★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第八十六段 ●  目指せ、4、3、2、1

 12本のマッチ棒を使った頭の体操を紹介しよう。マッチ1本の長さを1として、指定された面積になる図形を作るというものだ。
 たとえば、面積が9になる図形なら、下の図がすぐに思い浮かぶ。

   □□□
   □□□
   □□□  (周りの長さが12あるでしょ!)

 この形なら、3×3の正方形だから面積は確かに9になる。
 ルールは、簡単。

   (1) 12本のマッチ棒をすべて使うこと
   (2) 必ず一つの「閉じた図形」になっていること
   (3) 当然、マッチは折ったり裂いたりしてはいけない。

 要は、マッチ棒を使って、周囲の長さが12である図形を作れということ。
 面積9の図形は、どうやら1通りしかない。面積8なら下の2通りが簡単に見つかる。回転したり、裏返したりして重なる図形は一つに数えることにする。

   □□□
   □□□   □□□□
   □□    □□□□

 面積7、面積6の図形は、頭を温めるための問題にしておく。面積7なら3通り、面積6なら7通り見つけてほしい。
 面積が5になる図形は、11種類ある。

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 さて、本当の問題はここからだ。
 面積が4になる図形を、先のルールで作ることができるか。さらに、面積が3、2、1となっても作ることができるのか。
 マッチ棒と時間があるときに、挑戦してちょうだい!


【メモ】

◆「マッチ棒12本を使った面積5の図形」ということなら、先に紹介した通り11種なのだが、「合同な正方形を5個つなぎ合わせてできる一つの図形」という問題なら、もう一つ考えられる。こんなのだ。

   □□□
   □□

 ただし、これでは、マッチ棒は10本しか必要ないので、今回の答えとしては、適当ではない。

◆上のような図形を「ペントミノ(5つの正方形)」という。だから、ペントミノは、12種類しかないということ。

◆2つの正方形なら「ドミノ」。これなら聞いたことがあるでしょ!

◆マッチ棒を斜めに配置することは、禁止されていない。だから、3辺が3、4、5である直角三角形もOKだ。確かに12本で、面積は6だ。
 面積4の図形を考えるなら、斜め配置も考えないと無理だろう。
 じつは、マッチ棒を斜めに使えば、面積4も面積3も簡単に作ることができる。それどころか、面積2、面積1だって難問ではない。

◆普通一般に使われているマッチ棒の長さは、5cm。

◆1827年、摩擦によって発火させるマッチを発明したのは、イギリスの化学者ジョン・ウォーカー。

◆外国の映画で、家の壁などでマッチをこすって火をつけるシーンがある。小さいころ、自宅にあったマッチで同じことを実験したが、何度やっても火なんてつかなかった。マッチ箱の横でこすると、ちゃんと火がつく。どうやらここに秘密がありそうだ−−というところまでは、分かった。

◆「安全マッチ」は、マッチ箱の横の茶色の面でこすったときだけ、発火するようになっている。マッチの軸の方の「頭薬」は、三硫化アンチモンと酸化剤をふくみ、カゼインやにかわで接着されている。マッチ箱の「側薬」は、摩擦をおこすためのガラス粉、赤リン、にかわでできている。マッチをこすると、摩擦熱によって赤リンが白リンに変化して発火し、マッチの頭薬に火がつく。
 だから、安全マッチを靴の裏でこすっても、火はつかない。泥がつく。

◆アンデルセンの作品に『マッチ売りの少女』があるが、彼女が亡くなった日は、12月31日だった。

◆第2の啄木といわれた天才詩人、寺山修司は、
「マッチ擦る つかのま海に 霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや」
 と歌っている。

◆「人生は一箱のマッチに似ている」と書き残したのは、芥川龍之介。

◆中元や歳暮などの贈り物は、デパートなどから発送するのがほとんどになった。ひと昔前なら、風呂敷に包んで、自分で届けたものだったが‥‥。この場合、贈り物を包んでいた風呂敷や袋を、送り主に返却する必要が生じる。中に何にも入れないで返すのもさびいしので、マッチや半紙などのちょっとした物を入れることになる。このようなお返し品のことを「お移り」という。
 もう、マッチなんて入れる人は少ないだろうな。

◆大きな火山爆発などがあったとき、太陽の周囲にできる光の輪を「ビショップ環」という。日食の際に、月が太陽の中央に重なって、月の周囲に太陽の光が環状にはみ出して輝く現象は「金環食」。

◆「歌島は人口千四百、周囲一里に充たない小島である」で始まるのは、三島由紀夫の『潮騒』。

◆周囲が同じ長さの正方形と長方形では、正方形の方が面積が大きい。周囲の長さが等しい正方形と円なら、円の方が大きい。

◆物事がはかどらないときに、「埒(らち)があかない」などというが、この埒とは、馬場の周囲に設けられた柵のこと。

◆ぎりぎりの瀬戸際のことを「剣ヶ峰」というが、これは、富士山では噴火口の周り。相撲では、土俵に足がかかって後がない状態のこと。

◆二枚貝で、貝殻を閉じる筋肉が、「貝柱」。

◆500年間、五行山に閉じ込められていたお猿さんとといえば、孫悟空。

◆天照大神が天の岩戸に閉じこもったとき、その岩戸をこじ開けて大神を連れ出した力持の神様は、天手力雄命(あまのたぢからおのみこと)。

◆マメ科の落葉高木、合歓の木(ネムノキ)は、暗くなると、葉を閉じて眠っているように見える。

◆ものを飲み込んだときなどに、
「あっ」
 と、思うことがある。急に耳が通ったような感覚だ。これは、中耳にあるエウスタキオ管が開いたのだ。この管は、ふだんは閉じていて、あくびをしたときなどに開き、鼓室と外界との気圧の均衡を保つ。発見したイタリアの解剖学者の名前から命名された。

◆「蓋棺事定(がいかんじてい)」。棺を閉じるときにはじめて人物の値打ちが決まるという意味の四字熟語だ。


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