ボールを足で扱うのは非常に苦手なので、サッカーボールをしっかりと見つめたことがなかった。正五角形と正六角形に包まれていることくらいはわかっていたが、それぞれ何枚あるか?――なんて言われると、困ってしまう。
時節がら、サッカーで盛り上がっているので、今回はボールを見つめて、なぜ正五角形と正六角形なのかを考察してみよう。
ボールを作るためには、皮を切り抜かなければならない。切り抜かれる皮の「型」は、その種類がすくないほどよい。製作の行程がすくなくてすむからだ。
野球のボールだと、「8」の字のような形をした皮2枚が縫い合わされている。また、バレーボールは、台形のような図形を縫い合わせて作られている。どちらも使われている型は1種類だけだ。そういえば、ラグビーボールも1種類の皮で作られている。
では、正多角形ばかりでボールを作るとなるとどうなるか?
■ 正多角形 ■
平面上の凸多角形で、すべての辺の長さ、すべての角の大きさがそれぞれ等しいもの。正三角形、正方形、正五角形……など。
正三角形ばかりでボールを作るとする。4枚、6枚、8枚、20枚でそれぞれ立体を形作ることはできるが、この中でボールとして最適なのは20枚のものだ。これは「正二十面体」と呼ばれるもので、1つの頂点に5枚の正三角形が集まっている。
正方形ばかりだと、6枚を使ってサイコロ型ができる。「正六面体」、あるいは「立方体」と呼ばれているものだ。これに空気を入れると、多少皮が膨らむから球には近くなるだろうが、立方体を膨らますくらいなら、正二十面体の方がボールに近い。というのは、正二十面体の場合は、正三角形が1つの頂点に5枚集まっているわけだから、
60×5=300(度) (注:60度は、正三角形の1つの角)
一方、立方体の場合は、正方形が1つの頂点に3枚集まっているのだから、
90×3=270(度) (注:90度は、正方形の1つの角)
つまり、正二十面体の方が、各頂点のとんがり具合が鈍い(球に近い)ということになる。
では、正五角形でボールを作るとどうか。正五角形を12枚を使って「正十二面体」ができるわけだが、これは1つの頂点に3枚の正五角形が集まっている。
108×3=324(度) (注:108度は、正五角形の1つの角)
正十二面体の方が、正二十面体より球に近いことがわかる。しかも、正十二面体の辺の数は30本、正20面体の辺の数も30本。皮と皮を縫い合わせる辺の数は同じなのだ。
さて、もっと球に近づけるためにと、今度は正六角形を使おうとしても、それは無理な話。
120×3=360(度) (注:120度は、正六角形の1つの角)
正六角形を3枚集めると、ちょうど360度、つまり「平面」になってしまうのだ。これでは立体は作れない。
そこで、さらに球に近づけるために、「1種類の型」という条件をゆるめてしまう。1つの頂点に2枚の正六角形と1枚の正五角形を集めるのだ。
120+120+108=348(度)
ほら、正十二面体よりも球に近くなった! これで、サッカーボールのできあがりというわけだ。
【メモ】
◆漢字で「蹴球」と書けば、サッカー。
野球……ベースボール
庭球……テニス
卓球……テーブルテニス(ピンポン)
送球……ハンドボール
排球……バレーボール
闘球……ラグビー
籠球(ろうきゅう)……バスケットボール
鎧球(がいきゅう)……アメリカンフットボール
杖球(じょうきゅう)……ゴルフ
台球(撞球)……ビリヤード
水球……ウォーターポロ
氷球……アイス・ホッケー
避球……ドッジボール
地球……アース(私たちが住んでいるところ)
電球……エレクトリック・バルブ(小さいものは「豆電球」と呼ばれる)
弾球……パチンコ(ウソ!)
