● 第百六十七段 ● 「日本の滝百選」リスト
「ナイアガラの滝が見たい!」
ホームステイの1日目、ホストファミリーの奥さんに、「どこか行きたいところはないか」と尋ねられたので、思わず言ってしまった(もちろん英語で)。
ずいぶん前の話なので記憶が薄れてきたが、多分、夜の10時は回っていたと思う。
「OK、今から行きましょう」
こんな遅くから行っても……と思ったが、心配はいらなかった。ちゃんとライトアップされていた。後日、昼間のナイアガラも見たが、やはり、昼間の方が迫力があった。
まあ、すごい滝だ。文章での表現能力に乏しいので、どう書いたところであの迫力を伝えることができない。だから、ナイアガラの滝のプロポーションを数字で紹介しておこう。
私も行ってみるまで知らなかったのだが、「ナイアガラ滝」と呼ばれるものは2つある。アメリカ側にあるのが「アメリカ滝」。こちらは、幅300m、高さ51m。よく写真などで紹介されているのは「カナダ滝」で、こちらの方がでっかい。幅900m、高さ48mもある。実は、もう一つ「花嫁のベール滝 Bridal Veil Faiis」という滝がアメリカ滝の隣にあるのだが、こちらは、カナダ滝、アメリカ滝に比べると「かわいい花嫁さん」という感じだ。
あの滝を見てしまったので、日本の滝を見ても「おお!」は、その大きさに圧倒されることはなくなってしまった。しかし、その景観の美しさにはしみじみさせられることは多い。
「日本の滝百選」というものがある。リストをつけておくので、近くの滝を訪れてみてはいかが?
[北海道]羽衣の滝(東川町)/インクラの滝(白老町)/“飛竜”賀老の滝(島牧村)/流星・銀河の滝(上川町)/アシリベツの滝(札幌市)/オシンコシンの滝(斜里町)
[青森]くろくまの滝(鯵ヶ沢町)/松見の滝(十和田湖町)
[岩手]不動の滝(安代市)
[宮城]秋保(あきう)大滝(仙台市)/三階の滝(蔵王町)
[秋田]七滝(小坂町)/茶釜の滝(鹿角市)/法体(ほったい)の滝(鳥海町)/安の滝(阿仁町)
[山形]滑川の大滝(米沢市)/白糸の滝(戸沢村)/七ツ滝(朝日村)
[福島]乙字ヶ滝(玉川村・須賀川市)/三条の滝(檜枝岐村)/銚子ヶ滝(郡山市)
[茨城]袋田の滝(大子町)
[栃木]華厳の滝(日光市)/霧降の滝(日光市)
[群馬]吹割の滝(利根村)/常布の滝(草津町)/不動滝(赤城村)
[埼玉]丸神の滝(両神村)
[東京]払沢(ほっさわ)の滝(檜原村)
[神奈川]早戸大滝(津久井町)/晒水の滝(山北町)
[山梨]七ツ釜五段の滝(三富村)/北精進ヶ滝(武川村)/仙娥滝(甲府市)
[新潟]鈴ヶ滝(朝日村)/苗名滝(妙高高原町)/惣滝(妙高村)
[富山]称名滝(立山市)
[石川]姥ヶ滝(吉野谷村)
[福井]龍双ヶ滝(池田町)
[長野]米子大瀑布(須坂市)/三本滝(安曇村)/田立の滝(南木曽町)
[岐阜]根尾の滝(小坂町)/平湯大滝(上宝村)/養老の滝(養老町)/阿弥陀ヶ滝(白鳥町)
[静岡]阿倍の大滝(静岡市)/浄蓮の滝(天城湯ヶ島町)/白糸・音止めの滝(富士宮市)
[愛知]阿寺の七滝(鳳来町)
[三重]布引の滝(紀和町)/赤目四十八滝(名張市)/七ツ釜滝(宮川村)
[滋賀]八ツ淵の滝(高島町)
[京都]金引の滝(宮津市)
[大阪]箕面の滝(箕面市)
[兵庫]原不動滝(波賀町)/猿尾滝(村岡町)/天滝(大屋町)/布引の滝(神戸市中央区)
[奈良]双門の滝(天川村)/不動七重滝(下北山村)/笹の滝(十津川村)/中の滝(上北山村)
[和歌山]那智の滝(那智勝浦町)/桑ノ木の滝(新宮市)/八草の滝(日置川町)
[鳥取]大山滝(東伯町)/雨滝(国府町)
[島根]壇鏡(だんぎょう)の滝(都万村)/龍頭八重滝(掛合町)
[岡山]神庭の滝(勝山町)
[広島]常清滝(作木村)
[山口]寂地狭五竜の滝(錦町)
[徳島]雨乞の滝(神山町)/轟九十九滝(海南町)/大釜の滝(木沢村)
[愛媛]雪輪の滝(松野町)/御来光の滝(面河村)
[高知]龍王の滝(大豊町)/轟の滝(香北町)/大樽の滝(越知町)
[佐賀]観音の滝(七山村)/見帰りの滝(相知町)
