★雑木話★
ぞうきばなし

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 ● 第百二段 ●  戻ってきたよ!

 スペースシャトルに乗った日本人は、これだけいる(と思う)。


  (1) 毛利 衛 1992年 9月12日打ち上げ エンデバー
  (2) 向井千秋 1994年 7月 9日打ち上げ コロンビア
  (3) 若田光一 1996年 1月11日打ち上げ エンデバー
  (4) 土井隆雄 1997年11月19日打ち上げ コロンビア
  (5) 向井千秋 1998年10月29日打ち上げ ディスカバリー
  (6) 毛利 衛 2000年 2月11日打ち上げ エンデバー
  (7) 若田光一 2000年10月11日打ち上げ ディスカバリー
  (8) 野口聡一 2005年 7月26日打ち上げ ディスカバリー
  (9) 土井隆雄 2008年 3月11日打ち上げ エンデバー
  (10) 星出彰彦 2008年 5月31日打ち上げ エンデバー
  (11) 若田光一 2009年 3月15日打ち上げ ディスカバリー
  (12) 山崎直子 2010年 4月 5日打ち上げ ディスカバリー

 日本人が乗ったときにだけ、日本のメディアはフィーバーするが、実際にはスペースシャトルは、もっと頻繁に打ち上げられている。その「頻繁」の秘密は、スペースシャトルが「再使用できる」ということ。この再使用こそが、スペースシャトルの画期的な点なのだ。

■ スペースシャトル ■
アメリカが開発した世界最初の再使用型有人宇宙船。本体であるオービター、外部タンク、2本の固体ロケットブースター(SRB)から構成される。オービターは、スペースシャトルの代表的な構成部分で、滑空して帰還することができる。1975年に開発が始まり、1981年4月に初の軌道飛行に成功した。

 
第三十一段でも述べたように、「シャトル」というのは、日本語では「梭(ひ)」。横糸を織るときに使う左右に動く道具だ。これが転じて、「行ったり来たりするもの」という意味が生まれた。
 行って戻って来るのは、三角翼で知られたオービターだけだと思っていた。テレビや新聞でも、オービターが地球に帰還するところは大きく扱われているので、勝手にそう思っていたのだ。まあ、スペースシャトルの「シャトル」たるところは、まさにこのオービターなのだが、他にも再使用されているところがある。
実は、ブースターも再使用されている。ブースターは、燃焼後、パラシュートで落下し洋上で回収されて、大部分の機材が再使用されるのだ。オービターは約100回、ブースターは約20回再利用される。これにより、かなりのコストダウンが可能になった。
外部タンクだけは、使い捨てだ。


【メモ】

◆スペースシャトル・エンタープライズ号は、計画の初期の段階で、オービターの滑空・着陸などの基礎的な試験をするために使われた。

◆1961年に竣工した世界初の原子力空母も、エンタープライズ。テレビドラマや映画の『スタートレック』に登場する宇宙船も、エンタープライズ。

◆『スタートレックのテーマ』は、メイナード・ファーガソンの「Conquistador(征服者)」というタイトルのアルバムに収録されている。日本ではこの曲は、『史上最大アメリカ横断ウルトラクイズ』のメインテーマ曲としての方が有名かもしれない(第3回以降)。
 ちなみに先のアルバムには、『ロッキーのテーマ』も入っている。

◆スペースシャトルによる初の宇宙飛行は、1981年4月12日のコロンビア号。その後、チャレンジャー号、ディスカバリー号、アトランティス号の4機が順調に飛行していた。

