★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第百四十三段 ●  動物カルタを作ろう!

 あけましたおめでとうございます――ということで、今回は動物
カルタを作ってみようと思う。「あ」で始まる動物、「い」で始まる動物……、というふうに動物を探していく。何でもありというのも困るから、初めに条件を立てておく。
 (1) 小学生以下でも楽しめるようにしたいので、できるかぎりポピュラーな動物
   であること。
 (2) 哺乳類、鳥類、爬虫類の中から探す。
 (3) 「ニホンザル」「シロナガスクジラ」などという二次的な名前は排除する。

 では、さっそく考えてみよう。

  アヒル   イヌ    ウマ    エミュ   オットセイ
  カエル   キツネ   クマ    ケ???  コアラ
  サイ    シカ    スカンク  セイウチ  ソ???
  タヌキ   チーター  ツバメ   テン    トラ
  ナマケモノ ニワトリ  ヌー    ネコ    ノ???
  ハイエナ  ヒョウ   フラミンゴ ヘビ    ホトトギス
  マントヒヒ ミンク   ムササビ  メジロ   モモンガ
  ヤギ          ユ???        ヨシキリ
  ラクダ   リス    ル???  レイヨウ  ロバ
  ワニ

 2セットくらいは簡単にそろうと思っていたのに、なんのなんの、かなりむずかしい。「エ」「ヌ」「ヨ」「レ」などは、なかなか出てこなかった。それよりも、「ケ」「ソ」「ユ」「ル」が思いつかない。事典などを調べたらあるのかもしれないが、(1)のルールに反してしまう。しかし、1セットもできないようでは悲しいので、なんとかしたい。

  ケ……「ケリ」という鳥がいます。
  ソ……「ゾウ」で許してもらおうか。
  ユ……「ユニコーン」なんていかがでしょう。
  ル……????

 だめだ、だめだ。この試みはギブアップだ。こんなに(1週間ほど)考えて見つからなかったということは、このような児童用のカルタは売り出されていることはないとみた。
 ならば、いっそのこと「動物」のジャンルを諦めてしまおう。「科学者カルタ」なんてどうだろう。この際、ルールも緩めて、

 (1) できるかぎりポピュラーな科学者であること。

 これだけだ。では、さっそくいってみよう。

  アインシュタイン、イブン・シーナ、ウェゲナー、エジソン、オーム
  カロザーズ、キュリー夫妻、クーロン、ケプラー、コペルニクス
  サハロフ、シャルル、鈴木梅太郎、セーレンセン、ソルベー
  高野長英、チェンバレン、ツィオルコフスキー、寺田寅彦、トリチェリ
  長岡半太郎、ニュートン、ヌ???、ネスラー、ノーベル
  ハッブル、ヒポクラテス、ファラデー、ヘルムホルツ、ホーキング
  マルコーニ、ミュラー、向井千秋、メンデル、モーガン
  ヤング、湯川秀樹、ヨ???
  ラボアジェ、リンネ、ルー、レントゲン、ローレンツ
  ワクスマン

 少なくとも、名前はどこかで聞いたことがあるというものを集めたつもりだが、あまりポピュラーでない人物も入ってしまった。それにしても、惜しい。あと、「ヌ」と「ヨ」だけなのに……。
 もう少しがんばるか。早く解決しないと、正月から夜も眠れヌヨ。


【メモ】

◆カルタは、ポルトガル語。「骨牌」「歌留多」とも書く。西洋かるたのことを「トランプ」と呼んでいるが、トランプとは正しくは、西洋かるたの切札のことをいう。

◆カルタには、主に賭博に使われるカルタ(花札など)と教育を目的とするカルタの2種類がある。作ろうと躍起になっていたのは、もちろん後者。

◆カルタがポルトガルから日本にもたらされたのは、16世紀後半のこと。しかし、このカルタは、現在のトランプとは別のもの。棍棒、剣、聖杯、貨幣の4種がそれぞれ1から12まであり、合計48枚で構成されていたと考えられている。

◆1の札は「ピン」、12の札は「キリ」と呼ばれていた。もちろん、「
ピンからキリまで」という言葉がここから生まれている。

◆カルタ、カード、カルテ。発音もモノも似ている。

◆1902年に骨牌(かるた)税が施行された。この法律は、1957年にトランプ類税となり、トランプ、花札、かぶ札など一定範囲のものを国内で販売するときには税金が課せられる。つまり、カルタにはこの税金は課せられないということだ。不思議。

◆いろはがるたは48枚ある。ことわざなどを書いた読み札と、その頭文字及び内容を表しす絵が描かれている取札とからなる。子どもたちの正月の遊びとして定着している。起源については諸説があり、江戸中期(18世紀後半)までに上方で作られていただろうとするのが有力。

◆江戸いろはがるたの「い」は「犬も歩けば棒に当たる」。上方いろはがるたの「い」は「一寸先は闇」。

◆江戸いろはがるたと上方いろはがるたに共通しているのは、「月夜に釜を抜く」の1句だけ。

◆さて、「科学者カルタ」だが、「ぬ」や「よ」で始まる人物がまったくいなかったわけではない。
 全部床義歯(いわゆる総入れ歯!)を初めて作ったと考えられているのが、オランダの外科医・解剖学者のヌック(1650‐92)。彼は、1680年、1個のカバの歯を彫刻して下あごの全部床義歯を作っている。技師を作った人がヌック(抜っく!)とは、面白い。
 横山又次郎(1860〜1942)は、動植物・貝類の化石を研究。日本古生物学の基礎を築いた人物。
 吉田富三(1903〜1973)は、病理学者。人工肝癌を発生、また、「吉田肉腫」を発見して、腫瘍細胞の研究発展に貢献した。
 吉村信吉(1906〜1947)は、中央気象台の技師。全国の湖沼を調査・分類し、湖沼学を発展させた。
 ヨハンセン(1857〜1927)は、デンマークの植物学者・遺伝学者。自家受粉実権を繰り返しおこない、純系を取り出し、純系内の個体差は遺伝的変異ではないことを明らかにした――とあるが、言っていることがよくわからない。


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