● ZACさん ●
久しぶりにメシエカタログと星雲星団関係の本を読みました。以下のようなことが分かりました。
「見当たらない」メシエ天体及び「星雲星団でない」メシエ天体は以下の6つです。
M24、M40、M47、M48、M91、M102
でこれらについては、個々に事情があります。
M24
この天体は、メシエが銀河(天の川)が特に濃く見える部分、つまり単に星が密集してみえる箇所をメシエカタログ24番目の天体としたもので、実際は星団などの天体ではありません。
しかし、ちょうどその星の密集地の範囲内にんNGC6603という散開星団が重なっており、のちの人が誤って、「M24=NGC6603」としてしまったのです。メシエのいうNGC6603ではありませんが、現在、「M24=NGC6603」として扱われることがすくなくありません。
M40
M40は1660年にヘベリウスが星雲と見誤って報告したものを、メシエがカタログに加えたもの。メシエは、
「ヘベリウスは9等星の二重星を星雲と間違えたと思われる」
と述べています。
メシエが単なる二重星と分かっているものをカタログに加えたのは、メシエがカタログを発行しようとした際、M番号をきりの良い数字にしようとしたからだと言われています。発行当時のメシエ天体の数は39個で、これではきりが悪いと考え、単なる二重星と知りながらM40としてリストに加えたのだと考えられています。
M47
メシエが記録した位置にはそれらしき天体がなかったのですが、メシエのメモ(星座上の位置や星団の形)から推定していくと、NGC2422という星団がそれらしいということになりました。
20世紀になってO.トーマスという学者が、メシエが位置測定の時に、+と−の符号を間違えて計算したことをつきとめ、現在では、「M47=NGC2422」として通常扱われています。
M48
これもメシエが記録した位置にはそれらしき天体がなかったのですが、メシエのメモ(星座上の位置や星団の形)から、メシエが記録した位置から3.5度南にあるNGC2548という星団がM48であることが、20世紀になってT.F.モリスらによって確認されました。
M91
メシエのミスが原因と思われますが、M58と同一の天体と考えられてます。
M102
メシャンが発見者ですが、これはM101を見誤ったものだと、発見者メシャン自身が知人にあてた手紙にかいています。
なお、ここで「メシエが記録した位置」というのは、天球を赤経、赤緯で表記したもので、地球でいえば、緯度、経度にあたるものです。
また、M110はメシエ自身はメシエカタログに記載してませんが、メシエが発見者なのでG.ジョーンズという天文学者の提唱により、M天体に加えられています。
このように整理されますので、M番号のうち、絶対に星雲星団などの天体として扱われていないものは、M40、M91、M102、の3つの番号です。
★ありがとうございました。勉強になりました。(星田)