★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第三十九段 ●  330円のジャンプ

 数学の教師をしている友人に、杉野君というのがいる。大学での後輩だ。彼に教えてもらった問題。
 2種類のコインを2個ずつ用意する。10円硬貨と100円硬貨が使いやすいだろう。正方形を横に5つ並べたマス目も準備して、そこにコインを下の図のように並べる。

       ┏━┳━┳━┳━┳━┓
   (始め)┃●┃●┃ ┃○┃○┃
       ┗━┻━┻━┻━┻━┛

 目標は、最小の手数で、●と○の位置を完全に交換すること。その際のルールは、たったの2つ。

(1)となりのマスがあいていたら、コインを移動することができる。
(2)ジャンプする先のマスがあいていたら、コインを1個ジャンプして移動することができる。

 出だしだけでもやっておこうか。左右対称だから、どのコインから動かしてもよい。

       ┏━┳━┳━┳━┳━┓
   (1手)┃●┃ ┃●┃○┃○┃
       ┗━┻━┻━┻━┻━┛

       ┏━┳━┳━┳━┳━┓
   (2手)┃●┃○┃●┃ ┃○┃
       ┗━┻━┻━┻━┻━┛

 答えをここで発表してしまうと面白くないから、最少の手数だけ言っておこう。8手で交換が完成するはずだ。あれやこれやと試行錯誤しているうちにできると思う。
 こんなのは簡単だと言われそうだから、すこしレベルの高い問題も出しておこう。

       ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
   (始め)┃●┃●┃●┃ ┃○┃○┃○┃
       ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛

 わかっていただけますね? そうです。今度は、3個ずつのコインの位置を交換してほしいのです。
「15手でできるんだ。俺は3日かかった」
と、杉野君は言うのだが、何回やっても、17手かかってしまう。とうに3日は過ぎている。教えてくれと言っても、教えてくれない。本当にできるのやら。今度、稲田君が長時間船に乗るというので、彼にも教えてあげた。彼ならできるかな?
 この問題もできたという人は、「4枚―4枚」の交換に挑戦してはいかが。でも、かなりのマゾだなと思う。


【メモ】

◆エレベーターで86階へ。102階よりも、86階の方が人気がある。一通り風景を見て、感動した後は、ここにいるお兄さん(おじさん?)に、ペニー(1¢コイン)と料金を渡す。コインをつぶして、楕円形のメダルを作ってくれる。
 これは、ニューヨークの
エンパイア・ステート・ビルでのお話。確かメダルには、エンパイア・ステート・ビルの絵が刻印されていたと思う。2枚作ったのだが、誰かにあげてしまった。

◆日本で10円硬貨をつぶすと罪になると聞いたが本当か。

◆観光地に行くと、観光記念のメダルに自分のイニシャルなどを刻印する機械がある。なんだか、さびれてるな〜と感じてしまうが、まだまだ現役でがんばっている。

◆左右対称のインクのしみを見せて、何に見えるかを言わせ、人格の特徴を診断する方法は、
ロールシャッハ・テスト。ロールシャッハは、スイスの精神科医。
「そういうあなたは、何に見えるんだ?」
と言ったら、どんな人格だと判断されるのだろう。

◆Aの次は、H。Hの次は、I。Iの次は、M。では、Mの次は何か?
 左右対称のアルファベットは、全部で11文字ある。

バンジージャンプ。南太平洋にあるバヌアツ共和国でおこなわれていた、成人になるための通過儀礼。スポーツとしてのバンジージャンプの発案者であるハケットが、最初に飛び降りた建物は、エッフェル塔。

◆「
通過儀礼」というのは、ドイツの民俗学者、ファン・ヘネップの用語。

◆スキーのジャンプ台には、ノーマルヒルとラージヒルがある。青いラインで示されているのは、P点(標準点)。赤いラインで示されているのはK点(極限点)。危ないってことだ。
 P点とK点の中間が、テーブル・ポイント。また、そのジャンプ台での最長不到距離を、
バッケンレコードという。

◆ジャンプ競技で、着地のときにスキーを前後にずらし、腰を落としてショックを吸収する姿勢をとる。ノルウェーの地名にちなんで、テレマーク姿勢という。

◆ジャンプ競技に、ストックは使わない。使わずにストックしておく。「ストック」は、ドイツ語。

◆棒高跳びを英語で「ポールジャンプ」。三段跳びは、「トリプルジャンプ」。ホップを右足で踏み切ったとすると、ステップも右足。ジャンプのときの足は、左足。

◆低カロリー、ノーコレステロールで人気のジャンプ・ステーキは、カンガルーの肉。

◆「4枚―4枚」の移動には、24手必要だそうだ。実際にやってみないと、納得できないが……。

   1枚―1枚 …… 3手
   2枚―2枚 …… 8手(5手増えた)
   3枚―3枚 ……15手(7手増えた)
   4枚―4枚 ……24手(9手増えた)

 おおっ、階差数列だ! 手数が5手、7手、9手と増えていっている。
 この先もこの調子を維持するとして、勝手に計算してみた。
 n個ずつのコインを、(2n+1)個のマスの中で交換するためには、
(n^2+2n)手が必要。「5枚−5枚」だと、さらに11手増えるわけだから、35手だ。やる気にならん。(注:n^2は、nの2乗を表している)

◆では、下の図のようにするとどうなるか。あまりやりたくない問題。

       ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┓
   (始め)┃●┃●┃ ┃ ┃○┃○┃
       ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┛

階差数列というのは、隣りあう項の差が作り出す数列。先の場合だと、このようになる。

   元の数列 3  8  15  24  35  ……
         \/ \/ \/ \/ \/
   階差数列   5  7  9  11  ……


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