[熊本]四十三万滝(菊池市)/栴檀轟の滝(泉村)/数鹿流ヶ(すかるが)滝(長陽村)/鹿目の滝(人吉市)
[大分]東椎屋の滝(安心院町)/原尻の滝(緒方町)/震動の滝(九重町)/西椎屋の滝(玖珠町)
[宮崎]関之尾滝(都城市)/矢研の滝(都農町)/行縢(むかばき)の滝(延岡市)/真名井の滝(高千穂町)
[鹿児島]龍門滝(加治木町)/大川(おおこ)の滝(屋久島)
[沖縄]マリュウドゥの滝(竹富島)
【メモ】
◆ナイアガラ滝は、五大湖のエリー湖とオンタリオ湖を結ぶナイアガラ川にある。滝を落ちた水は、オンタリオ湖へ。
◆アメリカ滝とカナダ滝を分けている「川中島」は、ゴート島。
当然、両国を行き来するときには手続きが必要になる。パスポートを見せるだけだったけど……。
川をまたぐ橋の真ん中が国境だったのだろう。線が1本引かれてあった。国境を歩いて渡ったのはこのときが初めてだった。
◆問題。その国境線をはさんでアメリカ側にはアメリカの国旗、カナダ側にはカナダの国旗が掲げられていた。では、国境線のところに掲げられていた旗は、何の旗?
ハイ、その通り。国連の旗でした。
◆「霧の乙女号」という名前の観光船がある。これに乗ると滝の落下地点ぎりぎりまで、船を寄せてくれる。かなりの水しぶきなので、ゴム長とカッパを貸してもらえる。
東京ディズニーランドの「ジャングル・クルーズ」というアトラクションでも、船を滝の近くまで寄せてくれるが、全然スケールが違う。
◆「ナイアガラ・フォールズ」という名前の都市が、滝の両側にある。
片方はアメリカのナイアガラ・フォールズ市で、もう一方はカナダのナイアガラ・フォールズ市。
◆札幌は、ナイアガラの滝とほぼ同じ緯度にある(北緯43度くらい)。
◆ナイアガラ滝からケベックシティまでの約800kmは、「メープル街道」と呼ばれている。
◆南米のベネズエラにある、落差が世界一である滝はエンジェル滝(979m)。
◆ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの国境にまたがった幅5kmの滝といえば、イグアスの滝。
この滝を舞台にした、ロバート・デ・ニーロ主演の映画が『ミッション』。
◆アフリカ最大の滝、ビクトリア滝を「発見」したイギリスの探検家は、リヴィングストン。発見したのは、1855年。時のイギリス女王の名をつけた。
◆「日本の滝百選」は、1990年に、「グリーンルネッサンス」など3団体(後援:林野庁)が、527ヶ所の中から選定した。
◆落差は350m、4段からなる日本最大の滝は、称名(しょうみょう)の滝だ。
◆中禅寺湖の湖面は標高1269m、面積は11.5平方キロメートル。標高1000m以上の湖としては日本最大だ。ここから流れ出す水が、華厳の滝となっていく。
◆茨城県で唯一「日本の滝百選」に入っている袋田の滝は、「袋田滝」と表されることもある。この滝に打たれるととても痛いだろうな。だって、「ふくろだたき」。
◆成功につながる門を「登竜門」というが、この言葉の元になった言い伝えに登場する、滝を登る魚は鯉。
◆新派の名作『滝の白糸』の作者は、泉鏡花。水島友と村越欣弥(きんや)の悲恋を描いている。
◆童謡『はとぽっぽ』『お正月』の作曲者は、滝廉太郎。
◆■ 滝廉太郎 ■
1879〜1903、ピアノ奏者・作曲家。東京生れ。父の転勤のため、神奈川、富山、東京、大分を転々とする。東京音楽学校卒。1901年(明治34)、「中学唱歌」の作曲募集に『荒城の月』『箱根八里』などが当選。同年4月、ライプチヒ音楽院に留学するも、胸の病を得て8月に帰国。わずか23歳で死去。
◆『荒城の月』の作曲者は滝廉太郎。作詩者は、土井晩翠。
◆協奏曲集『四季』を作曲したのは、アントニオ・ビバルディ。日本初の洋楽スタイルの歌曲集『四季』を作曲したのが、滝廉太郎。この歌曲集の中に『花』がある。
◆滝廉太郎を大叔父に持つという、人気ジャーナリストは筑紫哲也。
◆コンピュータ・ウィルスのひとつで、画面上の文字がバラバラになって滝のように流れ落ちるという被害をもたらすものがある。このタイプのウィルスは、一般に「カスケード」と呼ばれている。