● 第十一段 ● 原子番号7番の窒素
「水兵リーベ僕の船……」で覚えた。原子番号の覚え方だ。ここまでで、原子番号10番まで覚えることができる。
水………1 H 水素
兵………2 He ヘリウム
リー……3 Li リチウム
ベ………4 Be ベリリウム
ぼ………5 B ホウ素
く………6 C 炭素
の………7 N 窒素
8 O 酸素
ふ………9 F フッ素
ね………10 Ne ネオン
ここにあげた全部の元素を詳しく説明したいところなのだが、それはキツイ。
7月も真っ盛りだ。かなり強引ではあるが、そういうことで、原子番号7番の窒素について、調べてみよう。
原子番号7番の元素は窒素、Nitrogen。元素記号は「N」。
原子量は、14.00674。電子配置は、[He]2s2・2p3。
沸点は、−195.8℃。融点は、−209.86℃
単体は大気中に75.5%(質量比)存在する。大気中に最も多く存在する気体でもある。電気陰性度は3.1。地殻存在度、20ppm(重量比)。無色・無臭・無味・無害。アンモニアや肥料の合成、冷媒、寒剤に使われる。
もともとは、燃素(フロギストン)を見つけようとする過程で見つかったもので、誰が窒素を発見したのかとなると、むずかしいものがある。1772年に、ラザフォード(イギリス)がこの気体を「有毒空気 noxious air」と名付けている。また、同じく1772年、シェーレ(スウェーデン)も、酸素を「火の空気」、窒素を「駄目な空気」と呼んでいたが発表が遅れた。
1775年に、ラボアジェ(フランス)が元素であると確認し、azoteと名付ける。これは、フランス語で「生きられないもの」「生命を支えない」の意味。英語のNitrogenは、「硝石を生ずるもの」の意。nitre(硝石)+gennao(生じる)ってことだ。
7月も真っ盛りだ。かなり強引ではあるが、そういうことで、もうすこし「7」について集めてみよう!
【メモ】
◆電子配置の表し方をすこし。厳密に話をするとむずかしいので、イメージを持ってもらえる話をしよう。
窒素は、電子を7個持っている。電子は軌道に沿って回っているのだが、7個の中の2個は、いちばん内側の軌道を回っている。これが、ヘリウムの場合と同じだから[He]と表す。そして、2sと呼ばれる軌道に2個、2pと呼ばれる軌道に3個、電子が配置される。これらをまとめて、[He]2s2・2p3と表しているわけだ。
◆pHが7より小さいと酸性。大きいとアルカリ性。
◆哺乳類の首の骨の数は、決まっている。首の長いキリンも短い人間も7本だ。
◆その首を少し運動させて、空を見上げてみよう。空にも「7」が見つかるはずだ。
まずは、虹の七色。外側から、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。
「外側から」と書いたが、実際には順序が逆になることがある。「副虹」と呼ばれるものだ。
虹が2重にかかっているのを見かけたら、よく観察してほしい。逆になっているかも!
◆春の七草。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。スズナはカブのことで、スズシロとはダイコンのこと。
◆秋の七草。ハギ、オバナ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、アサガオ。しかし、オミナエシ以下を、ムクゲ、キキョウ、ヒルガオとすることもある。オバナとは、ススキのこと。
◆東京都の属する伊豆七島の中で、いちばん北は大島。以下、利島(としま)、新島、神津島(こうづじま)、三宅島、御蔵島、いちばん南にあるのが八丈島。
◆G7とは、先進7ヶ国蔵相中央銀行総裁会議のこと。アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、日本、イタリア、カナダの7ヶ国。この「G」は、group の頭文字。
◆俗に南都七大寺と呼ばれている寺は、薬師寺、東大寺、大安寺、元興寺、西大寺、興福寺、法隆寺。
◆弾劾裁判所は衆参両議員それぞれ7人ずつで構成される。
◆株式会社の設立に必要な、発起人の人数は7人。
◆九州には、県が7つある。九州にある県は、県名と県庁所在地がすべて同じ名前なので覚えやすい。
では、なぜ「九」州なのか。その昔この島が、豊前、豊後、筑前、筑後、肥前、肥後、日向、大隅、薩摩の九つの地域に分けられていたからだ。
◆日本の都市の中で、地名に漢数字の「七」が使われているのが1ヶ所だけある。石川県七尾市だ。
◆フランスの大統領の任期は7年。アメリカの大統領の任期は4年。
◆いわゆる七福神というのは、大黒天、恵比寿、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋。
このうち、大黒様、毘沙門天、弁財天はインドの神様。恵比寿は日本人。残り3人は、中国の神様。
この7人の神様の中で、布袋だけは実在の人物。中国の後梁の僧契此(かいし)である。彼の福徳円満の姿から福神に加えられたと考えられる。
