● 第百八十段 ● アメリカンサイズ、350mlの謎
以前からず〜〜〜っと、それこそ20年以上疑問に感じていたことが、やっと解決しました。ジュースやコーラの缶、350mlの容量のものが多いですよね。これ、「アメリカンサイズ」と呼ばれているのですが、どうして、350mlなんだろう? それがわからなかったのです。
経験上、この中途半端さには何か理由がある。そういうことは知っていました。その理由が知りたかったのです。(2010年)3月下旬に単位のことである雑誌から取材を受ける中で、私は長年のこの疑問を思い出しちゃったもので、それ以来、頭のどこかがムズムズしていたのです。
5月13日のブログの中で オンス oz の問題を出しました(こちら)。書いた直後にひらめきました!
「オンス oz は、体積の単位に使われることもある!」
厳密には「液量オンス fluid ounce」と呼ばれます。単位記号は、[fl oz] です。ヤード・ポンド法における体積(容積)の単位です。イギリスとアメリカですこしだけ値が異なります。
1液量オンス=28.4130625mL(イギリス)
1液量オンス=29.5735295625mL(アメリカ)
「アメリカンサイズ」について悩んでいるのですから、アメリカの液量オンスを調べた方がよいですよね。オンスの上位の単位は「ガロン」で、次のような関係があることもわかりました。
1ガロン=8パイント=128オンス
1パイント=16オンス
どうも「10でまとまりを作る」という体系ではないようです。4や8でまとまりを作ろうという意識が見えてきますね。ちなみに、1パイントはというと……
1パイント=16オンス≒473ml
だめですね〜。350mlに近づきません。そこで、さらにアイデア! 12オンスで考えてみます。
12オンス=354.882355ml
やりました! ほぼ350mlです! アメリカンサイズは、12オンスだったのです。
【メモ】
◆質量の単位としてのオンスについても、書いておきましょう。
「オンス」はヤード・ポンド法の質量の単位で、大きく常用、トロイ、薬用の3種類があります。ふつう、特にことわりなく「オンス」と言えば、常用オンスのこと。
1常用オンス=28.349523125g
◆オンスの上位の単位が、ポンド。16常用オンスが1ポンド(約453g)に当たる。
◆調べているうちに、こんなのも見つけました。
「チェリオ」って飲み物、ご存じですか? あれ、瓶入りは296mlなのです。おわかりですね、10オンスなんです。
◆「7up」って飲み物もありましたよね。なぜ「7」なのか? 瓶入りの容量が7オンスだったからという説があります。
◆コカ・コーラのレギュラーサイズは、190ml。これは、約6.5オンス。
◆本文でも述べたように、16オンスは、473ml。一人で飲むには多すぎるなとは思うが、かといって飲めない量でもない。
あるはずだ!
「缶 16オンス」で検索してみた。「16オンス缶」をたくさん発見できました。
日本では、キリよく500mlサイズとして売られているようですね。
◆チャゲ&飛鳥の『LOVE SONG』という歌の中で、「半オンスの拳が受けてる」という歌詞が出てくる。このオンスが質量の単位とすれば、約14g。拳の質量としてはあまりに軽い。一体、この「半オンス」って何のことなのだろう?
◆ボクシングのグローブの重さは、オンスをつかって表すのが普通。それでも、14gのグローブは軽すぎる。
◆私は「Gパン」と呼ぶことが多いのだが、店に行くと、もう「ジーンズ」とも呼んでいない。「デニム」と言われた。
そのデニムの生地の厚さは、オンスを使って表される。1平方ヤードの生地の重さで厚みを表すそうだ。ちなみに、1平方ヤードは、およそ0.84平方メートル。
よ〜くさがしてみたら、デニムのどこかに書いてあるのかな? 探してみます。ちょっと待ってください。
……見つかりませんでした。私のは、Gパンだからかなぁ。
◆海外から日本へ帰国するとき、香水の免税範囲は2オンス。このオンスは、体積のオンスのようです。
新千歳空港のサイトには、「1オンスは約28cc」とありました。「cc」は「ml」と読み替えても大丈夫ですから、このオンスは、イギリスのオンスのようです。
◆さあ、次は瓶ビールの謎だ。なぜ、大瓶は633mlなのか?