--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1294(2019.05.10)

Q. ぽーじいさんからの疑問

 先日、出身校が甲子園に出場していたので、野球中継を見ました。そしたら、カウントを「ツーボール・ワンストライク」って言い方をしていました。昔は「ワンストライク・ツーボール」って言ってましたよね? いつから、ボールを先言うようになったのでしょう? また、どのような経緯でそう言うようになったのでしょう?
 普段野球見ないんで、知らない間にアナウンサーが普通に言っているのを聞いて、時代に取り残されたような悲しい気分です。
 それと、もう一つ。
 何か理由があって、近年、ボールのカウントを先に言うように変更されたのだと思いますが、それなら
どうして、以前はストライクを先にカウントしていたのでしょうか? 誰か教えてください。

私は、まだ、慣れていません。


A. 宇美浜りんさんから

 以前はストライクを先に言ってましたね。おぼえています。
 野茂選手がメジャーリーグに行ったときの雑誌記事で知りましたが、アメリカなどではボールを先にいう方式とのことでした。この時期にストライクが先だった国は、日本とその影響をうけた韓国と台湾、反米のキューバなどがあったそうです。しかし1997年には高校野球で、2008年にオリンピック中継などで、2010年にはプロ野球でもボールが先の表記になりました。
 高校野球が先に変更したのは、将来アメリカでプレーする若者に、外国のルールに慣れさせるため、かもしれません。野茂に続いて、イチローが、松井(ゴジラ)が、他にも多くの選手がメジャーリーグに進出していったのを考えると、国際ルールに合わせて変更したのはよかったと思います。
 2つめの「なぜ以前はストライクが先だったのか」ですが、推測ですが2つの理由が考えられます。

1.ストライクはよい球でボールはよくないから
 ストライクは「打てる球」(英語で打つの意)、ボールは「打てない球」(アンフェアボールの略)。なので、よい球であるストライクを先にした可能性があります。しかし外国ではボールが先なので、これだけでは説明できません。

2.日本は守りが大切だから。
 日本人は積極的に点を稼ぐより、現状維持を好みます。得点につながるボールより、これ以上相手に点を取らせないストライクのほうが、日本人にとって、よいものだったのではないでしょうか。自分が得点して勝つのではない、相手に点を取らせない守りの戦術、それを願ってストライクを優先したのでは、と。
 逆に積極的な攻め・得点をよしとするアメリカでは、得点につながるボールが先なのでしょう。

 国際的な表現に合わせるのは、オリンピックやワールドカップ・世界選手権を見たときにギャップが少ないという利点もあります。若者が海外に進出するときも。
 日本の文化を守るのも大切ですが、外国発祥のスポーツについては、国際的な表現に慣れておくのもいいかもしれません。

A. ミオパパさんから

 ストライクを先に読み、その後にボールを読み上げる形を「SBO方式」と呼び、その反対を「BSO方式」と言います。
 国際的には、ベースボールの母国アメリカに倣ってボールを先に読むBSO方式が主流です。日本では、1997年から日本高等学校野球連盟が国際慣習に従い選抜大会で、球審がBSO方式で読み上げるようになりました。
 その後、ワールド・ベースボール・クラシックやオリンピックで国際大会が注目を集めるようになり、ここでは国際慣習にしたがってBSO方式採用されていたため、日本国内でもBSO方式を使おうという気運が高まりました。
 2010年に日本プロ野球がBSO方式を採用すると、国内のほとんどの競技団体がSBO方式からBSO方式に変更したようです。
 さて、ストライクを先に読むのか、ボールを先に読むのかは慣習ですので、その理由を特定することは困難です。したがって、「分からない」というのが答えですが、それでは身も蓋ありませんから推察してみましょう。
 今、あなたの前でふたつのチームが試合をしているとします。あなたはどちらのチームも贔屓にしていないと仮定します。バッターボックスに球界屈指の強打者が立ち、相対するピッチャーもこれまた球界屈指の剛腕投手です。
 さて、このときの主人公はバッターでしょうか、ピッチャーでしょうか? プロ野球の解説者が「試合はピッチャーが作る」というくらいだから、おそらく日本人の多くはピッチャーだと思っているのではないでしょうか。しかし、アメリカ人は9人のプレヤーに挑むひとりのバッターを主人公だと考えるのだと思います。
 日本では、ピッチャーを主体として捉えるため投球カウントと呼ぶこともあるボールカウントは、バッターピッチャーの勝負の経過を表すとともに、バッターが有利なのか、ピッチャーが有利なのかを示す指数なので、バッターを主体として捉えるアメリカではバッターが有利になるボール数を先に数えたのではないかと推察します。
 反対に、ベースボールが日本に野球として渡来したとき、日本人はピッチャーを主体と捉えたので、バッター側の「打つ」という意味のストライクを「(ゾーンに)当たり」、「打てない玉」という意味の「アンフェアボール(現在はアンフェアが省略されている)」を「外れ」と勘違いしたので、ストライクを先に数える習慣が定着したのだと思います。
 日本では、息の詰まるような投手戦を好ましく感じ、アメリカでは豪快な打撃戦が好まれるのも主体の捉え方かもしれませんね。