さて、なぜこんなにさまざまな国の神様を集めて1つのグループにまとめたのか、気になるなるところだが、どうやらもともとは海運守護・商業の神様の恵比寿と農業・厨(くりや)の神様である大黒天の2人を信仰する風習が広まり、やがてあれやこれやと他の神々が加わっていったようだ。
◆7種類の野菜が使われているというので、「福神漬」。その野菜とは、ダイコン、カブ、ナス、ウリ、ナタ豆、レンコン、シソ。
◆「からすなぜ泣くの……」
で始まる童謡『七つの子』の作詞者は、野口雨情。
◆「七つ」と言えば、現在の時間では午前4時くらい。
「お江戸日本橋七つ立ち……」
という歌があるくらいだから、朝早くに江戸を出発したんだなと思う。
◆漢詩の形体の一つに、七言絶句というのがある。全部で7字×4行の28の漢字から成り立っている。
◆歌川広重(1797〜1858)の浮世絵『東海道五十三次』の55枚の絵の中で、富士山は7枚に登場している。お茶漬けの付録についてくるカードを全種類持っている人は、調べてみてはいかが。
◆歌川広重の本姓は、安藤。だから、安藤広重で覚えている人もおおいはずだ。かれは、歌川豊広に入門したので、歌川を名乗っている。
◆ドラクロワの絵『民衆を率いる自由の女神』は、パリの7月革命を題材にしている。
◆黒沢明(1910〜1998)監督の『七人の侍』で、最後まで生き残った侍は3人。この作品の翻訳権を買い取ったユル・ブリンナー(1920〜1985)は、西部劇としてリメークし『荒野の七人』を作った。
◆グリム童話の『おおかみと七ひきの子やぎ』で、オオカミは、声をきれいにするためにチョークを食べた。末っ子のヤギは、柱時計の中に隠れて、オオカミに食べられずにすんだ。
◆4つの同じ大きさの正方形をつなげてできたブロックが上から落ちてくる。プレーヤーは、それを移動・回転させてうまくつなぎあわせ、横一列にそろえる――というおなじみの「テトリス」。
これは、ロシアで生まれたTVゲームだ。このゲームに登場するブロックは7種類。全種類覚えているあなたはゲーム通。ただし下図の(2)と(3)、(6)と(7)は、裏返せば同じだから厳密にいえば5種類なのかもしれないが、このゲームではブロックを裏返すことはできない。
(1) ■■■■ (2) ■■ (3) ■■ (4) ■■
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(5) ■ (6) ■■■ (7) ■■■
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◆スロットマシーンで、「7」が3つならぶ役は「ジャックポット」。
なぜ、1でなくて、2でなくて、7なのか? よく分からないが、「ラッキーセブン」からきているという説がある。
この「ラッキーセブン」は、正しくはlucky seventh であり、野球の7回の攻撃のこと。なぜか7回の攻撃では、得点が入りやすいと考えられている。
◆7が幸運を呼ぶ数字だと考えられているのを意識してかどうかは分からないが、童話『白雪姫』に登場する小人たちも7人だ。
彼らの職業は鉱夫。全員の名前が言えたら、ディズニー通だ。ドーピー、グランピー、スニージー、ドック、ハッピー、スリーピー、バーシェフル。
◆こんなにたくさんあって大丈夫なのかと心配するくらい、街によく見かけるコンビニだが、日本に最初にオープンしたのは、1974年5月のこと。東京都江東区に出店した「セブン・イレブン」だ。
この名前から考えると、24時間営業ではなく、
「朝7時から夜11まで営業してますよ!」
という気がするのだが、そこのところを調べてみたら、思った通りだった。
1号店ができた当時は、朝の7時から夜の11時まで営業をしていたのだ。しかし、消費者の要望に応える形で営業時間が延長され、1975年には福島県の郡山市に最初の24時間営業の「セブン・イレブン」がオープンした。今では、およそ97%のセブン・イレブンが24時間営業を行っている。名前と営業形態が矛盾しているようだが、これだけ浸透した名称を変えることはできず、そのままの名前で通している。
◆セブン・イレブンは、今では世界の22の国と地域で同じ看板で営業しているが、もともとは、1927年にアメリカで営業を始めたサウスランド・アイスカンパニーという氷屋さんだった。お客さんのリクエストで、氷だけでなく食品や日用雑貨を置くようになったのだ。この商法が当たって店の数も増えていき、1946年、これらの店は「セブン・イレブン」の統一した名称を名乗ることになる。この当時から、朝の7時から夜の11時まで営業をしていたということがわかる。
◆「七転八起」と「七転八倒」。似たような四字熟語だが、七転八倒では、15回も転んで、倒れて、結局起き上がっていない。それだけ苦しいということなのかな?(セブン・イレブンさんに電話をしてうかがいました。ご協力ありがとうございました。)