★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第二十八段 ●  How old are you?

 下のA〜Eの5枚のカードを用意する。あと、相手になってくれそうな人物も一人用意する。

┏━━━━━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━┓
┃ A  1  3  5  7 ┃ ┃ B  2  3  6  7 ┃
┃   9 11 13 15 ┃ ┃   10 11 14 15 ┃
┃   17 19 21 23 ┃ ┃   18 19 22 23 ┃
┃   25 27 29 31 ┃ ┃   26 27 30 31 ┃
┗━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━┓
┃ C  4  5  6  7 ┃ ┃ D  8  9 10 11 ┃
┃   12 13 14 15 ┃ ┃   12 13 14 15 ┃
┃   20 21 22 23 ┃ ┃   24 25 26 27 ┃
┃   28 29 30 31 ┃ ┃   28 29 30 31 ┃
┗━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━┓
┃ E 16 17 18 19 ┃
┃   20 21 22 23 ┃
┃   24 25 26 27 ┃
┃   28 29 30 31 ┃
┗━━━━━━━━━━┛

「稲田君の誕生日を当ててやろう」
「いや、当てなくていいよ。知ってるだろ」
「いいから、いいから。確か4月生まれだったね」
「そうだよ。で、何を当てるんだい」
「だから、生まれた日を当てるんだよ」
「30分の1の確率ってわけだ」
「いやいや、確実に当ててみせる。このA〜Eのカードの中で、君の生まれた日が書かれているカードだけを僕に渡してくれ」
「何やらからくりがありそうだな。え〜と、どのカードにも書かれてあるよ」
「ということは、君は31日生まれだね。おかしいな、4月は30日までだぞ」
「なるほど。嘘をつくと当たらないんだ」
「嘘はいいから、本当を言ってくれ」
「A、B、Eのカードに書いてあるよ」
「え〜と、君は、19日生まれだね」
「最初から知ってたくせに」
 これに似たことを、小学校の時分にやられた。悔しかった。なぜ当たるのか、その仕組みが分からなかったからだ。当てる方法は簡単だ。先の例で説明しよう。Aのカードの左上の数字は「1」。Bは「2」。Eは「16」。これらの数を足せばよい。

   1+2+16=19

 今なら何のことはない、2進法だ。見ればすぐ分かるが、Aのカードに書いてある数は全て奇数になっている。つまりこういうことだ。

   A‥‥2進法で表したとき、   1の位の数が1になる数。
   B‥‥2進法で表したとき、   2の位の数が1になる数。
   C‥‥2進法で表したとき、2の2乗の位の数が1になる数。
   D‥‥2進法で表したとき、2の3乗の位の数が1になる数。
   E‥‥2進法で表したとき、2の4乗の位の数が1になる数。

「19」を2進法で表すと、「10011」。だから、AとBとEのカードに「19」が書いてあるわけだ。
 応用問題として、年齢を当てるときに使うカードの製作を宿題にしようと思ったが、素直に紹介しておこう。32歳以上にも対応するためには、カードは6枚必要となる。女性に年齢を尋ねるのがむずかしい状況で使えるかな。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ A  1  3  5  7  9 11 13 15 ┃
┃   17 19 21 23 25 27 29 31 ┃
┃   33 35 37 39 41 43 45 47 ┃
┃   49 51 53 55 57 59 61 63 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ B  2  3  6  7 10 11 14 15 ┃
┃   18 19 22 23 26 27 30 31 ┃
┃   34 35 38 39 42 43 46 47 ┃
┃   50 51 54 55 58 59 62 63 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ C  4  5  6  7 12 13 14 15 ┃
┃   20 21 22 23 28 29 30 31 ┃
┃   36 37 38 39 44 45 46 47 ┃
┃   52 53 54 55 60 61 62 63 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ D  8  9 10 11 12 13 14 15 ┃
┃   24 25 26 27 28 29 30 31 ┃
┃   40 41 42 43 44 45 46 47 ┃
┃   56 57 58 59 60 61 62 63 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ E 16 17 18 19 20 21 22 23 ┃
┃   24 25 26 27 28 29 30 31 ┃
┃   48 49 50 51 52 53 54 55 ┃
┃   56 57 58 59 60 61 62 63 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ F 32 33 34 35 36 37 38 39 ┃
┃   40 41 42 43 44 45 46 47 ┃
┃   48 49 50 51 52 53 54 55 ┃
┃   56 57 58 59 60 61 62 63 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

