★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第五段 ●  年齢の異称

 「三十にして立つ」という言葉がある。
孔子が30歳になったときに、学問や道徳が確立したことを言った言葉だ。このことから、而立(じりつ)という言葉も生まれた。これはすなわち、30歳を意味する。
 孔子というのは、やはり偉い人で、彼の行動からたくさんの言葉が生まれている。而立だけではなく、彼の人生の節目節目で、その際の彼の行動が年齢を表す言葉として現在も残っている。

志学(シガク) 15歳 孔子が学問に志した年齢
而立(ジリツ) 30歳 孔子が学問・道徳を確立した年齢
不惑(フワク) 40歳 孔子の考えに一点の惑いもなくなった年齢
知命(チメイ) 50歳 孔子が彼の天命を悟った年齢
耳順(ジジュン) 60歳 孔子が人の話を聞けばすぐにその是非が分かるようになった年齢
従心(ジュウシン) 70歳 孔子が思いのままに振る舞っても、決まりに外れないようになった年齢

 孔子に関係はしていないが、年齢を表す言葉は他にもたくさんある。しかし、覚えていると、歳を食っていると思われるので注意。

幼学(ヨウガク) 10歳 人が初めて師について、学ぶ年齢
笄年(ケイネン) 15歳 女性の成年を意味する。髪に笄(こうがい)をつけたことから。
弱冠(ジャッカン) 20歳 男性が元服して、冠をつける年齢。「若干」と間違えぬように。
還暦(カンレキ) 61歳 干支の組み合わせが一巡りして、生まれた年の干支と同じになる年齢。資料によって、60歳か、61歳か分かれている。干支が一回りしているのだから、満年齢でいえば60歳。数えでいえば、61歳。これでいいのかな。
華甲(カコウ) 61歳 「華」の字を分解すると、6つの「十」と「一」になるから。「甲」の字にも意味があって、これは「甲子」のことだ。「甲子園球場」の「甲子」と同じだ。十干・十支の最初である。つまり、還暦と華甲は同意のようだ。そう考えれば、やはり年齢は数えで考えることを前提としているのだな。
古稀(コキ) 70歳 杜甫の詩句に由来する。「人生七十古来稀なり」
喜寿(キジュ) 77歳 「喜」の字の草書体が、「七十七」を含んでいる。
傘寿(サンジュ) 80歳 「傘」の異体字が、「八十」となっている。
半寿(ハンジュ) 81歳 「半」の字を分解すると「八十一」。
板寿(バンジュ) 81歳 「板」とは、将棋盤のこと。将棋盤には、81のマス目があるから。
米寿(ベイジュ) 88歳 「米」の字を分解すると「八十八」。
卒寿(ソツジュ) 90歳 「卒」の異体字が、「九十」となっている。
白寿(ハクジュ) 99歳 「百」から「一」を引くと「白」となる。
茶寿(チャジュ) 108歳 「茶」の字を分解すると2つの「十」と「八十八」
川寿(センジュ) 111歳 これは説明を要しないだろう。


【メモ】

◆「馬耳東風」「花鳥風月」「温故知新」。このうち、孔子が『論語』の中でのべているのは、「温故知新」。

◆誰の作品でしょう?
『孔子』『風林火山』『闘牛』『氷壁』……、はい、井上 靖ですね。

◆「己の欲せざるところ、人に施すなかれ」も、孔子のお言葉。

◆孔子がその名を嫌って、喉が乾いていたのにその水を飲まなかったとされる中国の山東省にある泉は「盗泉」。
「渇しても盗泉の水を飲まず」

◆「
濫觴(らんしょう)」とは、物事の始まりを表す言葉。
「長江のような大河も、始めはさかずきを浮かべるほどの小さな流れにすぎなかった」
 という孔子の言葉が由来だ。「觴」は「さかずき」、「濫」は「あふれる」の意。

◆「寿ぐ」は、訓読みすると「ことほぐ」。

◆長寿のお祝いで、「ハトのお祝い」と呼ばれるものがある。これは語呂合わせだ。もちろん、80歳のお祝い。

◆紹介した長寿の祝いのことを、「賀の祝い」ともいう。

◆自分で作ってみても面白いのではなかろうか。ヒットすれば、今後使用される可能性があるやもしれぬ。

×士寿(シジュ) 11歳 「士」の字を分解して「十一」。この場合「土寿(ドジュ)」でも可。
×木寿(モクジュ) 18歳 「木」の字を分解して「十八」。
×吾寿(ゴジュ) 50歳 「吾」の字を分解して「五〇」。でも、この場合、口に出して言ってみてもずばり「ゴジュ」になってしまう。

 余りにも簡単だったか。では、すこしひねってこんなのはどうだろう。

×寺寿(ジジュ) 11歳とちょっと  

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