★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第五十段 ●  13日の金曜日

13」は、キリスト教の世界ではかなり疎まれている数だ。キリスト(BC4?〜AD30?)が死亡したのが金曜日だったらしいので、両方の重なった「13日の金曜日」は、何かといやがられる。日本では、敬謙なクリス人が多い。
 嫌われているわりには、何だかしょっちゅう「13日の金曜日」がやってくるような気がする。今年はどうかなと、カレンダーを見たら、やっぱりあった。もしかしたら、毎年必ずあるのではないか? そんな疑問がわいてきたので調べてみた。
 とりあえず、1月1日から数えて、各月の13日が何日目になるかを求めてみた。うるう年の場合もあるので、かっこの中に示しておいた。

   1/13…… 13日目
   2/13…… 44日目
   3/13…… 72日目( 73日目)
   4/13……103日目(104日目)
   5/13……133日目(134日目)
   6/13……164日目(165日目)
   7/13……194日目(195日目)
   8/13……225日目(226日目)
   9/13……256日目(257日目)
  10/13……286日目(287日目)
  11/13……317日目(318日目)
  12/13……347日目(348日目)

 1週間は7日ある。だから、求めた日数を7で割ってみる。たとえば、2月13日の場合なら、

   44÷7=6…2

 商が6で、余りが2だ。今回は、この余りが重要だ。
 たとえば、毎月、1日、8日、15日、22日、29日は、必ず同じ曜日になる。カレンダーを見れば、一目了然だ(2月29日は、4年に一度しかやってこないが……)。これらの日の共通点は、7で割ったときの余りが1になるということ。逆に、余りが同じだと、曜日も同じになるというわけだ。まとめてみよう。

  7で割って、余りが1……1月1日と同じ曜日
  7で割って、余りが2……1月2日と同じ曜日
  7で割って、余りが3……1月3日と同じ曜日
  7で割って、余りが4……1月4日と同じ曜日
  7で割って、余りが5……1月5日と同じ曜日
  7で割って、余りが6……1月6日と同じ曜日
  7で割って、余りが0……1月7日と同じ曜日

 では、先の日数を7で割って余りを求めてみよう。

   1/13……6
   2/13……2
   3/13……2(3)
   4/13……5(6)
   5/13……0(1)
   6/13……3(4)
   7/13……5(6)
   8/13……1(2)
   9/13……4(5)
  10/13……6(0)
  11/13……2(3)
  12/13……4(5)

 6、2、2、5、0、3、5、1、4、6、2、4。うまいことに、0から6までの数が全て出現している。つまり、1月1日が何曜日であろうと、13日の金曜日は、毎年必ずやってくるのだ。くわばらくわばら。証明終わり。


【メモ】

◆舞台はクリスタル・レイクのキャンプ場。ここで昔、若い男女が惨殺されてからというもの、呪われた土地として忌み嫌われていたのだが、10数年ぶりに夏のキャンプが開かれることになった。しかし、その準備にやってきた若者たちは、13日の金曜日に次々と殺されていく――というストーリーの映画は、
『13日の金曜日』。登場する殺人鬼は、ジェイソン。この第1作は1980年に制作され、1993年の『13日の金曜日 ジェイソンの命日』まで、シリーズは9作あった。

◆映画関係で「13」といえば、『マルサの女』などの作品で知られる映画監督の伊丹十三(1933〜1997)がいる。ノーベル賞作家・大江健三郎(1935〜)の義理の兄である。最初の監督作品は、『お葬式』だった。

◆大阪には「十三」という地名がある。「じゅうそう」と読む。阪急京都線、宝塚線、神戸線の3線が合流しているのが、十三駅。「十三」は本来「ツツミ」と呼び、ここを流れていた中津川の堤防をさしてい
たと考えられている。

◆江戸時代「十三屋」といえば、櫛を売っていた店。「くし」、つまり、9+4=13 ってこと。
 同様のしゃれをつかって、「十三里」といえば、サツマイモのこと。「栗(九里)より(四里)うまい」ってしゃれだ。

◆陰暦の13日の満月に近い夜、特に9月13日の夜を「十三夜」という。この日の月を「栗名月」という。これに対し、陰暦8月15日の夜の月、つまり、仲秋の名月を「芋名月」と呼ぶ。

◆樋口一葉(1872〜1896)は、『十三夜』という小説をを書いている。『十二夜』という喜劇を書いたのは、シェークスピア(1564〜1616)。

◆「十三月」とは、正月のこと。十二月の次の月ってことだ。だから、「十三月なる顔つき」とは、のんきな顔つきのこと。正月のようにのんびりしているという意味だ。1年が13ヶ月もあるかのように、のんびりしている――という説もある。