「あら、どのカードにも、私の年が書かれてないわ!」
 と言われたら、彼女は64歳以上だ。

【メモ】

◆年齢のほかにも「1才、2才……」と数えるものがある。
「才」は船荷や石材の体積を表す単位で、1才とは1辺が1尺の立方体1つの体積のこと。これは、0.0278m^3、およそ28リットルにあたる。

◆2進法では、数字は「1」と「0」の2つしか使用しない。10進法に慣れ親しんでいる我々には分かりにくいが、電気回路などにとっては非常に便利だ。電気を通す、通さないで数を表すことができるからだ。

◆指を伸ばす、折るで、数を表現できる。伸ばした状態を「1」、折った状態を「0」とする。この方法で、片手だけで31まで数えることができる。どっちの手でもかまわないのだが、右手で数えることにする。

  親指…………1の位
  人差し指……2の位
  中指…………4の位(2の2乗の位)
  薬指…………8の位(2の3乗の位)
  小指…………16の位(2の4乗の位)

 たとえば、19を2進法で表すと「10011」。だから、小指、人差し指、親指を伸ばした状態が19を表すというわけ。「グー」は0、「チョキ」は8、「パー」なら31を表している。考えて使うと、かなり便利だと思うのだけど……。

◆一芸にもなる。指を折ったり伸ばしたりしながら、1〜31までスラスラ数えると、観衆はかなり驚く。指がつっても知らないぞ!

◆21は、キツイ。

◆「チョキ」には、6のタイプと3のタイプがある。

◆キャンディーズは、ヒット曲『やさしい悪魔』の中で、17を示す指サインで踊っていた。

◆両手を使ったら、1023まで数えることができる。足の指まで全部使ったら、1048575まで数えられる。足の指がそんな器用に動くかどうかは、別の問題。

◆足の指なのに、「指」という漢字には手へんが使われている。変だ。英語では、手の指はfinger、足の指はtoeと、ちゃんと区別するのに……。

◆探してみるものだ、ちゃんと「足の指」を表す漢字があった。「趾」だ。古くはこの字を用いて手の指と区別をしていたが、近年廃止されて「指」となり、必要なときは「足の指」とすることになったそうだ。

◆足の「人差し指」や「薬指」という表現も変だ。足の指で、人をさしたり、薬を溶いたりしないぞ。
 足の場合でも、親指は親指、小指は小指と呼ばれている。あとの指だが、親指のとなりから順番に、第2指、第3指、第4指となっている。真ん中の指は、「中指」と呼んでもかまわないのに……。

◆ここに、40人のクラスがあるとしよう。このクラスの中に、同じ誕生日の生徒がいる確率を求めたい。
 こういった確率は、「余事象」を使って計算されることが多い。つまり、
「同じ誕生日の生徒がいる確率」ではなく、「同じ誕生日の生徒がいない確率」
を求め、それを1から引き算するのだ。やってみよう。

                         365
 まず、1人目。この人の誕生日はいつでもいいから、――
                         365

                               364
 2人目の誕生日は、1人目の誕生日と違ってないといけないから、――
                               365

                                 363
 3人目の誕生日は、先の2人の誕生日と違ってないといけないから、――
                                 365

 というふうに、以下40人目まで考えて、それぞれの分数をかけ算する。これが、「同じ誕生日の生徒がいない確率」。だから、あとは、これを1から引けばよい。

     365 364 363      326
   1−――×――×――×……×――
     365 365 365      365

 こういう計算は、コンピュータにさせるにかぎる。
 上の式の結果は、0.891238……、つまり、40人のクラスで同じ誕生日の生徒が存在する確率は、およそ9割にもなるのだ。
 ちなみに、確率が5割を越えるのは、23人目。

◆「40人の中に、私と同じ誕生日の人がいる確率」となると、計算は別。残りの39人が全員「私」と違う誕生日になる確率を求め、それを1から引けばよい

     365 364 364      364
   1−――×――×――×……×――
     365 365 365      365
      |            |
       ̄ ̄ ̄ 39回   ̄ ̄ ̄ ̄

 結果は、0.1014707……。ちょうど1割くらいだ。
 なお、この計算は1年を365日としている。2月29日を入れて366日とすると結果は若干異なる。
 この確率をどう捕らえるべきか? 1割ということは、小・中学校で一度くらい、クラスに同じ誕生日の人がいたという経験があるということか。
 あなたはどうですか?


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