◆しかし、25回目の飛行になる1986年1月28日、チャレンジャー号は打ち上げから1分14秒後に爆発を起こし、7人の乗員は全員死亡した。

◆この事故でその後の利用計画が非常に遅れたが、1988年9月には再開。1992年にはエンデバー号が参加し、4機の体制に戻った。

◆ディスカバリー号という宇宙船は、映画『2001年宇宙の旅』にも登場している。映画『エイリアン』に登場する宇宙船は、ノストロモ号。

◆スペースシャトルに乗せる宇宙実験室を、「スペースラボ」という。

◆「ブースター」は、ロケットの推力を補う推進装置のこと。「ブースカ」は、イグアナが変身した「快獣」。「バラサ、バラサ」「シオシオのパー」などの独特の言葉をはやらせた。

◆童謡『おもちゃのチャチャチャ』で、子ブタは「ブースカ」と鳴いている。

◆奈良時代の遣唐使阿倍仲麻呂は、中国に渡り治績をあげたが、再び日本に戻ることはできなかった。
 ということで、スペースシャトルにひっかけて、「戻る」を集めてみた。

◆ジュール・ベルヌの小説『十五少年漂流記』で、漂流した少年たちが再び戻ってきたのは、ニュージーランドだった。

◆今来た道を後戻りをするとき、「きびすを返す」という。「きびす」とは、かかとのこと。

◆ソ連の崩壊で、ソ連第2の都市レニングラードは、サンクトペテルブルグという昔の名前に戻った。

◆もともとは伝書鳩が巣に戻る習性のことで、魚雷やミサイルが音波・赤外線を利用し、自動的に目標を追跡することを「ホーミング」という。

◆干しシイタケを早く戻したいなら、水の中に砂糖を入れればよい。

◆交雑によって生まれた雑種の第一代と両親のどちらかとを交雑させることを「戻し交雑」という。雑種第一代の遺伝子型を調べるために行われる。

◆JRでは、特急・急行料金は、2時間以上遅れると払い戻しすることができる。2時間以上遅れても払い戻しができないと承知で買う特急券もある。「遅れ承知特急券」という。

◆JRA・日本中央競馬界の勝ち馬投票券の払い戻し期間は60日。当たり馬券の購入者が誰もいなかった場合、手数料30%を引いて払い戻されることになっている。

◆過去に徴収した税金のを納税者に返すという形で減税することを、「戻し減税」という。

◆「恥ずかしながら……」
と、グアム島から戻ってきたのは横井庄一さん。小野田さんは、フィリピンのルバング島から戻った。

◆学生時代を都会で過したのち、故郷で就職するのは「Uターン」。故郷での就職が見つからず、再び都会に舞い戻って就職するのは「Oターン」。

◆投げたら戻ってくるブーメランの発祥の国は、オーストラリア。この性質から「ブーメラン効果」という言葉も生まれた。先進国からプラント輸出などの形で与えた援助は、いずれ製品となって逆に戻ってくるという効果のことだ。

◆『ブーメランストリート』は、西城秀樹のヒット曲。

◆「シェーン、カムバック!」
と叫んでも、シェーンは戻ってこなかった。1953年に公開された西部劇映画『シェーン』のラストシーンだ。

◆中国最大の砂漠は、タクラマカン砂漠。「一度足を踏みいれると二度と戻れない」という意味がある。

◆持ち運びのできるノートワープロ、パソコンなどには不可欠な機能で、電源を切ったときの画面に戻る機能は、「レジューム機能」。

◆Jリーグには「テンポラリー・トランスファー」という元のチームに戻ることを前提に移籍する制度がある。この制度の第1号となった選手は、菊原志郎。ヴェルディ川崎から浦和レッズに移籍している。

◆韋駄天(いだてん)という神様は、お釈迦様の遺骨が鬼に持ち去られたときに、追いかけて取り戻したという足の速〜い神様だ。

◆それまでの経過に全く関係なく、もとの状態に戻すことを「ご破算」という。そろばんの用語だ。

◆ファミコンソフト『ドラゴンクエスト』シリーズでは、「ルーラ」と唱えると、一度行ったことのある町や城に一瞬で戻ることができる。本当に使えたら、便利だろうな。

◆『傷だらけのローラ』も、西城秀樹。


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