◆アメリカの独立が宣言されたのは、1776年7月4日。このときの州の数は、13だった。だから、その当時のアメリカ国旗には、星が13個しか描かれていなかった。
 1776年の
独立13州は、次の通り。
  ニューハンプシャー州
  ニューヨーク州
  マサチューセッツ州
  ロードアイランド州
  コネチカット州
  ペンシルベニア州
  ニュージャージー州
  デラウェア州
  メリーランド州
  バージニア州
  ノースカロライナ州
  サウスカロライナ州
  ジョージア州

◆アメリカの国旗である星条旗には、赤い筋が7本、白い筋がが6本、合わせて13本の筋が入っている。この「13」というのは、もちろん独立当時の州の数を表している。赤は勇気、白は純潔、青は正義を表しているのだそうだ。

◆独立から77年後の1853年、ペリー(1794〜1858)は黒船で来航した。彼を日本に派遣したのは、アメリカ第13代大統領のフィルモア(1800〜1874)だった。

◆アポロ13号は、月への着陸を予定していたが、事故が発生し、地球へ緊急帰還した。この話は、『アポロ13』として映画化されている。主演は、トム・ハンクス(1956〜)。

◆第1回のオリンピックは、1896年にアテネで開催されているが、そのときの参加国は13ヶ国だった。
 アメリカ、イギリス、オーストラリア、オーストリア、ギリシャ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フランス
 11カ国しかないとお叱りがあるかもしれないが、文献を当たってみても、JOC(日本オリンピック委員会)に問い合わせても、ここまでしかわからなかったのだ。

『最後の晩餐』といえば、イエスが捕らえられる前日に、12使徒とともにした晩餐。この席上で、イエスは、
「汝らのひとり、我を売らん」
 と、裏切り者が出ることを予言する。レオナルド・ダ・ビンチ(1452〜1519)の『最後の晩餐』は、まさにその瞬間の13人の様々な表情をドラマティックに描いている。この絵は、イタリア・ミラノのサンタ・マリア・デレ・グラツィエ教会の食堂の壁にある。長期にわたって修復が続けられているが、見学はできる。

◆いわゆるティーンエイジャーとは、13歳から19歳まで人のことをいう。英語で表記したとき、thirteen,fourteen,……のように、最後に teen が付くからteenager。

◆ティーンエイジャーにもなっていないのに即位してしまったという、フランスの国王がいた。
■ 
ルイ13世 ■
1601〜43、フランス国王(在位1610〜43)。ブルボン朝初代の王アンリ4世(1553〜1610)の子として生まれ、父の死後、9歳で即位する。未成年だったために母が摂政をつとめていたが、イタリア人コンチーニに政治の実権をにぎらせていた母に不満を抱き、成人するやいなや、コンチーニを毒殺、母をブロワの城に幽閉する。その後、リシュリュー(1585〜1642)らの名臣に助けられ、フランスの絶対王政を確立する。

◆2月のカレンダーをめくると、3月のカレンダーが現れる。
「あれっ、同じだ!」
と思うことがある。うるう年は別として、2月と3月は、日付と曜日の対応が同じになる。

◆同様のことが、4月と7月のカレンダーに起こっている。このことに気がつかないのは、間に5月、6月がはさまれているからだ。7月になれば、4月のことなど忘れてしまっている。
 9月と12月も同様。

◆カレンダーで、ひなまつり、子どもの日、七夕に注目してみる。

  3/ 3…… 62日目( 63日目)
  5/ 5……125日目(126日目)
  7/ 7……188日目(189日目)

 62、125、188は、どれも7で割ると余りが6になる。つまり、この3日は必ず同じ曜日になるということだ。また、この3日はどれも、3月1日よりあとの日だから、この現象はうるう年にも成立する。このことを誰かに教えてあげると、一通り感心した後で、
「9月9日は、どうなるの?」
と、必ず質問される。これも計算してみよう。

  9/ 9……252日目(253日目)

 7で割ると、余りが5。だから、同じ曜日にはならない。残念。
 自分の誕生日と必ず同じ曜日になる日を見つけておくと、いいかもしれない。

◆中学生の頃は、非常に疑い深かった。「1年は365日」ということでさえ疑った。そこで、カウントダウンしてみることにした。カレンダーの1月1日の所に「365」、2日に「364」、3日に「363」……と書き込んでいく。そうしたら、12月31日は「1」になった。
「どうして、『0』にならないんだ?」
と、かなり悩んだ。

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