・ 第四段の二 ・ 0588235294117647の神秘
(この段は、第四段の一からの続きです)杉野君に、「142857」の興味深い現象を教えてもらった。(※参照→ 第四段の一)
その前に復習しておこう。「142857」というのは、1を7で割ったときに発生する「循環節」であった。こうだ。1÷7=0.142857 142857 142857 ……
6桁の「142857」がいつまでも繰り返されている。このような場合、「6サイクルの循環」と呼ぶことにする。
さて、「142857」は、9の倍数である。各位の数を足していくと27になるので、このことはすぐにわかる。そこで、これを9で割ってみる。142857÷9=15873
この「15873」が、面白い性質を持っているのだ。この数に、7の倍数を順にかけていく。
15873× 7=111111
15873×14=222222
15873×21=333333
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15873×63=999999う〜ん、美しい。
さらに杉野君は、「142857」と似た性質を持つ数を教えてくれた。繰り返すが、1を7で割ったときに発生する循環節が「142857」で、6サイクルになる。7で割る→6サイクルの循環
というふうに、割る数より1すくないサイクル数になるのがポイントなのだそうだ。
似たような場合を探すと、少々苦労するが、次の例を発見することができる。1÷17=0.0588235294117647
これは16サイクルの循環になっている。この「0588235294117647」が、「142857」と似たような性質を持っているのだ。
まず、循環節の数の「ローテーション」を見てもらおう。0588235294117647× 2=1176470588235294
0588235294117647× 3=1764705882352941
0588235294117647× 4=2352941176470588
0588235294117647× 5=2941176470588235
0588235294117647× 6=3529411764705882
0588235294117647× 7=4117647058823529
0588235294117647× 8=4705882352941176
0588235294117647× 9=5294117647058823
0588235294117647×10=5882352941176470
0588235294117647×11=6470588235294117
0588235294117647×12=7058823529411764
0588235294117647×13=7647058823529411
0588235294117647×14=8235294117647058
0588235294117647×15=8823529411764705
0588235294117647×16=9411764705882352
(注意:便宜上、先頭の0は、残した)次に、前半8桁と後半8桁を足してみる。
05882352+94117647=99999999
最後に、9で割って、17の倍数をかけてみる。
0588235294117647÷9=65359477124183
65359477124183× 17=1111111111111111
65359477124183× 34=2222222222222222
65359477124183× 51=3333333333333333
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65359477124183×153=9999999999999999以上、美しさを堪能していただけましたか?
【メモ】
◆月に初めて着陸したロケットは、アポロ11号。その後、アポロ17号まで発射されている。計画では20号まで予定されていたが、膨大な経費がかかる上に、世間の興味が薄れてきたこともあり、1972年12月の17号で打ち切られた。◆ヘリコプターの操縦免許は、満17歳から取得できる。
◆1976年、南北のベトナムが統一された。統一前の南北ベトナムの国境線は、北緯17度線だった。
◆野茂英雄投手は、1990年4月29日の近鉄−オリックス戦で、17個の奪三振を記録している。
しかし、この上を行く記録がある。
1試合最多奪三振記録を持っているのは、野田浩司投手(元オリックス)。彼は、1995年4月21日に、強風の千葉マリンスタジアムの対ロッテ戦で19奪三振を記録している。
◆「ミスタープロ野球」と呼ばれる長島茂男が、現役選手として活躍したのは17年間。
◆プロ野球で使うホームベースの横幅は、17インチ。
◆第17回のオリンピックは、1956年、オーストラリアのメルボルンで開催された。しかし、馬術の競技だけは、スウェーデンで行われている。
◆大相撲の元横綱の曙の「曙」は、18画の漢字。曙が大関になる前には、17画の「あけぼの」だった。「丶」がなかったのだ。
◆「十七文字」といえば、俳句の別称。短歌は、31文字。都々逸になると、26文字。
◆「十七絃(げん)」という楽器がある。箏(こと)の一種。弦の数は、もちろん17本。従来の十三絃の箏では低音部が不足していたため、宮城道雄が考案した。
◆■ 宮城道雄 ■
1896〜1956。生田流の箏曲演奏家・作曲家。神戸生まれ。7歳で失明。その後、箏曲の名、箏曲の名人中島検校に師事。日本の音楽と洋楽との結合をめざし、新箏曲『水の変態』、『春の海』などを作曲。尺八の吉田清風と協力して「新日本音楽」を提唱する。
◆JIS規格で、黒鉛筆の芯の硬さは全部で17段階ある。
Hは、「hard」の略。Hから9Hまであり、数が多くなるほど硬くなる。
Bは、「black」の略。Bから6Bまでで、数が多くなるほど、濃く、柔らかくなる。
「普通の硬さ」とされているのが、HB。「hard and black」の略。
そして、HBとHの中間の硬さの芯がF。これは、「fine」の略。
◆1桁の素数を全部たしたら17になる。18になるという人は、素数に1を含めてしまっている。1は、素数ではない。