他にもあったら、教えてください。このリストに追加します。
◆日本プロサッカーリーグは、「Jリーグ」。お隣り韓国のプロサッカーリーグは、そう、予想通り「Kリーグ」。
◆1998年にJリーグ入りしたコンサドーレ札幌。変な名称だなと思っていたら、「道産子(どさんこ)」の逆さ読みと「オーレ」を合成してつけられたのだそうだ。
◆「鹿島サッカースタジアム」「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」などのの長い名前の駅があるのは、鹿島臨海鉄道の大洗鹿島線。水戸と鹿島神宮の間を走っている。
◆南阿蘇鉄道にも、「阿蘇下田城ふれあい温泉」「南阿蘇水の生まれる里白水高原」といった長〜い名前の駅がある。
◆「長者が浜……駅」と「南阿蘇……駅」、どっちが長いのかはすぐにはわからないので、数えてみた。ひらがなにすると同じ文字数なのだが、
長者ヶ浜潮騒はまなす公園前…………13文字
南阿蘇水の生まれる里白水高原………14文字
ご覧のように、後者が1文字多い。
◆ということで、クイズ通には「南阿蘇……駅」は有名だったのだが、最近になって、さらに長い名前の駅が誕生している。
ルイス・C.ティファニー庭園美術館前
これは、島根県一畑電鉄の古江駅が2001年4月に改名したもの。
◆ひらがなで書いてもすごいんです。
ちょうじゃがはましおさいはまなすこうえんまえ
みなみあそみずのうまれるさとはくすいこうげん
るいすしーてぃふぁにーていえんびじゅつかんまえ
◆「すいませ〜ん、『ルイス・C.ティファニー庭園美術館前駅』から『南阿蘇水の生まれる里白水高原駅』までの切符を1枚くださ〜い」
――そんなこと、駅員さんに、尋ねるのは気が引けるので、自分で調べてみた。
ソフトがはじき出した結果は、片道16700円(乗車券9400円、特急等の料金7300円)、かかる時間は、10時間1分(2002年5月現在)。
ティファニー庭園美術館前(一畑電気鉄道北松江線)
↓ 51分 670円
電鉄出雲市
↓ 徒歩
JR出雲市
↓ JR特急スーパーおき 182分 1410円 ↓
JR小郡 ↓
↓ JR新幹線ひかり 46分 2920円 ↓乗車券
JR博多 ↓8400円
↓ JR特急つばめ 77分 1870円 ↓
JR熊本 ↓
↓ JR特急あそ 39分 1100円 ↓
JR立野
↓ 15分 330円
南阿蘇水の生まれる里白水高原(南阿蘇鉄道)
◆サッカーやホッケーなどで、1人の選手が1試合に3点以上得点することを「ハットトリック」というが、この言葉のもととなったスポーツはクリケットだ。クリケットで3連続三振を奪った投手に、賞として帽子(ハット)が贈られたことに由来する。
『忍者ハットリ君』とは、無関係。
◆結局、1つのサッカーボールを作るためには、正六角形(ふつうは白)20枚、正五角形(大抵は黒)12枚が必要ということになる。
◆形は球に近くなったのだが、おかげで辺の数が増えてしまった。サッカーボールの辺は、90本もあるのだ。ちなみに、頂点は60個もある。
◆炭素原子60個がサッカーボール状に結合した分子C60を、「フラーレン」という。「フーリガン」ではない。
◆■ 正多面体 ■
すべての面が合同な正多角形であり、どの頂点に集まる面の数が等しい多面体。正多面体は、正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体の5種類しかない。
◆合同な正三角形を6枚うまくつなげると立体ができあがるが(正四面体を2つくっつけた立体)、これは正多面体とはいえない。3つの面が集まる頂点と4つの面が集まる頂点があり、一定していないからだ。
◆サッカーのゴールポストの間隔は7m32cm。クロスバーまでの高さは2m44cm。なんて中途半端な数字なんだ――と思ってはいけない――と思う。
というのは、「お国柄」というものがあるからだ。
◆サッカーが発祥したのはイギリスだから、フィートで割ってみる。
7.32÷0.305=24 (注:1ft=0.305m)
2.44÷0.305=8
ほらね、すっきりした。