★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第十四段 ●  なぜ1月1日が1月1日なのか?

 どうして、1月1日が1月1日なのだろう。
 言っている意味が分からないかもしれない。つまり、1年の始めがどうして1月1日なのだろうってこと。これでも同じか。どういえばいいのかな。
 1年の始めとされる日が1月1日。これは、当たり前。しかし、旧暦だとすこし遅れて1月1日がやってくる。つまり、1月1日というのは、絶対的なものではない。国・宗教・政治・習慣などによって、年初がいつかというのも変わってくるわけだ。
 現在日本で使用されている太陽暦は、明治の初期に採用されたもの。大陰暦を使っていた最後の日は、明治5年12月2日。明治5年12月3日になるべき日が、明治6年1月1日となったわけだ。突然に新年がやって来て、どうも慣れ
ない人が多かったことだろう。
 では、どうして、現在1月1日とされている日が、1月1日なのか。いくつか予想されることがある。

(1)歴史上の人物、事件の記念日
(2)太陽暦というくらいだから、太陽の運行に関係あり。
(3)何らかの理由で、何日かずれた。
(4)その他

(1)で考えられる人物は、やはりキリスト。
 暦というのは、どうしても宗教が絡んでくることが多いから、当然キリストが第1候補だ。ごく普通に考えると、クリスマスの日が、1月1日になるべきだろう。とすれば、26、27、28、29、30、31、そして1月1日。……この7日のずれは何だ。

(2)だ。人物でないとすれば、天文に頼るしかない。
 基準とするのは、やはり、太陽の運行だろう。節目と考えられるのは、春分、秋分、夏至、冬至、このあたりか。この中で1年の始めにふさわしいのは、冬至かな。その前の日までは、昼間の時間が短くなってきていたのに、冬至の日
からは、昼間の時間が長くなる。まさに「生まれ変わる」「また新しい年が始まる」という気がするではないか。
 しかし、毎年、冬至は12月22日頃。これでは、10日もずれていることになる。

 そこで(4)として、(1)と(2)を合体させるというのはどうだろう。
 キリストの誕生日だという12月25日を、1月1日と決めたとする。しかし、それでは、人々の間から不満が出る。
「クリスマスを、12月25日に戻せー!」
 これでは、意味がない。
 そこで、発想を転換して、1月1日を決めるのではなく、12月25日を決めるのだ。そして、12月25日にふさわしい日は、やはり冬至の日。う〜ん、それでも現在の冬至の日と3日ずれてるな。あと3日だ。
 上記のどれかが正解だという気がする。あとは、(3)の理由を見つければよい。そのためにはすこし歴史を調べねばならぬ。
 現在のグレゴリオ暦は、1582年から使われている。それまではユリウス暦というのを使っていた。こちらは、紀元前46年から使用されている。
 ユリウスとは、もちろんシーザーのこと。彼は、いろいろと暦をさわったことで有名だ。7月の「July」は彼にちなんだ月。また8月の「August」は彼の養子のアウグストゥスにちなんだ月だ。もしかしたら、彼が「1月1日」をすこし移動したのではないか。可能性はある。
 なぜ、ユリウス暦をグレゴリオ暦に変える必要があったのか? きっと、紀元前の暦では、太陽の運行と対応していない部分があって、1600年以上も使っていると、実際と大きくずれてきたのだろう。ずれない方がおかしい。そのままで放っておくわけにもいかず、グレゴリオ暦に変えた。ただし、既にずれてしまった部分は、混乱を避けてそのまま踏襲した。――こんなところではないだろうか?
 今回はすっきりいかない。こういうこともある。21世紀になるまでに解決したかったのだが、せめて、稲田君がしゃしゃり出てくるまでに、調べておくことにしよう。

【メモ】

◆4大文明のうち、太陽暦を創始したのは、エジプト文明。太陽暦の1年は365日。太陰暦の平年は354日。

◆西暦年数が4で割り切れたら閏年だ、と思ったらすこしだけ間違い。
 グレゴリオ暦では、閏年を省く場合が400年に3回だけある。400で割り切れない100の倍数の年は閏年ではない。つまり、2000年は閏年だが、2100年は閏年ではない。

◆地球の自転運動に基づく時間を、「世界時」という。しかし、現在、国際社会で普通に使用されているのは、世界時に歩調を合わせた原子時で、これを「協定世界時」という。

◆セシウム133原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対する放射の91億9263万1770周期の継続時間。
 なんのことか分からないかもしれないが、実は、これが、1秒の定義。これを使って、世界時に歩調を合わせているわけだ。

◆しかし、世界時と協定世界時にもずれがある。このずれが、0.9秒以内におさまるように、1秒を加えたり引いたりすることがある。これが、閏秒
 閏秒の実施は、は過去に20回ほど行われているが、いつも午前8時59分と午前9時の間で行われていたような気がする。ややこしいのに、どうしてみんなが眠っているような間でやってくれないのだろうと思っていたら、何のことはない、基準となる経度0度のグリニッジでは0時なのだ。

◆日本人による初めての暦、貞享暦をつくったのは、安井算哲。またの名を、渋川春海。江戸時代の人だ。

◆ロサンゼルス郊外のパサディナでは、例年1月1日に、アメフト全米大学王座決定戦「ロ−ズボウル」が行われる。

◆国産アニメの第1号である『鉄腕アトム』は、1963年1月1日に始まった。キュッキュッというアトムの靴の音はシンセサイザ−で有名な富田勲、主題歌の作詞は谷川俊太郎によるもの。

◆冬至を1月1日に定義してしまえばいいのに……。今さらできないのかな?


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