● 第三十六段 ● 全国金魚すくい選手権大会
縁日とは、ずばり「縁のある日」。彼と彼女の縁ではなくて、人と神様の縁だ。神社やお寺には、それぞれ「特別な日」があって、こんな日にお参りすると、ラッキーなのだ。通常では得られない御利益があると考えられている。
特別な日とは、神事、仏事の日、何かの由緒がある記念日とかだ。たとえば、薬師如来だったら8日、観音様だったら18日、地蔵菩薩なら24日、不動尊なら28日‥‥。こういう日に、人と神様が縁を結ぶことができる。
御利益があるというので、大勢の人が繰り出す。屋台も出る。市(いち)も立つ。町も賑わうし、大きくなる。門前町というのは、こうしてできた。
屋台といえば、金魚すくい。奈良県の大和郡山市は、金魚の養殖で有名だ。ここでは、ここ数年、「全国金魚すくい選手権大会」が行われている。3分間で、金魚が何匹すくえるかというものだ。「大会」というからには、ルールがある。最近、このルールを手に入れたので、紹介してみようと思う。全国大会だけに、なかなか細かな所まで考えられている。[競技用具]
(1)用具は全て主催者で用意したものを使用する。
(2)水槽の大きさは縦85cm、横55cm、深さ18cmとする。
(3)すくいねっと(ポイ)は内径8cmとする。
(4)紙は5号を使用する。
(5)金魚収容ボールはお椀型とし、内径16cm以内とする。
(6)水深は10cmとする。
(7)水温は摂氏20度〜30度とする。
(8)競技中エアポンプの使用は一時中断する。
[金魚]
(1)種類は和金のみとし、寸法は約5〜6cmとする。
(2)一水槽の収容数は概ね500匹とする。
[競技の種類]
(1)競技は、個人戦は少年の部(小・中学生)と一般の部(高校生以上)に分けておこなうものとし、団体戦は少年・一般混合可とする。
(2)競技は、3分間の時間制でおこなう。
(3)同一水槽の競技者は、個人戦は2名とし、団体戦は3名(1チーム)とする。
(4)審判員は、各水槽に2名とする。
[競技の開始と終了]
(1)競技の開始と終了は審判長の合図による。
(2)開始の場合、1分前に所定の場所につき、「位置について」・「用意のかけ声の後、笛の合図で競技開始。
(3)終了の場合、30秒前に「30秒前」のかけ声、10秒前からカウントダウンし、笛の合図で競技終了。
(4)競技時間内にネットが使用不可能になったとき、または不正行為の判定を受けたときは、その競技者は終了しなければならない。【メモ】
◆薬師如来は、病苦に苦しむ衆生を救う仏。薬師三尊といえば、中央に薬師如来、脇侍(きょうじ)として左に日光菩薩、右に月光(がっこう)菩薩。三尊を、十二神将がとりまいている。
◆観音とは、観世音菩薩の略。救いの求めに応じて様々に姿を変えてこの世に現れる慈悲深い菩薩。聖観音、千手、十一面、如意輪など、その姿によって多くの名がある。
◆釈迦の入滅後、弥勒菩薩が現れるまでの間、人々を救う菩薩が地蔵菩薩。
◆不動尊とは、不動明王のこと。密教で、大日如来の化身とされる仏教の守護神。
◆タコは、その体型から、僧侶の間で千手観音と呼ばれた。昔の話だ。
◆十一面観音の後ろの顔の表情は、笑っている。十一面観音に会う機会はそんなにないのだが、会えば必ず後ろの顔を見るようにしている。確かにいつも笑ってなさる。
◆香川県には、観音寺市がある。「寺」という字が使われている都市は、あと3つ。香川県の善通寺市、東京都の国分寺市、大阪府の藤井寺市。
◆観音咲崎は、神奈川県三浦半島の東端、浦賀水道に臨む岬。ここには、1869年に設置された日本最古の洋式灯台がある。
◆京都の三十三間堂には、湛慶(たんけい)の作った1001体の千手観音が納められている。
◆大阪府大東市にある野崎観音。川を船で行く参詣者と岸を行く参詣者とが、悪口を言い合う風習がある。これに勝つと、1年は幸せであるという。
◆済す(なす)ときのえんま顔、借りるときの地蔵顔。
◆■ 金魚 ■
コイ科の淡水魚。フナを品種改良した鑑賞用の飼育品種。中国で1600年前に赤いフナが発見され、その後飼育されるようになった。日本への渡来は、室町時代。英語で「ゴールド・フィッシュ」、フランス語で「ポアソン・ルージュ」。
◆「赤いベベ着た可愛い金魚〜」という鹿島鳴秋作詞の歌は、『金魚の昼寝』。そんな題名だったのか。
◆卵からかえったばかりの金魚は赤くない。色はなく、透き通っている。
◆背びれがなく、頭部にコブがある金魚は、ランチュウ。
◆デメキンは、英語で「telescope eye」とか「pop-eyed gold」と呼ばれる。アカ、クロ、サンショクなどの種類がある。
◆金魚の糞。
【追伸】
あなたも参加してみては?
問い合わせは、全国金魚すくい選手県大会事務局
電話 0743−53−1151(内戦563)