--- 素朴な疑問集 ---
トップページへ    [素朴な疑問集 TOP]


疑問No.1314(2020.01.30)

Q. えでぃちゃんからの疑問

 最近は「Eスポーツ」などという違和感のあるネーミングが登場しました。しかし、この手の違和感があるものはもっと前からあります。そう、言わずと知れた「モータースポーツ」です。
 スポーツと名乗れるものかどうかはさておき、もっと気になるのは「モーター」です。
 確かに最近は電気自動車も見かけるようになりました。しかし、
競技に使われている自動車の動力は、電気で動くモーターではなく、燃料で動くエンジンですよね。
 それではなぜ「エンジンスポーツ」ではなく、「モータースポーツ」なのでしょうか?
 「モータースポーツ」という言葉には「モーター」にも「スポーツ」にも抵抗を感じます。

こういうのは、もしかしたら、「モーター」に広義・狭義の別がある場合があるのでは?


A. しげ3さんから

 モーターの疑問ですが、「moto(動力)」+「r」で、動力を与えるもの(物、者)となります。
 つまり、電動のモーターもエンジンも、同じモーター(動力を与えるもの)です。モーターショーとかもそうですね。
 余談ですが、「……のもの」の意味で語尾に「ster」がついているものもあります。マツダの「Roadster」は、「道の星」ではなく「道を走るもの」みたいな意味です(※星は、star です)。

A. ヤコピさんから

 ガソリンエンジンが動力でも、自動車が motorcar なので、自動車を使うスポーツは、motor sports です。
 まず、「モーター」という言葉の意味ですが、語源は、“moto”(動かす)+“r”で「動かすもの」で、原動機そのものや、原動機を備えた装置によく使われます。
 原動機のエネルギー源に関わらず、たとえば、

   原動機が付いた二輪車(オートバイ)……motorcycle
   原動機が付いたボート……motorboat

 そして、もともと台車という意味の car も、原動機が付くと、motorcar(自動車)となります。

   ・自動車の展示会:motor show
   ・駐車場:motor pool
   ・社会の様式が自動車化すること:mortarization

のように、自動車をmotorで表現することはよくあるし、そもそも、自動車の製造会社からして、○○motor/motors という名称が多いです。

   ・GM:General Motors、
   ・BMW:Bayerische Motoren Werke AG
   ・日産自動車株式会社:Nissan Motor Co., Ltd
   ・トヨタ自動車株式会社:Toyota Motor Corporation
   ・本田技研工業株式会社:Honda Motor Co., Ltd
   ・三菱自動車工業株式会社:Mitsubishi Motors Corporation

 次に、それではなぜ、原動機がエネルギー源が電気ならば「モーター」、燃料ならば「エンジン」として使い分けられているかですが、それは、言葉の定義や概念による使い分けではなくて、動力源を表す言葉を省略したまま定着した結果です。
 電動のモーターは、正確に言えば、electric motor です。電動のタイプが多数なので、単に「モーター」と呼んでいるだけで、「モーター」という言葉が「電動」という意味を含むわけではありません。
 また、エンジンも同様で、車その他に搭載される、燃料が動力源の原動機を呼ぶことが多いですが、「エンジン」が意味するものは、古くは、投石機を含む一連の城攻め装置(Siege engine)から、現代の検索エンジンや翻訳エンジン、あるいは、電動エンジンにまで共通する、「機関、機構、処理装置」のような概念で、燃焼や燃料とは無関係です。
 単に「モーター」「エンジン」と言われると、まず、動力源の異なる原動機が思い浮かぶので、その差こそ名称の定義だと思い込みがちですが、それは数の上からの偶然であって、本来は全く異なる概念です。