Q. しゅうちゃんからの疑問
むか〜しから疑問に思っていることがあります。
夜になると、電灯に集まってくる虫がいます。あの様子を見ると、光が好きなのかなと想像します。
しかし、たぶん、「夜になると集まってくる」ということは、電灯に集まっている多くの虫は夜行性だと思うのです。
光が好きなら昼間に活動すればいいし、夜行性なら光に集まらなければいいのにと思うのです。
一体、どういうわけで、夜行性の虫が光に集まろうとするのですか?
★そもそもなぜ光に集まろうとするのでしょう?
A. たくみさんから
どうやら、そういう「習性」があるようなのです。
電灯などがない場合、夜に明るい物体といえば「月」しかありません。何かに頼るとすれば、月しかないのです。だから、虫たちは月の方角に対して一定の角度で飛ぶようにプログラミングされているらしいのです。
ところが、電灯などがあるとそれを「月光」と勘違いして、同じような習性で飛ぶのです。電灯の光に対して、一定の角度をキープしながら飛ぶと、やがてその虫は電灯に近づくというわけです。
しかし、私はこの説明を聞いても、納得できません。どうして月に頼りに飛行して、何のメリットがあるのか? 「電灯の光を花とまちがえる」という説明なら、まだわかるのですが……
A. 岸ぞ〜さんから
推測ですが、仲間と出会うためではないかと思うのです。
昼間に活動すると、すべての場所が明るいので、その虫は各地に分散します。しかし夜ならば、明るい場所は限られているので、そこに仲間は集まってきます。
では何のために仲間と出会うのか。1つは群れを作って、強い敵や捕食者に対抗するため。もう1つは、つがいを作る(子孫を残す)ためのパートナーを探すためです。
人間も情報通信手段が乏しかった時代は、同じ趣味や思想の同志が集まりやすかったのは、それがマイナーだった「夜の時代」「冬の時代」だったと思います。
自分の趣味がメジャーだと、住民に理解してもらえるので、同志がいなくても苦労はしません。
私も昔は自分の趣味が学校や地域社会で理解されず、同好会を探す姿は、仲間に会うため光に集まる虫のようでした。今は多様な趣味が理解される時代になり、ネットなどの交流手段も発達したので、同志に出会い交流するのもずいぶん楽です。いい時代になったと思っています。
A. ごんたさんから
それは、光源が出会いのスポットだからです。
昼間は全体的に明るいため、集まりようがありません、夜だと光源が点在するので、そこを目指せばよいわけです。
夏場は街灯の明かりに誘われ、いろんな虫たちが集まって来ました。カブトムシなどの人気者や不気味な巨大蛾なども多数飛んで来たりしました。
最近は街灯が電球や蛍光灯から寿命の長いLEDに代わりましたが、LEDは今までの光源に比べると波長が短いため、虫が「明かり」であると認識できず、昔より集まる虫が少なくなっています。
A. ミオパパさんから
トンボの複眼は個眼と呼ばれる六角形の目が1万個から2万5千個も集まってできています。この無数にも見える個眼では、上部と下部ではレンズの曲率が違っています。それは遠近両用のメガネの機能と同じようなものです。トンボの眼の上部は遠くで焦点が合い、下部では近くで焦点が合うようになっています。
では、トンボは何を見ているのでしょうか。
それは下部の眼では餌となる飛翔昆虫を探しており、上部の眼はというと太陽を見ているのです。トンボは太陽を見て、飛行姿勢を制御維持しているのです。
トンボは重力や人間が認識する風景に関係なく、視野の上に太陽が来る姿勢、つまり太陽がある方に背を向けて飛ぶになってます。つまり、トンボにとって太陽は飛行のためのジャイロなのです。
これは、次のような実験をするとよく分かります。
暗室で光を天井から照らすとトンボは通常の飛行をしますが、天井の照明を消して、床から光を当てると、トンボは途中でくるりと半回転して背面飛行をしようとします。この実験からトンボが光に強く影響されていることが分かります。これを「走光性」といいます。
夜間に活動する夜行性の昆虫も飛行するために月の光を利用していることが知られています。遠くの月などの天空からの光りは昆虫に取って平行光であり、夜行性の昆虫は、この平行光に対してある一定の角度で飛ぶことによって、飛行姿勢を制御していると考えられます。
ところが、蛍光灯などの人工の光は光源が近いことや、平行光ではなく放射状に出ることから、この光に対して体を一定の角度に保って飛ぼうとすると、螺旋軌道を描きながらだんだんと光源へと近づいてしまいます。すると、昆虫は最終的に電灯などの光に集まってしまうことになります。
つまり、蛾などの夜行性の昆虫も光が好きで集まっているわけではなく、光を利用して飛行していたら、それが月の光ではなく、人工的な光だったので騙されて光源に近づいてしまったということです。
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