いてあることが多いですが、厳密にいうと東北東は67.5°なので、もう少し右を向いた方がいいのかも知れません。
「東北東」などの言いかたは360°を16に分けた16方位ですが、ここで使っている暦の方位は古代中国に由来する、15度ずつに分けた24方位なので、ずれが生じるところがあります。
ためしに、16方位を基準にした書き方に直すと、
4、9の年=東北東を向いて7.5°右(真東を向いて15°左)
5、0の年=西南西を向いて7.5°右(真西を向いて15°左)
6、1の年=東南東を向いて7.5°右(真南を向いて15°左)
7、2の年=北北西を向いて7.5°右(真北を向いて15°左)
8、3の年=東南東を向いて7.5°右(真南を向いて15°左)
となります。
また、ネット上では今年の恵方を「東微北」とか「東北東微東」などと書いてあるところもありますが、「8方位+微+4方位」という表し方はもともと32方位を示すものなので、やはり少しずれがあります。
今年の例でいうと、東微北=78.75°で、「甲方」とは2.5°ずれています。もっとも、太巻きを食べる際に、そこまで正確に方向を維持するのは難しいでしょうが……。
ちなみに、「東北東微東」という言い方はないのですが、ネット上ではかなり広まっています。
★少伯さんからは、以下のサイトをご紹介いただきました。
「暦のページ」
http://koyomi8.com/
左側のメニュー「暦と天文の雑学」→右側「年中行事関連記事」→「恵方詣に、恵方巻・・・恵方ってどっち?」