--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.847(2010.08.06)

Q. とおるさんからの疑問

私は九州で生まれ育ちました。今では中年を超えようとしておりますが、子どものころ大人たちが自転車のことを『じでんしゃ』と発音していたのをよく聞きました。
 てっきり九州の方言だと思っていたのですが、昨晩40代の夫婦が東京の街を歩きながら「あ、じでんしゃ屋がある」といっていたのを聞きました。
「じでんしゃ」とは九州の方言でしょうか? それとも全国的?
 またどうして「じでんしゃ」なんでしょう? 現代なら電動アシスト自転車もありますが、昔はなかったし……。知っている方教えてください。

以前に、疑問No.715で、

  「ページ」を「ペーシ」という人がいるのですが、どういう勘違い?

 を掲載しました。それと同じ事情なのか、どうなのか?(星田)


A. 土田 滋さんから

「ジテンシャ」か「ジデンシャ」か? そしてなぜか?
 どちらも難しい質問で、小生は日本語方言が専門ではありませんから、的確なお答えは出せません。

 小生は東京生まれですが、両親ともに滋賀県と京都、つまり関西出身なので、東京生まれで東京育ちの家内にアクセントが違うと注意されることがときどきあります。そして、小生は「ジテンシャ」「ジデンシャ」、両方使うような気がします。家内は「ジテンシャ」に決まっているでしょうときっぱり言います。辞書には「ジテンシャ」しか登録されておりませんね。「自転車屋さん」となると、どうも「ジデンシャヤサン」と発音する方がなんとなく自然なように感じられます。

 本当は日本全国にわたっていろいろな年齢層・性別の人について調査しなければならないところですが、それは小生のよくするところではありませんので、以下には、ごく一般的に言えそうなことだけにとどめます。

 東京方言ですと「自転車」のアクセントは「テ」にありますが、「自転車屋さん」ですと「テ」で上がったきり、最後まで下がりません。「テ」にアクセントがあるとどうしてもそこが強く発音されますから、「デ」にはなりにくい。
 しかし、「自転車屋さん」のようにアクセントがそこにない場合は、最初の「ジ」という有声音に引かれて第2音節目の「テ」も有声化して「デ」になるのではないか。こういう現象を「同化」assimilation と言います。「ページ」も「ジ」にはアクセントがありませんから(つまり「ペ」の次の音節「ー」で高くなってそのまま「ジ」とつながる)、最初の「ペ」という無声音に同化し
て「ジ」も「シ」という無声音になったのではないか。

 一般音声学的にはこんなふうに言えるかと思うのですが、やはり日本語方言学の専門家の意見を聞くべきでしょう。地域差があるのかないのか。小生も「ペーシ」と発音する人を知っていますが、彼は関西出身です。ある地域に特有の発音クセというのもありそうな気がします。
 関西の人は asterisk (星印)を「アスタリスク」と発音する人が多いですね。「コンフェレンス」ではなくて「カンファランス」とか。

※母は「センダク」「センダクキ」といいます。
 ちなみに中国で生まれ,秋田・新潟・台湾・九州・関西・新潟・東京と渡り歩いているので、どこの影響か不明。年齢100歳です。

土田さんには、こちらから回答をお願いしました。
  奥様にもご相談いただいたようで、ありがとうございました。(星田)